1971年ソウル生まれの絵本作家ペク・ヒナは、「あめだま」で第24回日本絵本賞の翻訳絵本賞と読者賞をダブル受賞し、今、最も注目されている絵本作家です。

大阪生まれの絵本作家長谷川義史が、彼女とタッグを組み、何作品も翻訳を担当しています。今回ご紹介するのは、本年翻訳出版された「お月さんのシャーベット」(ブロンズ新社/新刊1540円)です。

「それは それは ねぐるしい なつの ばんやった。あつくて あつくて ねるどころか どうしようも あらへん。」

大阪弁の翻訳が、関西人にはしっくりきます。狐のような、狼のような動物が住むアパートが舞台です。みんな、なんとか寝ようとしています。そんな時です。ポタポタ、と雫が天から落ちてきます。しっかり者のおばあちゃん。どうやらこのアパートの班長さんらしい。

「あれまぁ えらいこっちゃ。えらいこっちゃ。お月さん とけてはるがな」

おばあちゃんは、落ちてきた雫を溜めて、シャーベットを作ってしまいます。その夜、クーラーの過剰使用で、ついにアパートの電気がパンク。真っ暗な中、お月さん色に満ちたおばあちゃんの部屋に住人が集まってきました。おばあちゃんはみんなにシャーベットをおすそ分けします。

「なんでやろ。お月さんのシャーベット たべたら あついのが すうーっと とんでいった」

その夜は、みんなクーラーなしで深い眠りについたのです。その様子がリアルであり、またおかしくもあり、とてもいい感じです。

やれやれと思ったおばあちゃん。眠りにつこうとすると、ドアを叩く音が。なんと、「お月さん きえてしもて すむところが なくなったん」と月のウサギたちが訪ねてきたのです。さて、どうなることやら…….。

寝苦しい夜には最適の一冊となるかも。

ペク・ヒナの作風はユニークです。実際のセットを組み、小道具を制作し、そこにストップ・モーション・アニメ(一コマ撮りのアニメ)の手法で、キャラクターを動かしています。リアルとファンタジーが巧みにブレンドされた世界です。