映画「返校」(京都シネマ にて上映中)は、軍事政権支配下の60年代台湾が舞台です。台湾では1947年以降戒厳令が敷かれ、蒋介石率いる国民党が反体制派に対して政治的弾圧を実行し、国民に相互監視と密告が強要され、多くの人々が投獄、処刑されました。そんな時代を、この映画は極めて象徴的に描いています。

政治的な映画?と思われるかもしれませんが、スプラッタ映画とオカルト映画、さらに韓流純愛映画のような映像で迫ってくるという、かなり変化球的作品であるところが驚きです。

放課後の教室。眠り込んでいた女子学生ファンは、学校の様子が一変していることに気づきます。他の生徒は誰も見当たりません。構内は静まり返り、荒れ果てて、異様な雰囲気です。彷徨い歩く途中、後輩の男子学生ウェイと出会い、学校から脱出しようと試みますが抜けられません。それどころか恐ろしい化物が襲ってくるのです。なんとか襲撃を掻い潜って、友人や先生を探そうとする二人は、国家のために密告者になった生徒がいたという事実を知ります。

もともと原作がゲームのせいか、校内を必死で逃げ回る二人のシーンはいかにもゲーム的です。おぞましい恐怖に満ちたシーンの連続。

しかし、この映画はただ血飛沫や化け物の恐さが目的ではなく、国民がお互いを監視し合い、ちょっとでも不審なことがあれば密告をすると言う社会の恐怖を描いています。

前の大戦下の日本もそうでしたよね。町内会やら、国防婦人会やら、お互いを監視し合い、少しでも反戦的なことを言った途端、憲兵に密告する社会でした。今は、憲兵も国防婦人会もありませんが、前総理あたりからきな臭い感じが大きくなってきたことを考えると、あながちこの映画の世界が過去のこととは言えません。

静謐で穏やかなラストシーンには、製作者の深いメッセージが描きこまれています。「自由」と言う単語の重みが伝わってきました。

●8/25(水)〜9/5(日)待賢ブックセンター主催「処暑の古本市」開催します。

なお、勝手ながら29日(日)は臨時休業させていただきます。


●北海道のネイチャーガイド安藤誠さんのトークショーを今年も開催します。10月24日(日)19時スタート(2000円)要予約

 

 

 

 

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