やっぱり、この人はかっこいい奴だったんだと、この写真集を見て再確認しました。

セルジュ・ゲンズブール(1928~1991)。フランスを代表する歌手であり、俳優であり、映画監督です。

“Gainsbourg et Caetera”(洋書/フランス語版5000円)は、若き日から老年までのゲンズブールの写真を中心に構成されていて、その本作りのセンスの良さに唸らされます。ステージ写真、映画で共演した女優とのオフフォト、セルフポートレイトなどが満載です。

ゲンズブールは、いわゆる美男ではありません。どちらかといえばむさ苦しい。健康的な雰囲気は全くありません。でも、かっこいい。最初のページに載っている彼の写真なんて、渋く年を重ねるとはこういうこと!というお手本です。色っぽいステキな笑顔。

永瀧達達治の「フレンチ狂日記」(平凡社/古書1000円)で、ゲンズブールファンの歌手のカヒミ・カリィは熱く語っています。「彼の人間としての生き方が好き。一般的な道徳観というものを持っていなくて、彼には普通の人がしないことをする勇気があり、それでいて決して人を裏切らず、傷つけない優しさがあるでしょ。普通の人は犯罪にならなければ、そういうことを平気でするのに。弱さと強さのバランスというのかしら、世界がどうなっても、変わらない自分というものを持っているのがゲンズブール」

世界がどうなっても、変わらない自分というものを持っている……それってかっこいいよな。

フランスでの彼の評価は両極端でした。新しい表現を恐れずに発表するアーティストと高く評価される一方で、破廉恥、無礼なロシア系ユダヤ人、フランスの恥だ、とまで言い切る人までいました。が、彼は世間がどう言おうと、何処吹く風の人生でした。

そんな魅力に、多くの女性が惹かれたのは理解できます。女優で歌手であったジェーン・バーキンとは、良きパートナーとして暮らし、娘シャルロット・ゲンズブールを歌手としてデビューさせました。彼女も今や、フランス映画界の大きな存在となっています。

なお本書にはおまけとして映画「ノーコメントbyゲンズブール」のパンフレットが付いています。