新聞スタイルの季刊誌「日本で最も美しい村」が、一冊の書籍となりました。出版したのは、地元京都で建築関係の本を主に出している学芸出版社です。題して「日本で最も美しい村をつくる人たち」(新刊 2970円)

まず写真が素晴らしい!オリジナル版は新聞状態のものだったので、撮影された美しい村やそこで生きる人々の表情がイマイチというのは否めませんでした。しかし今回、品質のいい紙に印刷されて、くっきりと見ることができました。

オリジナル版のすでに40冊ほど刊行されている中から、北海道から九州までの25の村や町が選ばれています。巻頭を飾るのは、毎年ネイチャートークを当店でしていただいている安藤誠さんの本拠地、北海道鶴居村です。そしてTVCMで有名になった美瑛町へとつながっていきます。

震災で大被害を受けた飯館村の方々が載っています。他の村の紹介では、素晴らしい自然風景が必ずと言っていいほど掲載されているのですが、飯館村は4人の女性の紹介が紙面を埋めています。村を離れざるを得なかった人たち。パン職人、自家焙煎コーヒー店主、書店員、そして村役場で勤務する保健師さんの笑顔が素晴らしい。震災の傷は癒えていないと思いますが、こういう幸せな笑顔で生きていて欲しいというカメラマンの思いが、そのままフィルムに転写したみたいないい笑顔です。

元エルメスパリ本社副社長の斎藤峰明は、「美しい里山の景観は人の心を動かします。なぜならその背景には自然と共生しながら生活の営みをしてきた人々がいるからです。」という推薦の言葉を書いています。

確かに、自然と共生してきた人々の笑顔が、どのページでも見受けられます。例えば、佐世保からフェリーで3時間の五島列島の北に位置する小値賀町で、築200年の古民家に住み、活版印刷を手がける普弘舎を営む横山桃子さん。活版印刷の魅力を語り、「大きくなることだけがすべてではない」と、好きな島で好きな仕事をしている、生き生きとした横顔が素敵です。大海原を背景にポツンと佇む野生の鹿の姿を捉えた写真も美しい。

「大事なのはタレントやオリンピック選手ではなく魅力ある村民を輩出することです」とは、安藤誠さんの言葉ですが、ここには魅力のある村民が一杯です。そういう意味では、「美しい村」に住む人のポートレイト集と言っても過言ではありません。

関西では、奈良県から二つ。一つは人口1361人、九つの集落からなる曽爾村。もう一つは、桜で有名な吉野村です。