ギャラリーは本日より、かじかわゆりさんの日本画展が始まりました。「ある程度のかたちを保って。」と名付けられた作品展です。具体的な形あるものと、形のないものの間を行き来するような絵画が並んでいます。

彼方を見つめて佇む女性を描いた作品は、鉛筆の線を残しながら岩絵の具で着彩されています。生きている人なのか、幻なのか、昨日林の中で出会った人なのか、遠い昔の思い出の中の人なのか、わからないけれどその姿に見入ってしまいました。鉛筆の線の動きが魅力的です。

すこし黄味がかった抽象的な作品は、布地に染めたように柔らかい。偶然現れた形のように揺らいでいます。そういえば、かじかわさんの作品はすべて、ひそやかな動きを感じます。形があったものがふわりと流れて、香りだけが残ったような……。風に舞う葉っぱにサッと射し込んだ鮮やかな桃色は、もしかしたらさっきまで咲いていた花が姿を変えたものかもしれません。

かじかわさんは京都市立芸術大学大学院を卒業して、仕事をしながら日本画を描き続けています。白地に少ない色数で描かれた世界はとても新鮮です。静かで軽やかな日本画が、本屋の空気にとても馴染んで素敵な展覧会になりました。ぜひお立ち寄りくださいませ。(女房)

「ある程度のかたちを保って。」かじかわゆり個展は、4月20日(水)〜5月1日(日)

13:00〜19:00(最終日18:00まで)月火定休