サリンジャーファン、アメリカ文学好きなら観て頂きたい映画です。(MOVIX京都にて上映中)

1990年代のニューヨーク。作家志望のジョアンナは、西海岸からNYに出て、老舗の出版エージェントに職を見つけます。彼女に与えられた仕事は、このエージェントが契約しているJ.Dサリンジャー宛に届いたファンレターを読み、予め用意された、当たり障りのない文章を返事として出すというものでした。来る日も来る日も単純な仕事に終始するうちに、サリンジャーファンの気持ちにほだされて、つい自分の文章で返事を書いてしまいます。そこから、ドラマは予期しない方へと向かい始めます。

同じく作家志望の恋人と出会ってすぐに同棲を始めますが、徐々にすれ違っていきます。そして、ジョアンナは、厳しい上司と面白い仲間に支えられながら、少しづつ自分をみつめ、将来を考えていきます。コンピュータが社会に浸透し始めた時代、まだまだアナログな感じのオフィスのクラシカルな雰囲気や、ニューヨークの街並みなどが楽しませてくれます。

若い頃に観たポール・マザスキー監督「結婚しない女」や「グリニッジ・ビレッジの青春」などの青春映画をふと思い出しました。ヒロインが少しづつ一人で歩き始めようとしている様子が似ていたのかも知れません。原作はジョアンナ・ラコフの「サリンジャーと過ごした日々」。映画では、後ろ姿と声だけですが、謎に満ちたサリンジャーの晩年の姿が描かれています。なお、サリンジャーは2010年に死亡しています。

大作ばかり目立つアメリカ映画ですが、地味ながらこんなに後味の良い映画にホッと一息つきました。