「モモ」「はてしない物語」のエンデが、シュールレアリズム派の画家であった父親、エドガー・エンデの絵画作品をモチーフに描いた「鏡のなかの鏡」。自由奔放なイメージで繰り広げられる30の連作短編集。一つずつ前の話を歪んだ鏡像のように映し出し、最後の話が最初の話につながってゆくという不思議な構成の本です。

そのめくるめくるイメージを絵本にしたのが、京都在住の作家であり、Hedgehog Books代表を務めるjunaidaさんです。合わせ鏡のような迷宮世界を、独特の色彩設計と構図そしてキャラクターで絵本「EDNE」(白水社/新刊2750円)として出版されました。

「誰がこの扉を通ったのか。どちらの側から通ったのか。それはいつだったのか。そして、なぜだったのか」

という出だしの文章には、くすんだ緑色の古い扉に耳を傾けた少女、しかも少し宙に浮いているという絵がページ両面に描かれています。え?なんだかわからない……。ごもっとも。まあ何も考えずに、さらに次のページへと向かいましょう。と、さらにわからなくなります。しかし、読み手の私たちも普通のものの見方から離れて、自由に気ままな感覚で不思議な絵本の世界に入ってゆくと、とても面白いのです。絵と共に遊び、飛翔するイメージの世界へと向かいましょう。

最後のページ。「なぜこの扉を通るのか。いつ通るのか。それはどちらの側からなのか。そして、それは誰なのか」万華鏡で覗いたかのように広がる家々。そこにあるのは、最初のページにあったのと同じような扉。

でも、その前に立つのは……..。

文字で説明するのはかなり困難ですが、作家の溢れ出る想像力と、画力に魅入られてしまい、何度も読み返しました。

彼女の絵本としては、ことばとことばをつなぐ不思議な日本語「の」をテーマにした、「の」(福音館/古書1850円)もオススメです。「の」という言葉の不思議さを巧みに絵画化した作品です。

※と、ご紹介しましたが、たった今「EDNE」売れました。今の所在庫なし。スミマセン。

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