今年5月「左右社」のフェアを行った時に、この出版社のことをご紹介しましたが、最新刊は、またジャンルも違えば全く世界観も異なり、ますます面白い!

甲斐みのりの「乙女の東京案内」、西川清史の「世界金玉考」。前者は、素敵なお店紹介などで抜群の感性を見せる甲斐みのりの東京案内本。見ているだけで楽しくなる本です。一方後者は、生物学、歴史、芸術、食文化等々、様々な分野を闊歩して「キンタマ」を真剣に考察した前代未聞の本です。

著者の西川清史は、なんと元文藝春秋社副社長です。なんでこの人がこの本を書いたの?

「キンタマと比べれば、あの肛門でさえ花形に思えてくるというものである。天下無双の日陰者キンタマをいささかでもエンカレッジしようと、微力ながら一冊の本を書いてみようと思い立った。」ということです。

しかし、本書をパラパラとめくってみると、著者の博覧強記に圧倒される、実に真面目な本なのです。歴史的アプローチのために著者は、多くの囚人がキンタマを蹴られて殺された小伝馬町の牢屋敷跡を見に出かけたりもします。ちなみに、この牢屋は1858年、吉田松陰が死罪になった場所でもあります。

私が最初にページを開いた場所は、「キンタマことわざ一覧」でした。「睾丸の土用干し」で吹き出しました。これ「ありえないことのたとえ」だそう。あるいは「金玉を質に置いても」は、「何をおいても。男の面目にかけて」という意味合いだとか。でも、何度も言いますが、極めて精緻に考察された本なのです。みうらじゅん先生ご推薦です!

と、こんな本の一方、今話題の写真家、南阿沙美の「ふたりたち」という写真エッセイもあります。友人、夫婦、親子、人と犬と様々な関係で結ばれた二人をフィルムにおさめながら、人生を見つめた一冊です。

「自分はひとりだなあ、という人が、さみしくならないような本を作りたかった。それは、私のためでもあった。私はひとり。この本に出てきた人もみんなひとりずつ。誰かとふたりになった時に、またおもしろい自分に出会えるように。私は、そんなふたりをひとり自分の位置から眺めて、写真を撮って、思い出す。」

いい文章です。ちょっと幸せになれる本だと思います。

左右社コーナーは、どの本も「我こそは」と自己主張しているみたいでただいま賑わっています。