古書店を始めて、数ヶ月しか経っていない新米古書店で古本市を開催します。

お店のお客様、古書店を営んでおられる店主の方々で18名がご参加していただくことになりました。本当にありがとうございます。

古書店をやっていて、一番面白いのは、お客様が面白いことでしょう。特に、敷居の欠片もない当店では、様々な方に気軽にお越し頂き、よくもまぁ、こんなに面白い人、博学な人がいるな〜!と毎日驚きの連続です。大型新刊書店の店頭にいた頃は、お客様との対応もベルトコンベヤーみたいに流れるだけです。(流れない時は、苦情のど真ん中にいます。)本好きなお客様が、こちらが付けた価格に納得して買っていただける、大げさにいえば、その本を仕入れ、適切な評価を決定した店主に納得して購入していただけるという喜びは、同じ本を扱う業界でも、新刊書店では味わえません。

店は客が作ってゆく。いい客がいればいい店になる、という真実を北山で10年間の新刊書店勤務で経験しました。この小さな店でも、そう思っています。様々の思いの詰まった一箱古本市が、お客様にいい店にしていただける第一歩となればと念じています。

次週「善行堂大蔵ざらえ」(14日〜17日)からスタートして、21日より二週間の長丁場の一箱古本市が始まります。(18日〜20日はお休みいたします)。週末からはCDセール(600円〜900円)もやります。良いもの出します!

ところで、善行堂さんのブログ見ていたら、ミーコさんが当店のブログを読んでいただいて、お店にも行きたいとのコメントを書かれていました。ありがとうございます。ミーコさん、私も文楽好きです。文楽と言わず、お能、歌舞伎、長唄、そして落語と古典邦楽すべて好きです。ロック、パンク、ジャズ、フリーミュージック経由で邦楽にハマった変わり種ですが、お話ができたら楽しいです。少しですが、文楽の本もありますよ。例えば、こんな本が。

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『高山植物の宝庫伊吹山ハイキング』に行きませんか?という魅力的なお誘いを受け、8月6日月曜日朝、京都駅から快速米原行きに乗り込みました。

 

誘ってくれたのは高校時代の友人で、年季の入った山ガール、ノリコさん。4年ぶりの同窓会に帰京する機会に、前から約束していた山歩きを、私の休みの日に合わせて計画してくれました。ノリコさんの幼なじみ、Iさんと三人のおばさんツァーです。

 

普段、運動といえば犬の散歩くらいのものなので、猛暑の中、体力に自信がなかったのですが、3合目から頂上まで2時間半、石灰岩むきだしの難所もクリアして、歩き通せました。

運動不足の初心者のために何度も休憩をとってくれて、おやつまで用意して頂き感謝カンゲキ。

あのどら焼きは疲れた足と気持ちをすっかり元気にしてくれました。

 

ところが頂上に着く直前から急にガスが出てきて、お昼ご飯を食べる時は辺りは真っ白。

引率者のアドバイス通り薄いヤッケを持参してよかったと思う程寒いし、せっかくの琵琶湖もまったく見えないし、山の天気は変わりやすいというのを実感しました。

 

でも1時間もすると晴れて来て(ワタクシ自他共に認める晴れ女です)、下山する頃にはお花畑が目の前に広がり、美しい景色を満喫。

知りませんでしたね。

京都から日帰りの範囲で、こんな素敵な高山植物の群生をみることができるなんて!

今は下野草の最盛期、濃いピンクの可憐な花がいっぱい。

そのほか、シシウド、メタカラコウ、クガイソウ、カワラナデシコ、アカソ、イブキジャコウソウ、サラシナショウマ、オオバギボシ、コオニユリ、ミヤマアザミ等々。

覚えたばかりの花の名前を羅列しましたが、うん、今この瞬間なら、まだそれがどういう風情で咲いていたか思い出せます。(記憶力は体力よりさらに自信がないのでね)

 

伊吹山は伊勢湾と若狭湾が東西から入り込んで本州のウェストのように細くなったところに位置しているせいで、冬は豪雪だし、天候は変わりやすく、ガスも発生しやすいとか。そのおかげでまた高山植物がよく育つのだそうです。

あ、これ、山頂から下りる時に、ご一緒して下さったボランティアのおじさんに教えてもらいました。

 

帰りは9合目から関ヶ原まで路線バスに乗って帰りました。

翌日足が痛いのは、下山の時の負担が大きいせいらしい。

これも経験豊かな山ガールの心遣いあふれるプランのおかげ。

何から何までホントにありがとうございました!(女房)

 

 

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当店で、次週から開始の善行堂さんの古書大蔵ざらえのため、本を保管してある倉庫に行きました。

えぇ〜クーラーない!窓も開かない!!その倉庫と店を台車に本を乗せて移動!!! 修行ですね、これは。

たまたまお店にいたM嬢も、無理矢理引っぱりこんで、三人でその暑〜い倉庫へ向かうと、ドアを開けた瞬間む〜っとする熱気がお出迎え。そうか、古書店って、こんなに在庫を持っているんだと感心しましたが、もう本、本、本で一歩間違うと足を取られて、倒れるか、はたまた埋まるかというジャングルを歩むようなものです。

でも、悲しいというべきか、嬉しい性というべきか、見た事もない本の山に引き込まれていきます。同行のM嬢も、お気に入りを見つけていました。台車に積んで、店との往復すること三回。さて、それから値段付けです。お店の奥に陣取った善行さん、一心不乱に値段付け作業を続けます。ふと見ると、お、湯川書房の本が数冊手元に。「谷崎潤一郎家集」の奇麗なオレンジ色の表紙が見えます。「美しい数寄屋」なんて、丸善が出していた「美しい」一冊もありました。

善行堂さんは、お客様を呼ぶ力でもあるんでしょうか。 以前、茨城県から来てくれた大学生が、再度来てくれたり、お得意様が来られては、善行堂さんと挨拶されたりと先客万来でした。

そこへ、今度の一箱古本市に出店される方からの荷物も届き、そこらじゅう古書だらけにの状態で、すっかり古本屋風に店内がなってきました。箱を開けると書物にまつわる随筆、庄司浅水の「紙魚のたわごと」やら、ジョン・レノンの写真集「イマジン」やら、面白ろそうな本がありました。違う箱には、「実録神戸芸能社ー山口組・岡田一雄と戦後芸能界」なんて、私好みの本も顔を出しています。暫くの間、古書の山と格闘です。

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1970年。素晴らしい年だった。

3月「日航よど号ハイジャック事件」、5月「広島港シージャック事件」、11月「三島由紀夫自決」、12月「コザ騒動」。でも、この年の一番の楽しかったこと。それは3月開幕の「大阪万博」であり。10月に始まった国鉄の『ディスカバージャパン」だった。

「イージーライダー」、「砂丘」、「明日に向かって撃て」等アメリカン・ニュー・シネマに刺激を受け、前年の「アビーロード」に引き続いてビートルズは「レット・イット・ビー」を発表して、バンド活動に終止符をうった。マイルスは過激なエレクトリックサウンドを発表し始め、正統派ジャズと決別した。日本映画は、アートシアター系が世間の注目を浴び、「無常」、「エロス+虐殺」にクラクラし、ドキュメント「日本解放戦線三里塚」の上映会の荒んだ雰囲気に逃げ出したくなった。

でも、この年、一番愛した映画は「小さな恋のメロディー」でした。別にこの映画のせいではないですが、これ以降、私は何のためらいもなくプチブル小市民路線をひた走る。

71年。さらに素晴らしい年だった。

10月「インド・パキスタン戦争」、12月「アメリカ、ベトナムへの爆撃再開」。国内では成田空港建設のための、第一次強制執行が始まり、6月には沖縄返還協定が調印された。でも、この年のお楽しみは、日本に初めてマクドナルドが上陸したことだ。

アメリカ映画が最も輝いた年でもあった。「フレンチコネクション」、「ダーティハリー」、「わらの犬」そして、我らがイースウッド初監督作品「恐怖のメロディー」が公開。その後、「スターウォーズ」第一作が公開されるまで、私はアメリカ映画至上主義路線をひた走る。いや、70年ポルノ路線に舵を切った日活のロマンポルノ「団地妻 昼下がりの情事」が11月公開され、そのエロティシズムに洗脳されて、やはり、日活ポルノ路線をひた走る。

その数年後、「タクシードライバー」が公開され、脳天直撃、そしてその年だったと思うが イーグルスが「ホテル・カリフォルニア」を発表。暗澹たる未来が待ちうけていることを示唆する。

それでも、私はプチブル路線をひた走り、今もこの路線を全うしたいと思っている。

 

自伝、評伝問わず、映画、演劇の一時代を生き抜いた人の本はスリリングです。

大阪の古書市で、昭和52年に出版された芦田伸介著「ほろにがき日々」(750円函入り)を見つけました。一時、日中戦争の時代を生きた人々のことに興味があり、図書館で片っ端から、その手の本を読んでいました。この時代の事に興味を持ったのは、日活映画「戦争と人間全3部」でした。(蛇足ながら、敗戦記念日が近づくと毎年観ています)この映画で、芦田伸介は、満州で軍閥と結託する日本の新興財閥の中心人物を演じています。で、この本を読むと、本当にこの人は満州にいたことが分かりました。成る程なぁ〜、あの冷徹な人間像のリアルさは本物だったんだ。

やはり、同じ時代。日本人でありながら、中国人女優として銀幕デヴューした李香欄こと山口淑子の数奇な一生を描いた「李香欄私の半生」(新潮社500円)も、下手くそな映画やドラマ以上に面白い一冊です。1920年、満州生まれ。満州映画協会に李香欄としてスカウトされ、「うたう中国人女優」として一世を風靡するも、敗戦でキャンプ収容。その後、彫刻家イサム・ノグチと結婚そして、離婚。その後外交官と再婚し、ワイドショーの司会を経て人気を掴み、そのまま議員の道を驀進。と、もう疾風怒濤の人生でした。

やはり、まぁ凄まじい人生ですね、と言いたくなる高峰秀子の上下巻「わたしの渡世日記」(朝日新聞社1500円)とか、佐野眞一がぐいぐい迫る「怪優伝ー三国連太郎」(講談社1300円)、或は不世出の喜劇役者三木のり平の「のり平のパーッといきましょう」(800円)とか並べだしたらきりがありません。

しかし、渋い悪役やらせたら天下一品だった成田三樹夫が自分の作った俳句を集めた「成田三樹夫遺稿集 鯨の目」(無明舎出版3000円)は、このジャンルの本としては異色です。文学青年であり、読書家であった彼の俳句250句程を集めた貴重な一冊です。やくざ映画で、眼光鋭い暴力団幹部を演じていた彼の俳句はこんな感じです。

風吹いて空わっとかをを出し        寒月やのぞめば老歯するる音

そして、こんな句を残して天国へと旅立ちました。

身の傷みひと息づつの夜長かな

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いよいよ始まります。レティシア書房の古本甲子園!

14(火)〜17(金)善行堂の古本大蔵ざらえ

 

倉庫に山積みになった善行堂さんの古本を一挙放出。さて、どんなお宝がでてくるやら?来週、善行さんと二人で荷物を出します。なんせ、老体の二人でやることなんで、倉庫で倒れて来た本の下敷きになって生き埋めになることも……….。

 

18(土)〜20(月)は、夏休みです。開店依頼5ヶ月。なんとか走ってきましたが、ちょっと休憩します。

 

21(火)〜9月2日(日)二週間の長丁場の一箱古本市。参加店が決定しました。

参加店舗

山椒文庫/明楽堂/ダンデライオン/酒中居/

唯企画工房/むらの鶴亀堂/古書てんてん堂/

青猫/Books  Tamausagi/Pie in the sky/なな/

ロシナンテ/Traveling Bookstore/きりりん堂/

ねこのかい読書部/古書思いの外/はなめがね本舗/

一箱古本市お馴染みもあれば、初参加店もあります。もちろん、お店にとっても初めての企画です。二週間の長丁場ですので、どんどん本は入れ替えてもらいます。毎日、商品が変わってるかも。

 

なんて、ファンが読んだら怒り狂いだすような内容です。

小さい頃から、アメリカの洋楽で育ったせいか、アメリカ(ヨーロッパも)のポップ音楽の影響を受けていない、或はオマージュのない日本のポップスは、どれもつまらなかった。逆に、そんな中でアメリカ音楽への愛情と、そこから抜け出せない憎しみとの相克に揺れ、己のオリジナルを求める(オーバーですが)ミュージシャンの音楽はどれも楽しかった。

ハッピーエンドはジェイムス・テイラー、山下達郎はソウルミュージック、サディステック・ミカ・バンド(写真のCDは900円)はグラムロック。その後の加藤和彦はブライアン・フューリー、、忌野清志郎はストーンズとR&B、ブルーハーツはクラッシュ、とそれぞれのミュージシャンの影響を色濃くうけながら、自分の音を模索しています。大瀧詠一みたいに、あらゆる音楽の引き出しみたい人物もいる。初期のユーミンや、最近のアン・サリーや、畠山美由紀らは、キャロル・キングの名前を出す事なく、語ることはできません。

彼らの音楽を聴いては、そうかこんな洋楽が好きだったのか、この曲はあのシンガーのあの曲がネタ元か、という思いを巡らしながら、そのミュージシャンとの接点を持つことができ、今度はお気に入りのミュージシャンの好きな洋楽なら聴いてみよう、という具合にどんどんと音楽世界が広がっていきました。。アメリカの核の傘下にいる日本は早急に打破しなけれなばなりませんが、アメリカンポップスの傘下にいる日本は永久に続いて欲しかった。

ところが、中島にも、桑田にもそんな接点は作れません。桑田の湘南サウンドには、洋楽の影響があるようにも聴こえますが、ありません。中島の曲は、歌詞が良いという評価を耳にしますが、私には、歌詞より、メロディー。フォーク全盛時代の、あのチマチマした、私小説世界には、吐きそうになっていました。だから、メロディー至上主義者です。山下の「高気圧ガール」なんて、歌詞なんて全くどうでもいいです。あの夏を感じさせるメロディーのみが大事。中島の「時代」は、確かにいいメロディーラインですが、残念ながら、アメリカの臭いが全くない。あれは、日本人だけが作り得るものですね。桑田の曲もそうです。逆に言えば、純粋なメイド・イン・ジャパンのポップスを作りあげたミュージシャンとして歴史に名を残すのは間違いありません。

でも、やっぱり彼らのCD一枚聞き通すのは、私には拷問以外の何物でもありません。元SPEEDのメンバーの1人がCoco d’or名義でリリースした二枚(どちらも1100円)のアルバム。このアメリカンソング大好き!という思い一杯の作品の方が心和みます。

 

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ARK(アニマルレフュージ関西)に保護された犬や猫の写真展が始まりました。

猛暑の中、初日から表情豊かな犬達、猫達に会いに来てくださったお客様、ありがとうございます。

 

彼らは我々のそばで淡々と生き続けて、いつも慰めてくれるのに、時々勝手な人間に惨い目に会わされます。

けれど、ARKに保護された犬や猫のじっとこちらを見つめる目は安住の地を得たおかげか、とても穏やかで健気です。

 

写真家原田京子さんは、2006年よりライフワークとしてARK の動物達の写真を撮り続けていらっしゃいます。

犬と猫、そして人と動物が、隣り合って生きているARKの世界を優しく見つめている素敵な写真の数々。

 

実はARKの写真展は、我々が店を始める時からの願いでした。

店主はずっと前からARKのサポーターになっていて、身体に障害があったり、人間不信になって引取先をみつけるのが難しい犬のスポンサーを、少しずつですが続けてきました。

そして、やっと犬を飼える状況が出来た時点で、このブログでも再々登場しているマロンをARKから譲り受けました。

あれから6年。

ARKの写真展を京都で開く事でサポーターとして少しでも貢献できれば、と申し出ていたところ、やっと実現いたしました。

多くの人にARKの活動を知って頂きたいと心から願います。

4日土曜日の昼過ぎにはエリザベス・オリバーさんもご来店予定。京都の夏は格別暑いですが、お越しいただければ幸いです。(女房)

 

 

 

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BSで放送していた桂三枝の六代目桂文枝襲名のドキュメントを観ました。

六代目は、ご承知の通り新作落語の得意な噺家です。初めて観た「ゴルフ夜明け前」とか、麻雀をネタにした新作物には驚かされました。後者では、麻雀に興じる四人を演じるのに、あたかもテーブルに四人が座っている如く、高座を移動していくのです。この人が、古典落語、それも上方物やったら面白いのにと思っていましたが、この人の前には天才、桂枝雀がいたのです。古典落語を、全て持論の「緊張と調和」の流れに乗せて、抱腹絶倒の渦に巻きこんでゆく。この人の前では、古典もので、その上を行くのは不可能に近く、新作に活路を見いだすしかなかったのかもしれません。

枝雀の落語のテンションの上げ方は、もう異常という程です。演目は忘れましたが、本題に入る前の枕の部分で、一気に加速して、観客を笑いの渦に巻き込みすぎて、数十分間を費やし、本題に入らず、すなわち落ちもない状態で高座を降りるという前代未聞の噺家でした。師匠の桂米朝の得意とした出し物、「地獄八景亡者戯」(DVD2500円)でも、師匠の大らかな地獄巡りとは異なり、パンチのある話し方で、これでもか、これでもかと力ずくで笑わせます。

師匠の米朝は、何度も高座で観ました。どの噺も面白おかしく楽しませてもらいましたが、私はこの人の指先が好きです。指先で見事にその人物を表現します。舞子の時は舞子らしく、長屋の貧乏暮らしのおかみさんの時はそれらしく、二代目の若旦那の時は、なんやら頼りないぼんぼんを、指先で表現しているのを観るのが楽しみでした。もう、かなりのご高齢なので高座で拝見することは不可能かもしれません。

はんなりした上方落語の一方で、きりっとした江戸前落語も楽しみたいものですが、CDを聞いたり、本を読んでみるぐらいで終わっています。できれば、実際の高座も観たいものです。江戸前落語の本としては、小林信彦の「名人 志ん生、そして志ん朝」(朝日新聞社700円)、雑誌Switchの94年1月の志ん朝特集号(2000円)あたりがお薦めです。

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今日は映画1000円デー。で、狙っていた映画、「崖っぷちの男」を観る。

アホバカ映画ばかりと思っていたアメリカにも、こんな映画作る輩がいたんですね。

一番アメリカ映画が輝いていた頃、シドニー・ルメットの「狼たちの午後」、J・フランケンハイマーの「ブラックサンデー」、ウィリアム・フリードキンの「フレンチコネクション」、そしてドン・シーゲルの「ダーティー・ハリー」等の傑作映画の舞台が持っていた「街の臭い」が見事に表現されています。この映画は舞台がニューヨーク。クレジットタイトルも吹っ飛ばして、いきなりNYの街角をカメラが捉えます。(因みに、エンドタイトルも実にクールな出来具合)

高層ホテルの窓から外に出て、今まさに飛び降り自殺しようとする男。実は、この男は脱走犯。自分の無実を証明するためにうった大博打。それ以上は言えません。特に、ラスト、見事に観客も騙されます。あいつは、やっぱりな〜。こいつは、ルーティーン通りね。でも、えっ〜、彼は×××だったの!です。とにかく、リズムがいい。脚本がいい。脚本が良くてもリズムの悪い映画は、大抵つまらないものです。主人公の過去をべたべた描かない。くだらない色恋沙汰をかませない。めったやたらと銃弾戦をやらない、そしてCGを使わない。だから、上映時間も2時間かからない。そして、観客にあれこれ考えさせない、もうスカッとさわやかです。ちらっと、リーマンショック以後のブルーカラーの憤懣も出ていて、TVのドキュメンタリーみたいと思っていたら、監督は本当にドキュメンタリー出身で、劇映画はこれが第一作だとか。これから、ハリウッドの資本家に喰いものにされんことを期待します。写真はそのワンシーンです。高所恐怖症の方には、あまりお薦めしません。

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