新しいミニプレスです。名前は「ボタンとリボン/BUTTONS andBOWS」

コンセプトはこうです。

『ボタンとリボン』は、詩や散文を掲載した本ですが、『クウネル』や『アルネ』など生活雑貨誌を愛読している、雑貨やカフェ好きな人たちのために制作しています。可愛いもの、素敵なもの、また音楽や料理などに興味を持ち、自分なりの新しい暮らし方を望む人たちへの読本として、詩や散文を通して、生活のイメージを共有することを目的としたものです。
ここに文章を掲載している人たちは、それぞれ、身近なところからその生き方などを見つめ直し、考えてみようと、文章を書き始めました。そして、泣いたり、笑ったり、喜んだりと、季節ごとに新しい内容のもの描き出す準備をしてきました。
『ボタンとリボン』は、自分たちの生活風景を文章で描き出してみようという新しいタイプの本です。

お店には2号から5号まで揃っています。最新号の特集は「新しい雲の作り方」というまるで雲をつかむような、漠然とした特集です。写真があり、絵があり、詩がありと盛りだくさんな内容です。パラパラとめくっていると、気持ちよくなってきます。綴じ込み付録は永井宏さんの「worksー永井宏の雲」。何気ない日々の、小さな幸せを大事に、慈しんできた永井さん。彼の言葉。

自分にいろいろな足跡を残していこう/憂鬱なことですら/新しい希望の中に埋もれていくのだから/そこから花が吹き出すかもしれないのだ

軽やかにステップを踏みながら生きることを選んだ永井さんは、2011年に亡くなられましたが、このミニプレスにはそのスピリットが受け継がれています。

写真と文で構成された「つづきを見つけに」。11年の原発事故で、自分の果樹園を手放し、家族と札幌へ移住した方がこう言っています。

「パラダイスだよ、ここは」

新しい地に咲く花の写真がとても眩しく感じます。自分の作りたい果物を作り続けるために移住した彼は、「もちろん福島もあきらめない」と声を荒げることなく口に出しています。記事を書いた千葉奈絵さんは最後にこう書いています。

「パラダイスのその先には福島がつづいているかのように見えた」

ジーンズのポッケットにでもこの雑誌入れて、奇麗な秋空の下でぱらぱら読めば、きっと新しい雲ができるかも。

 

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私には湾岸戦争も中東の戦争も、とても遠い国の戦争ですが、ベトナム戦争は、すぐ傍にありました。

大学四年の時、アメリカサンフランシスコ郊外のバークレーに半年程いました。その時、小さなキャンピングカーでベトナム料理屋を営んでおられたご夫婦がおられました。野菜中心のベトナム料理が美味しくて、毎日のように通いました。やがて、ご夫婦とも親しくなり、お二人が南ベトナムから逃げてこられたことを知りました。国土が日々、ボロボロになってゆく姿を正視できずアメリカに来られたそうです。私がいた頃は、ベトナム戦争末期、いや終結した後だったと思います。車椅子の人も沢山いましたが、通っていた大学は平和を取り戻し、穏やかな日々でした。しかし、どこかに触れて欲しくないみたいな雰囲気もありました。

帰国して、映画「地獄の黙示録」に出会いました。ベトナム戦争を丸ごと捉えた映画ですが、不謹慎を承知で言わせてもらえれば、なんてかっこい映画!と感動し、もう何十回も見ています。ドアーズの曲と、ヘリコプターのローターの音がかぶる最初のシーンから、トリップ状態にさせる映画なんてありません。魑魅魍魎たるジャングルの奥地へと主人公と共に分け入り、一緒に錯綜し、いや監督自身も混乱し、映画は暴走してゆく。暴走してゆく戦争の成れの果てを見せて映画は終わります。そして、観客もやっとベトナムから離れることができます。

この映画以降、ベトナム関係の作品はチェックしてきました。例えば、2007年に上映された「花はどこへいった」。これはベトナム戦争で使われた枯葉剤被害者を追いかけたドキュメンタリーです。監督は坂田雅子さん。ご主人のグレッグ・ディビスさんも枯葉剤を浴びたため死亡。この映画は、残念ながら見ることができませんでしたが、映画製作に至るまでの苦難の道を、坂田さん自らが書いた本「花はどへいった」(トランスビュー2008年)があります。二人が出会ったのは1970年の京都。そこから、すべて始まります。夫の死、そして映画製作に至る長い道。読み応えのある本です。

 

ところで、11月2日〜4(日)まで「カフェムーレック」で「ニューイヤーベイビー」というドキュメンタリーを中心にした映画際があります。この映画はポルポト政権下のカンボジアから逃げた家族の姿を描いた作品です。ふと、ベトナム戦争から逃げて来た、あのご夫婦を思い出しました。

考え悩む映画祭「悶々シネマ」というムーレックのイベントについてはお店のHPをご覧下さい。入場は無料!!ですぞ。他にも、お〜あの映画も無料か!という面白企画です。ただで映画みて、ただで悩むという「おいしい」一日をお過ごしください。

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「人生は数多くの小さな出来事と、数少ない大きな出来事から成り立っている。だから、自伝というものは、退屈になることを避けようとするならば、書く内容をきびしく篩いにかけて、どうでもいいような出来事はすべて切りすて、鮮明に記憶に残っていることだけに集中しなくてはならない」

という文章で始まるのは、ロアルド・ダールの自伝「単独飛行」(翻訳/永井淳 装丁/和田誠 早川書房初版700円)です。「1938年の秋、わたしを乗せてイギリスからアフリカへ向かった舟は、<マントラ号>という名前だった」で幕が開く青年期のダールですが、さすが短編小説の名手らしく、ポンポンと話を進行させていき、後半の飛行士として大空を駆け巡った章へと誘います。自伝にありがちな誰が親戚で、誰がどうしたなどという退屈な事実はすっ飛ばしていくあたりは、短編小説を読ませるコツを熟知した彼ならではの技術でしょう。飛行機ものといえば、もうサン・テクジュベリ「夜間飛行」に勝るものはありませんが、私はこちらの方が好きですね。好みのイギリスの名機「スピットファイヤー」(日本語に訳すると「あばずれ女」です)の写真が配置されていたりして、こちらもこの機に乗って疾駆するダールを想像してしまいます。宮崎俊が好きだったのも、分かります。「紅の豚」はこの本がベースにあるのかもしれません。

ダールは、もちろん日本では「チャーリーとチョコレート工場」で有名ですが、奇妙な味わいの短編小説がいいです。翻訳には開高健、田村隆一などがやっていたりします。また、「007」シリーズの原作者イアン・フレミングのお友達で、「007は二度死ぬ」の脚本にも参加しています。そうか、あの映画で、主演のショーン・コネリーが九州の漁民に扮して敵に基地に近づくという、誰が見ても日本人の漁師に見えない珍妙な展開はダールの手によるものかいな、と推測してみたくなります。

 

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「ペーパークイリングと詩の作品展」始まります。

先ずはじっくりとご覧下さい。ひぇ〜こんなん、ひとつづ作ったの????、きっと、私なら1分でキレてしまいます。

紙をまいて、まいて、まいて∞に続いて出来上がった花々。手作業の極みです。作家さんのお話によると、葉っぱ一枚に約2時間とか。一番大きな作品は、夏真っ盛りを象徴するようなひまわりの花ですが、遠くから見ると、ふつ〜のひまわりですが、どうか作品ギリギリまで近づいてご覧下さい。すべて、紙をまいて、切って作り上げてあります。

「ペーパークイリング」という言葉は、まだ馴染みの薄い言葉ですが、発祥は中世ヨーロッッパで、聖書を作る時に発生する切れ端を、やっぱ聖書だし、破棄するのはなぁ〜という事で、何とか再利用を思案し、その紙切れで花を作って宗教画を飾るのに使ったのが最初らしいです。それが、贈物の小物に使われたりしてポップになって市民権を得たものです。

とにかく、遠くから眺めるのではなく、近寄って見て下さい。一つ、一つの葉っぱや、花を作るのに流れた膨大な時間と作家の思いを汲み取っていただきたいと思います。作家さんの作品をあしらった「花言葉おみくじ」(300円)等の小物も販売しております。クリスマスプレゼントに、今からご用意いただくのはいかがでしょう。

詩人としても活躍されている作家さんが発表された詩の同人誌も、店頭にご用意しております。作品を見ながら、お読み下さい。

 

 

 

 

 

 

 

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もう読んだから処分してとお預かりした本の中に、今野敏「凍土の密約」がありました。

実は、私は日本の刑事小説ものフリークで、特に公安ものは、タイトルにその言葉があるだけで買っていた時代がありました。そして、「内調」(内閣調査室)とか、「習志野」(空挺部隊のある場所)、とかの言葉を見つけるともう、心ウキウキです。KGBも、空自、陸自も、大好きです。(小説の中だけですが)最近は、私小説系統の純文学を読んでいて下向き加減でしたが、一気にテンションが上がりました。

で、今野敏の公安捜査官のこのシリーズも、文句なく面白い。FBIと市警が仲が悪いのは、アメリカ映画や小説のお決まりのパターンですが、公安と県警もこれまた、犬猿の中です。この小説でもご多分にもれず仲が悪い。主人公はこう言われる。

「そんなことは特捜本部でやる。さあ。さっさとここから(特捜本部)出て行け」周囲の刑事たちの眼差しからは、憎しみすら感じられた。

で、主人公の公安捜査官は、少ない仲間と終戦直後のロシアの対日戦略の秘密文書をめぐって暗躍するロシア極東軍(これも、私好み)の暗殺者と対決する。日本の警察は、基本的にドンパチはやらないし、女性とイチャイチャする時間もない。(そんな描写がある公安刑事小説は、噴飯ものです)公安刑事も忍者みたいに市中に潜んで、ひたすら情報集めに奔走する。そんな公安が活動する場所として東京は最適だと思います。とりわけ地下鉄を使った尾行や、追っかけ合いは必須です。この中にもありました。

300ページ余りの小説です。四天王寺の古書市への行き帰りで一気に読みました。帰宅するために、阪急淡路へと繋がる、地下鉄「天六」のホームを横目で確認しながら、東梅田まで行く判断を選択し、阪急に接続する東梅田地下街の曲がりくねった道を抜け、工事中の阪急百貨店入り口の休日の混雑を交わして、阪急梅田駅コンコースへの長いエスカレータに乗った、というまるで小説の文章もどきのことをやってしまいました。

今日二回目の古本市。今度はきれいな辻留さんの本を見つけました。こんな画集も買いました。今野さんの本は100円です。

 

四天王子古書市が始まっています。今日、朝から行ってきました。

狙うは、均一台。ここの均一台は、要注目。こんな本が、この価格!というのを見つける可能性が一番多い古本市です。逆にレティシア書房で1000円付けてる本が、300円ということもよくあります。何故か、京都関連の本で、そういう価格のズレがありますね。逆に、逆に京都関連の本は、ここで買えば、お得ということも勉強しました。今回も、辻留の辻 嘉一「料理 嘉言帳(昭和50年婦人画報社)をお買い得価格で見つけました。この人のお料理エッセイは売れるので、早速購入。

しかし、ろくに中身をチェックせずに持ち帰るとろくなことはありません。もう、カラフル線引き痕跡本でした。でも、この持ち主は、几帳面な方だったんでしょう、ボールペンは定規を当てて、ラインマーカーは黄色で統一されていました。しかも、前半部分は二カ所のみ。うち一カ所は、「上司小創作『鱧の皮』」という小説のタイトル部分です。持ち主は、この本を探したんでしょうか?

ところが、後半「食説法」から、急に線引きが増えます。

「食は、優れた肉体の源泉です。優れた文化が優れた頭脳と肉体とによって作られるのであれば、正しい食生活の認識と実践こそ、優秀な文化の礎といえるでしょう」

なんて文章にラインマーカーで線引きしてあると、うんうん、と頷いてしまいます。

また「酢は米酢にかぎります」という箇所には、ラインマーカーとボールペンの両方で線引きしてあります。そして、その後ろの文章

「もし、合成酢を使わざるを得ない時は、おろし大根をかるくしぼって少量混ぜるとか、清酒を加えたり、だし汁を混ぜ合わしたりして、酸味をおさえる」

にボールペンで線引きしてあって、持ち主が注意していたことがわかります。

痕跡本というのは、価値のない本として扱われますが、この本の持ち主は、おそらく料理関係の人だったと思うのですが、ご自身の仕事に真摯に向き合っていたのがわかる痕跡本です。

「お加減は体得するもの」

「料理というものは、その日その日の天候、体調に応じて創作するところに楽しみがある」

なんて、ところに几帳面に定規で線引きしているのを見ると、そんな気がします。痕跡も含めて、仕事への構え方のわかる「貴重」な一冊です。(店には出しませんが、見たい方はどうぞ。気に入られたら300円)

この方、今はどこの板長さんしておられるのかな〜?

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2013年のカレンダーが届きました。

 

8月に写真展を開催しましたARK(アニマルレフィージ関西)の犬と猫のカレンダーです。

今年もみんないい顔です。捨てられたり、傷つけられたりした彼らなのに、真っ直ぐな目で人をみつめています。

それを見ていると、彼らの問題は彼らにあるのではなく、人間側にあることがはっきりします。

『いつの世も、人を散歩にいざなう動機の一つは犬がいるから』

5月のページに書かれた言葉です。

そう、マロンがARKからやってきて6年、毎朝の散歩が私の足を鍛えてくれて、季節の移り変わりをいち早く教えてもらって、ホントに感謝。

 

『猫は呼べば来るかって?他にもっと面白いことがなければね。』

これもまた、正しい言葉です。(9月のページから)

仔猫のベベは3kgを超えるくらいに体重が増え、もはや大猫ですが、常に面白いことをみつけて部屋中を飛び回っております。もちろん人の言うことなど聞きません。

 

来年のカレンダーなんて10月に入ったばかりでせわしいことですが、夜など肌寒くなった途端、あの暑い暑い夏も忘却の彼方・・・。年末まで3ヶ月を切りました。

まだ来年の分を用意されていない方、2013年度ARKのカレンダーをよろしくお願いいたします。

カレンダーの売上は、今後のARKの活動(維持費、治療費、不妊手術など)に役立てられます。

年末までレティシア書房にて、取り扱っております。1部1000円。(本日入荷して、棚に置いたところ4部売れました。ありがとうございました。)

他に卓上用、800円もあります。こちらは1匹1匹の顔(名前とエピソードも書いてあります)のおしゃれなイラストです。クリスマスプレゼントなどにもぜひ。(女房)

 

 

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若い時、東京のライブを彷徨っていました。

渋谷で、やる気なさそうに「たばこの煙」を歌っていたのは五輪真弓(だと思うが、記憶が定かではない)、新宿PITINNに渡辺貞夫ライブを聴くために並んでいた時、前にいたのは渡辺香津美(だと思うが、記憶が定かではない)、どこの店か忘れましたが、ミカン箱に座ってきいたのは浅川マキ+山下洋輔(だと思うが、記憶が定かではない)と彷徨していました。で、六本木のバーで、聴いたのが酒井俊。

へらへらと女性同伴で甘〜い一夜を過ごそうという助平根性で飲みに入ったお店で、歌っていたのが彼女でした。ぺちゃくちゃ、くだらねぇ〜話で女性の気を引くつもりが、彼女の声に引っ張られてしまいました。

強い表現力、ブルース感覚一杯の歌声。圧倒されてしまいました。それから、ジャズ喫茶で彼女のレコードをリクエストしたり、買ったりしていました。(写真がそれです)それが、もう30年程前の話です。その彼女と再会しました。正確に言えば、彼女のCDで再会しました。

 

タイトルは”A few little things”す。べてカバー。といってもジャズスタンダードを歌い上げたありきたりの作品ではありません。曲を紹介します。「上を向いて歩こう」、「見上げてごらん夜の星を」「ヨイトマケの唄」といった日本の名曲、B・ディランの”I Shall Be Re”leased”、スティングの”Fragile”、そしてトム・ウェイツの”Grape Fruit Moon”とやるなぁーという選曲です。野口雨情&本居長世の「四丁目の犬」なんて曲も入っています。はっきり言って正統的ジャズにあらず。でも、傑作です。私は堀内敬三の「アラビアの唄」が気に入りました。

編成もユニーク。ドラム、ベース、チューバ、バイオリン、ギター、バンジョー、ベースが絶妙にバックをサポート。ジャズとか、ソウルとかジャンルなんてどうでもよろしい。人を引きつけて話さない力強さと、儚さ。数十年前に、同伴の女性をほっとらかしにした一時を思い出しました。

スタンダード曲を見事に解釈して、正確に表現する歌手はたくさんいます。しかし、あがた森魚、バーブ佐竹(古いですな)が歌う、夜の寂しさと孤独を、歌えるシンガーはそうはいません。

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「本の装飾は」は、そのままでは書架に並べられない本の中身を一個の品物にするための作業と述べた後、筆者はこう続けます。

「本の皮膚を、といってもよい。そのものの持って生まれた皮膚のようなものになりきることができたとき、その装飾はできたといえるし、私はやるべきことがやれたと思うだろう。本の装飾が美しいといわれることもまた、こうしたことにちがいないと思う。」

装丁家、栃折久美子さんの本「装丁ノート 製本工房から」(集英社文庫700円)からの抜粋です。彼女は文章が上手く、装丁に関する本を「美しい書物」、「モロッコ革の本」等10冊程書いています。書評やら、文学史的な本で名作と呼ばれるものは数多存在しますが、こと本の外側のことにつての書物で、専門的知識の羅列に陥らず、本についてのエッセイとして見事な作品は、彼女以外知りません。

この本では、自分は何故、装丁の仕事をするのか、美しい本とは何か、様々なスタイルの装丁、製本の本を取り上げて、職人的視線で見つめ直し、ある時はアーティスト的な感性で迫ってゆく様が、きっちりした文章で書かれています。職人と、アーティストとの境界線を行きつ戻りつしながら、こういう仕事を選んだ、女性の生き方の本として、私は読みました。仕事への姿勢について、こうも書いています。

「プロになるには修行がいる。修行を積めば熟練します。慣れて鼻歌を歌いながら仕事ができるようになります。生意気を言うようですが、この先を、どうやって慣れずにやって行くかが、大切なのではないでしょうか」

あとがきに、串田孫一が彼女の作った本を工芸品だと賞賛しつつ、立派すぎて敬遠される懸念を表しながら、こう締めくくっています。

「自分の愛読している本の一冊を、革の色なども注文して入念に製本し直して貰った人から便りを戴いたことがあった。『この革を更に美しく古びさせるまで読み続けたいと思います。』 そうなると、工芸品として賞賛される本に相応しい内容の文書を、じっくり構えて書かなければならない。」

作者と、装幀家と読者の幸せな関係とは、こういうものでしょう。

 

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「鍵泥棒のメソッド」を観に行きました。騙されがいのある、こんなハイクォリティーの日本映画はめったにない!

まずタイトルからして、仕掛けてきます。多くの一流の俳優を輩出したニューヨーク「アクターズ・スタジオ」の演技理論が「メソッド」と呼ばれていて、その意味をひっかけてあります。実は、主人公の自殺志願の男が、売れない役者なのです。そして、この男と、もう一人の主人公の裏家業の男が、映画の流れ的には全く違う意味を持っているんですが、どう考えても感情の動きを重視する「メソッド」を具体的に教えてくれるシーンがあるからです。

裏家業の男を演じる香川照之が、もう見事、見事という他ありません。最初の風呂場での××××のギャグに始まり、あのナイフが××××で、実は×××××だったこと(見事に観客を騙してくれます)また、自殺志願の役者役の堺雅人も、これまた微妙な表情の変化が見事、見事です。特に、後半やくざ相手に×××××な演技をするあたり、可笑しくて可笑しくて大変でした。そして、もう一人。ヒロイン役の広末涼子の、どっか現実離れしている編集者役も見逃せません。胸キュンの時の×××××サウンドもウィットがきいています。

ストーリーをお話しだすと、×××××××××××××××××××××××××な部分ばっかで、お読みの方に「ええかげんにせぇー!」とお叱りのメールが来そうなんで止めます。ハイクァオリティーの映画というのは、細かい部分まで脚本に書き込まれ、それをきちんとした役者が、そのすべてをくみ取り、カメラの前で演じているのだということを教えてくれる作品です。演技という虚構性をくすぐったりもして、ハイブローな映画でした。1800円は全く惜しくありません。

監督は内田けんじ。前作「アフタースクール」でも、お見事観客を騙かした才人。このブログ読んで、劇場に足を向ける気に成った方にアドヴァイスです。エンドロールの途中で立ち上がらないこと。ちょっとしたエピソードあり。あの女性も××××××××でした。と×××××だらけのブログになってしまいました。

 

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