年末から、多くの本が集まりました。これらの本達が新しい読者に巡り会えるようにがんばります。

その宝の山から、美しい絵本が出てきました。ご存知ガブリエル・バンサン、ブリュッセル生まれの絵本作家です。日本では、神戸のブックローンという出版社が一手に発行していました。傑作シリーズ「パプーリとフェデリコ」全3部作もありました。老人と少年の旅を通してほんとうの豊かさを描いて行きます。彼の絵の美しさは、私のごときボキャブラリー貧困人には、正確には表現できませんが、あえて言えば映画の一コマ一コマを観るように、登場人物に深い物語性を読み取ることができるということです。

三巻のラストで、老人が少年に向かってこう言います。

「おきき、わずかなもので、生きること。わずかなものしかもたなくてもたっぷり生きること」

そういう老人の優しさに満ちた顔と、力強い手の先の動きは素晴らしいものです。

もう一冊。「ナビル ある少年の物語」ピラミッドを探して砂漠を彷徨する少年を見つめた、日本版オリジナルデッサン絵本です。これはもう、正確に描き込まれた絵コンテです。映画「アラビアのロレンス」を思い起こします。砂漠に吹き付ける嵐を受けながら、前に進む少年の孤独と希望をデッサンに込めた一冊です。(この本、翻訳者の今江祥智さんのサイン入りです)

本の保管状態も良いので、お薦めです。もちろん、そんなに高く設定はしていません。(蛇足ながら「パプーリとフェデリコ」1巻はネットでは7000円以上で販売されています)

あっ、店頭に出そうとしたら、一冊ポロリと出てきました。お、レオ・レオニの“It’s Mine”(USプレス)でした。まだまだ、宝物がでてきそうです。随時ご紹介します、お楽しみに!

 

Tagged with:
 

私は、脈絡なく歌い、踊り出すミュージカルのファンです。40年代アメリカのミュージカルの名シーンを集めた「ザッツ・エンタテイメント」なんて、ビデオ→レーザーディスク→DVDBOXと集め、いまだに観ています。また、この時代のMGM製のミュージカル映画へのオマージュ一杯のフランス発のミュージカル「ロシュフォールの恋人たち」もDVDBOXまで揃え、サントラはCDに始まり、オリジナルフランス盤のレコード(高かった)まで買いあさり、密かに楽しんでいます。

しかし、物語に重きを置いた作品、例えば「サウンド・オブ・ミュージック」なんかは、ご免なさいです。(最後まで観たことありません)だから、その手の作品はず〜っと敬遠してきました。けれど、大学時代に日本で公開された「ジーザス・クライスト・スーパースター」は脳天直撃でした。映画ならではの凝った演出もさることながら、黒人の演じるユダと、ヒッピーカルチャーの体現者みたいなイエスの二人の友情と裏切り、そしてちょっとホモセクショナルな愛情関係までの描き方に力がありました。ラスト、蘇ったユダが、昇天するイエスに向かって、お前はスーパスターになるつもりだったか、お前は誰だ!と批判をぶつけるシーンは圧巻でした。この映画に説得力があったのは、二人の役者のアップに本物の迫力があったからです。人としての弱み、哀しみまで見事にカメラは捉えています。大事なのは説得力です。

そして「レ・ミゼラブル」。いや〜映画の王道です。ミュージカル映画なのに、のっけから圧巻のCG画面。骨太な物語を嘘っぽくしないために、監督は口パクで、歌を後から付けることをせず、その場で歌わせ、それを収録するこに徹したそうです。巧みに動くカメラが、正面から、サイドから、或は、頭上から役者を捉えます。俳優達は疾風怒濤の登場人物たちの人生の悲劇を、一つ一つの表情に、歌に託します。その説得力。「人間をまるごと描く」ことが映画の王道とするならば、この作品はその仕事を完璧に遂行しています。その役者の内在している力と、歌い出される言葉がシンクロして感動を与えてくれます。2時間40分。映画は力強く人間を描いていきます。ぜひ、大きなスクリーンで体験してください。

Tagged with:
 

29日スタートの「女子の古本市」DMです。楽しそうでしょ

 

 

2013年最初の個展は、滋賀県在住のひらやまなみさんの木版画展「空と樹」。

宮沢賢治の小説の「雪わたり」ご存知でしょうか。「堅雪かんこ、しみ雪こんこ」の台詞で始まるお話で、狐の森のパーティーに招待された子供たちと狐の交流を描いたものですが、その子供達が出てきそうな冬の家を描いた「静かな夜」という作品が、お出迎えです。夏葉社が昨年出版した「冬の本」の表紙を飾る和田誠が持っている、暖かい気持ちにさせてくれます。

やはり賢治の小説に「月夜のでんしんばしら」というユーモアあふれる作品があります。電信柱同士の会話?を描いたものです。彼らが話をするのは夜ですが、「星空」という作品を見ていると、この話を思い出します。作品は、星空を見上げる母娘を描いたものですが、小説に出てくるひょうきんな電信柱が「や〜元気」と登場して、電信柱踊りでも踊りそうな感じです。澄み切った青空をバックにして、踊り歌う母娘と電信柱の微笑ましい一時に、参加してみたいものです。

そして「木もれ日」という作品を柱に飾りました。もうこれは、賢治の小説なら「鹿踊りのはじまり」を思い出します。

「ざあざあ吹いていた風が、だんだん人のことばにきこえ、やがてそれは、いま北上の山の方や、野原に行われていた鹿踊りの、ほんとうの精神を語りました。」

きっと、この木の下で、鹿達と一緒に酒を酌み交わしたらうめぇ〜だろうと思います。

展示会の最後に飾ってあるのが「青の時間」。これは、北欧の童話を思わせます。大きな木が、ちょっと恐いような、寂しいような、でもこの木の横にある小さな家を守っているような、いろんなストーリーが浮かび上がります。

身近な人の温もりを感じ、自然の営みに耳を傾ける作家の日常が、優しい木版画になって、本屋のギャラリーもほっこりしています。

ひらやまなみ木版画展は、1月13日(日)まで。

なお、木版画詩文集「きょうもいい日」(ひらやまなみ 1470円)販売しています。

 

 

 

Tagged with:
 

池田理代子の「ベルサイユのばら」を全巻持っていたはずが、本棚にありません。誰かに貸したまま行方不明?突然、読み返そうと思ったのは、はい、宝塚大劇場 月組公演に行ってきたから。

この前に観たのは、まだ麻美れいさんがトップだった頃でした。んで、それは何年前や?と思ったら、彼女が退団してから27年は経っているらしい・・・・ってことは約30年ぶりという話です。

正直言って、今のスターの名前は知りません。このところすっかり宝塚漬けになっている友人Sの嬉しそうな様子に魔が差したというわけです。しかも、お正月公演はベルばら。アンドレとオスカルに急に会いたくなりました。結果は?

もうピンク!!ピンク!!キラキラキラ!!!!

花盛りの舞台に圧倒されました。何と言ってもこの物語は、今や宝塚のために書かれたと言っても過言ではない。金髪の長い髪のカツラを身につけたら、み〜んなオスカルやん。ってくらいみなさんキレイでした。オスカルの龍真咲さん(月組トップ、もちろん初めて知りました)も、アンドレの明日海りおさんも、それはそれは美しい。足長い。顔小さい。

帰り道も、帰宅後も、寝る前も、頭の中で「愛、それは〜は・か・な・く〜」とあの平尾正晃のメロディが鳴りっぱなしの一日でした。(女房)

Tagged with:
 

「murren vok12号」入荷しました。

この雑誌のコンセプトは「街と山をつなぐ」というユニークなもの。今回の特集は「地下の世界」扉にこう書かれています。

「山頂に着いて、草地に座って、お弁当を食べながらあたりの景色を眺めていたら、友人が『今座っているこの土の下にも。見えないくらい小さい虫とか、いっぱい住んでいるんだよね」と言った。地上と同じように地下にも世界が広がっている」

で、「地下に入る」という章がスタートします。そして「ケイビング体験記」へ。ケイビングとは洞窟探検のことで、アウトドアスポーツの一ジャンルなのだが、完全にマイナーな存在だとか。閉所恐怖症の人には、足下が震えてきそうな写真やら記事ですが、気分はベルヌの小説「地底探検」ですね。

その次の記事は笑えます。「地下に生きるーモグラのくらし」です。

「都会のコンクリート砂漠で住処を奪われつつあるモグラだが、今でも公演や低山ではモグラ塚が見られる。こんもりとやわらかい土をみて、モグラが今、足もとの地下でゆっくりと工事しているなと思うのも悪くない。」

案外、この動物のことって知られていないんですな。そして極めつけは「穴蔵喫茶」の紹介記事。「地下感をそそる?」お店が紹介されています。ここに掲載されているような喫茶店、かつては京都にもたくさんありましたが、今は。なんか100%キラキラ明るいお店が多いような気がします。

最後の記事は興味深いものです。タイトルは「モノリスが訴えかけるもの」。映画「2001年宇宙への旅」にでてくる謎の物体です。モノリスの意味は、土壌の断層標本。そして、この標本から読み取れる自然の循環サイクル、何故、映画にモノリスが登場したのかまでが語られています。是非、お読み下さい。525円。(11号までは完売しました。)

Tagged with:
 

本年もよろしくお願いします。

ギャラリーの個展は、次週1/8(火)スタートのひらやまなみさんの「木版画展 空と樹」から開始です。通常2週間単位の展示ですが、今回は1週間限りですので、よろしくお願いします。そして、16日からは荒木敏子さんの「FELTED WORKS」(27日まで)が始まります。29日からは女性店主十数名参加の「女子の古本市」を2月10日まで行います。参加店は

徒然舎(岐阜)/メリーゴーランド京都/花めがね本舗/風の駅/明楽/榊すいれん/本は人生のおやつです(大阪)/APIED/ムーレック/のわき/本のある部屋(大阪)/SANPO MAGAZINE(大阪)/山椒文庫+more

古書店店主、カフェオーナー、ミニプレス代表、個人参加等バラバラですが、華やかな古書市になりそうです。

なお、ギャラリーは、6月後半、7月、9月、11月中旬にはまだ空きがございます。一度、個展をやってみたいとお思いの方は、お問い合わせください。

昨年から始めた「はちはちinfinity cafe」のパン即売会は今年もやります、第一回は18日(金)午後4時からです。2月以降は、第一、第三金曜日に定期的におこなう予定です。

昨日、ドタバタと女房と二人でやっていた店内模様替えも、開店時間までには終了しました。ミニプレスコーナーがぐんと広がりました。しかし、まだスペースに余裕があると思っていたこのコーナーもはや満杯です。う〜ん、一年でこんなに増えたんですね。もちろん、お客様も増えました。

正月3日。大阪天神橋の古書市に行きました。いつもはフツーの人通りなのに、さすがお正月。天神さん帰りの初詣客で大賑わいでした。一冊の本を見つけました。「晩年の父 犀星」(昭和38年講談社)。著者は室生朝子さん。室生犀星のお嬢様です。日々弱って行く父親を見つめたエッセイです。文章が美しい、といっても華美な言葉があるわけではありません。昭和30年代の日本語の落ち着いた佇まいとでも言うのでしょうか。小津安二郎の映画を観ている時のような、静謐な気分になります。帰りの電車で半分も読んでしましました。こういう本を、集めたいものです。

 

Tagged with:
 

と言う事で、昨日から店内の配置換えを行ってます。文庫、ミニプレスが増えたことや、年末に到着した多くの文芸書を出すために、ギックリ腰に注意しながら始めました。3日は棚の移動。本日4日、朝から本の移動とディスプレイです。ギャラリーの個展は8日(火)から、「ひらやまなみ木版画展 空と樹」が始まります。5(土)、6(日)の二日間はギャラリースペースにて絵本&児童書のフェアを展開します。お時間あればお立ち寄り下さい。

さて、今年最初に観た映画は「情熱のピアニズム」。ジャズピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニのドキュメンタリーです。生まれつき骨形成不全症という障害を背負い、このため彼の身長は成長期になっても1メートルほどにしか伸びず、骨はもろく、またしばしば肺疾患に苦しめられます。スポーツ、野外活動が全く出来きませんでした。しかし、ジャズピアニストだった父親の影響でペトルチアーニの関心はもっぱら音楽に向けられるようになり、デューク・エリントンの音楽との出会いからジャズに傾倒し、ピアニストへの道を歩み始めます。

たった1メートル弱の身長で、つまり満足にフットペダルも踏むことができない、さらに骨がもろいゆえに叩き付けるようなパーカッシブなタッチが弾けないハンディを持ちながら、恐ろしく早い速度で情熱的な曲を演奏するかと思えば、美しいバラードも弾くというピアニストでした。その一方、多くの女性と恋をして、結婚、そして二世も誕生しました。ペトルチアーニのことは以前から知っていましたが、同じ様な障害を持った子どもがいたことは知りませんでした。映画は、彼の誕生から、36歳でこの世を去るまでを、本人や関係者へのインタビュー、ライブシーンを巧みに編集して追いかけます。自信家、悦楽主義者、女性問題を始終抱え込む好色家と様々なレッテルが貼られそうな人物ですが、彼はこう言っています

「フツーの人間がこの位置なら、その下にいるのが奇異な人。フツーの人の上にいるのが特別な人。私はその特別な人になる。」

ちょっと聴くと、硬質の冷え冷えとしたタッチのピアノの音ですが、その奥に広がる豊穣な世界に引き込まれると虜になってしまうサウンドは、「特別な人」にしか演奏できません。店にはエリントンの曲をソロで演奏したCDがありますので、良かったら聴いてみて下さい。

Tagged with:
 

12月30日、無事に年内最後の営業を終えて、年を越すことができました。日頃、ご贔屓にしていただいた皆様のおかげと感謝しております。

31日、オープン前からお世話になった善行堂さんにご挨拶に伺い、それから惠文社の古本市に行きました。新刊書店業界は、閑古鳥が鳴いていて悲惨な声しか耳に入ってきませんが、ここは違います。多くの人が古書や、新刊書を物色していました。この店が注目された頃、業界には、あすこは特殊だからと冷ややかな視線がありましたが、もっと謙虚に受け止めるべきだと思います。一書店を惠文社ブランドまで持っていった努力を、見習うべきでしょう。

大晦日、取りためていた大河ドラマ「平清盛」を一気(4週分ですが)に観ました。最低視聴率のドラマでしたが、私には最高に面白いドラマでした。後半、権力の頂上に登りつめた清盛の心の闇と、魔王の如く君臨する後白河法皇の冷え冷えとした心の闇が拮抗していました。その二人を演じた松山ケンイチ、松田翔太もお見事でした。松山に至っては、映画「地獄の黙示録」のマーロン・ブランドの如き、怪演でした。

夜、年越しの直前、愛犬の散歩に出かけると、まん丸いお月様と、冬の星々が目前に広がっていました。そして、静かに2012年は終わりました。さて、今年はどうなることやら?

昨年以上に、面白い本、ギャラリー個展をご提供できればと思っています。

本年もよろしくお願いいたします。5日より営業です。

 

2012年の営業最終日となりました。

無事に年越しを迎えることができたのは、開店以来ご贔屓いただいたお客様のおかげです。ホントウにありがとうございました。

誰も来ないんちゃう〜?なんて弱気になった日もありましたが、不思議に、誰か必ず覗いてくださいました。まるで、本の神様が、今日はあんた行ったってや、と指示してくれているみたいに。神様、この場を借りてお礼申し上げます。

ギャラリーもおかげさまで、様々なジャンルの作家さんに展示していただきました。切れ目無く御利用頂いたのも、たくさんの方の支えがあったからこそです。

オープニング「羊パレット2012」◉3/13〜25「Piece Action」◉3/27〜4/8家住利男写真展「彫刻」◉4/10〜22YOSSANN「想いのとどくノートブック 絵本原画展」(最終日はウクレレライブ)◉4/24〜5/6上村知弘写真展「Wild Sheep Country」◉5/8〜20廣田美乃「ヒロタノ個展」◉5/22〜6/3蛭多量令「スケッチ展」◉6/5〜17斎藤博「素描展・1972年乾期東アフリカサバンナの旅にて」◉6/19〜7/1「青幻舎フェア」◉7/3〜17翁再生硝子工房「氷コップ展」◉7/18〜29中村キョウ「Print Works2009-2012」◉7/31〜8/12「ARK写真展」◉8/14〜9/2「一箱古本市」、8/21〜9/2写真展「ぱんのキロクとぱんのキオク』◉9/4〜9「やんちゃ」さし絵原画展◉9/11〜23「EUSOL  MUSIC  COLLECTION」◉9/25〜10/7「北岡照子木版画遺作展+北岡広子銅版画展」◉10/9〜21「ペーパークイリングと詩の作品展」◉10/23〜11/4「高山正道作陶展」◉11/6〜18「勝田真由フェルト造形展」◉11/20〜12/2澤口弘子「羊・フェルト・風展」◉12/4〜16「オダアサコ銅版画展」◉12/8〜30「川久保貴代子ガラス展」

2013年は1/5から営業いたします。ギャラリーは1/8〜13「ひらやまなみ木版画展」で幕開けです。

古書に詳しい多くのお客様から、いろんな書物のこと教えていただきました。同じ、本でも新刊書店時代とは全く違うことがよく分かりました。新刊を販売していた時、井伏鱒二とか福永武彦とか串田孫一なんて、殆ど売った経験ありませんでしたが、古書店をやってとても身近な作家になりました。これからも教えを乞いながら、店の書架を楽しいものにしていければと思っています。来年もいい本に出会えられますように。

新しい年が、皆様にとって良い年でありますように。

来年もどうぞよろしくお願いします。(店長&女房)

 

 

 

 

 

Tagged with: