「itona」(いとな)は「富山の風土に向き合って生きている20〜50代の女子たちが、共同で執筆する小さな情報誌。カメラ片手に、自らペンを取り、自分たちの日常を紹介」という主旨で製作されているミニプレスです。現在4号まで発行されていて、すべて揃えて販売しています。

巻頭にはその号の製作に関与した女性たちのプロフィ−ルが掲載されています。編集長の明石あおいさんは、葵祭の日に生まれた京都女子。その周りに、個性的な女性が集まっています。編集方針としては、毎号大きなテーマを決め、それに沿ってライターたちが町に飛び出し、足でかせいだ原稿と写真を持ち寄り、豊富な内容の一冊に仕上がっています。

1号は「女子13人分の富山」、2号が「雪国だからこそ。」、3号が「乗り物天国、富山」、4号が「山に富む県」というのがテーマです。

3号で、立山連峰「多手山プロジェクト」という面白い企画という記事を見つけました。これ、山地方鉄道・立山線沿線の住民のプロジェクトです。富山には多くの観光客が向かいますが、その沿線にはなかなか興味をもってもらえない。少しでも立山町のことを知ってもらおうという企画です。

で、中身は列車に向かって手をふる。それだけです…….。はっ??てシンプルな企画ですが、会を重ねるごとに多くの人が参加。「オ〜イ」と手をふって、遠くの人に思いを伝えるだけなのに、知らない者同士に連帯が出来てきています。

「自分の暮らすまちが面白く思える瞬間って、こんな小さなきっかけかもしれません。退屈だなぁと思っていた風景が、ある日を境に魅力的に映る。」と取材された立山町在住の陶芸家、釋永陽さんは書かれています。

女性の視点で切り取った日常の風景に潜む幸せを、見せてくれるミニプレスです。各号1620円(税込み)

蛇足ながら、富山地方鉄道・立山線を走る電車は、どう見ても京阪電車の車両に見えてくるのですが、詳しい方教えて下さい。

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8月9日(火)〜8月20日(土)20数店が今年も店内に出店します!

 

 

ドイツ文学者で、名エッセイストの池内紀の「戦争よりも本がいい」(講談社2000円)が入荷しました。

「偏愛的人間」、「異能、奇才、名人、達人」、「旅と民俗」、「人生のデザイン」等全九章に分けて、様々な本が手短かに紹介され、そして著者の思いが的確に書き込んである大著(約400ページ)です。

章の中に「戦争よりも本がいい」があり、12冊の本が紹介されています。その中の一編「甘党のお守り」は、松崎寛雄「饅頭博物誌」という1973年に発行されたもので、これ、「饅頭の生成、ひろがり、変化、饅頭文化の諸相、詩歌、演芸、小咄などにみる饅頭」を解説したものです。池内は最後にこのようにしめくくります。

「この民間の饅頭博士は召集を受け、戦場を飢餓を体験した。身にしみて戦争の時代を知っている。非常時になると、なぜかまっ先に甘味が姿を消していくものである。津々浦々、多彩な饅頭と対面できるのは、二つとない平和の証し。」

或は、明治40年生まれの伊藤芳夫著「サボテン百科」の中で、何故か戦争直前になると、サボテンが流行ると指摘されています。日露戦争前、大正初期、第一次大戦前、そして昭和10年代、国中がキナ臭くなってきた時に、自発的流行があったという。ここでも、池内は、著者伊藤を「こころならずも軍国主義の時代にいき合わせた。過酷な条件にあって生きのびるすべてをこころえたサボテンに、ことのほか愛着を覚えたのではあるまいか。」と思いやっています。

このボリュームたっぷりの書評集を、ぱっと開いたページから読み始めることをお薦めします。池内の文章が、素晴らしく、かなり前に書かれた本の事でも、興味深くへぇ〜と熱中して読んでしまいます。

池内のエッセイなら、ほかに、「なじみの店」(みすず書房500円)や、世紀末ウィーンで、辛辣な言葉で、時代に喧嘩を売り続けたカール・クラウスが出版していた「炬火」を中心に描いた「闇にひとつ炬火あり」(筑摩書房1000円)も面白いです。

 

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「ダブリンの街角で」で素敵な音楽映画を作ったジョン・カーニー監督の最新作「シング・ストリート」を観ました。ずばり、元気が出ます。

1980年代、大不況真っただ中のダブリン。TVで放映されるミュージックビデオ(MTV)に触発された高校生たちが、バンドを結成し、自分たちのプロモートビデオを制作し、学校でライブをするまでを描いた青春映画です。初恋があり、家庭内のゴタゴタ、学校内ではいじめもあり、そして、ワタシら60歳前後のおっさんにとっては、切ない青春映画として心の奥にしまい込んでいた「小さな恋のメロディー」のあのファンタジー一杯のラストあり、とてんこ盛りです。

少年たちがMTV最盛期の80年代だった、という設定が面白かった。この手合いの音楽映画では、ロック創成期や、ジャズの変革期、或は時代の変わり目に登場してきた人物が、新しい音楽作りで苦闘する物語が中心になることが多いものです。

しかし、ここの少年たちは、MTVのミュージシャンのスタイルを真似て、髪の毛を染めて、うっすらと化粧していきます。先行するデヴッド・ボウイ等のグラムロック系の影響もありますが、お化粧するオシャレを身にまとって音楽をやると言う少年が主人公は初めてではないでしょうか。

高校の体育館で行われるライブは、もうエキサイティングでウキウキしてきます。「バック・トゥ・ザ・ヒューチャー」でチャック・ベリーよろしくギターを持って大暴れしていた主人公を思いだしました。

大学を中退して引きこもっている少年の兄が、音楽オタクで、あの時代の音楽に馴染んだ方にはニンマリする台詞連発ですが、屈折した心の奥を口に出し、ラスト、少年を見送る笑顔が泣かせます。

あぁこんな胸キュンの青春時代あったよなぁ〜、という気分に浸りながら、パンチのきいた音楽で蒸し暑い日の不快感が吹き飛びました。オススメです。

 

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10日程前にこのブログでご紹介した「最近の本ですが、安くて、これは買っといて損なしの本」の第2弾です

先ずは、山下喜子「京都歳事記 季まひまひ」(400円)。京都を舞台にした歳事記は、沢山出版されていますが、これは文章が素敵です。

例えば、「桜寺」。著者は深草や、墨染、桃山などの京阪電車の駅を通る時、「ふと少将や小町の世が幻のように脳裏をよぎる。」と感じ、春、墨染駅で下車し、通称桜寺、墨染(ぼくせん)寺に向かいます。そして、

「この寺の大きな桜の下に歌右衛門寄進の井がある。折しも花吹雪、桜襲を被た役者が花の精になり代わって舞うように」と結び、自作と句友の俳句を添えてあります。

短い文章で、ちょっとした季節の変化を敏感に捉え、この街を描写していきます。ほとんど写真がないのに、その情景が眼前に現れてくる一冊です。

同じく京都を舞台にした本で「ふるさと文学さんぽ 京都」(500円)こちらは、京都を舞台にした小説をセレクトした本なのです。「寺と庭」という京都らしいセレクトもありますが、「大学」という切り口では、野間宏「暗い絵」や万城目学の「鴨川ホルモー」と京都大学が紹介されたり、「海」では中勘助の「天の橋立」が紹介されたり、「川」では、唐十郎の「安寿子の靴」とかユニークなセレクションで読ませてくれます。ところで、愛犬の散歩に毎日通う御所が舞台のお話も登場します。それは、大和和紀の「あさきゆめみし」というコミックです。

次は、内田樹「マンガでわかる戦後ニッポン」(700円)をご紹介します。「廃墟からの復興」では、手塚治虫、水木しげる、つげ義春を取り上げ、「高度成長の時代」では、ちばつつや、大友克洋らの作品を通じて、時代を見つめ、最終章「過去から未来へ」では岡崎京子、谷口ジロー、村上もとかの作品で、この国の行く末を見つめるというアンソロジーです。400数十ページの大著で、読み見応え十分です。

最後に開高健の「孔雀の舌」(400円)。開高の全食暦、全酒暦を網羅した大著(553ページ)です。食に関する本なんて、もう嫌に成る程出版されていますが、これほど食べること、飲むことへのあくなき探求を本にしたものはないでしょう。

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梅雨が明けていよいよ夏本番。こういう時期は色々なところで『ガラス展』が開催されます。今日から、レティシア書房でも、涼しげな軽やかなガラスたちが、並びました。

斎藤晃子さんは、倉敷芸術科学大学大学院を修了後、金沢卯辰山工房の研修生を経て、京都で活動中の作家で、電気炉で型を使う技法で制作しています。

彼女のふわりとした外見からは想像出来ない程、大きく力強いフォルムと、深い色合いのガラスのオブジェには、ワタクシ心がざわめきました。ガラスのヒダの重なり、見る角度によって変化する表情など、普段あまり大きなガラス作品に接する機会がない方にも、ぜひ近くでご覧いただきたいです。

 

一方で、小さなガラスのお皿や、ブローチ、箸置きなどの可愛いこと。巷には安価なアクセサリーがいっぱいあります。けれど、一つ一つ丁寧に作られた作品は、小さな中にも表情があり、大切にもっていたいと思わせる魅力に溢れています。色のガラスを型に並べて溶かした皿は、宝石みたいに美しく、手に取ると愛しくなってきます。

今回は、ガラスのモビールを、たくさん吊り下げていただきました。本屋のクーラーの風にかすかに揺れて、目にも涼しげです。風鈴もいいけど、透明感のあるモビールもなかなか夏向きですね。

本屋の個展に際して、つくってもらったブックマーカーなど、手仕事の良さを感じていただければ、と思います。(女房)

★「サイトウガラス展」は8月7日(日)まで。1日(月)は定休。最終日は18時まで。

 

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「獅子奮迅」というべきか、「奮闘努力」と言うべきか。この人には、とにかく頭が下がります。

前川恒雄さん。彼の著書のタイトルは「移動図書館 ひまわり号」(夏葉社2160円)です。

昭和39年。東海道新幹線が開通し、東京オリンピックに浮かれていた頃、彼は、東京の多摩地域にある日野市に、図書館設立のための委員会のメンバーとして赴任します。当時の図書館を取り巻く環境は劣悪で、閲覧室の受験生の自習室化、在庫の悪さ等惨憺たるものでした。市民のための図書館を求める著者は、図書館設立のための大きな敵とのバトルを始めます。大きな敵とは、即ち役所です。無気力で、後ろ向きな”お役所仕事”と、新しい事をやろうとする人間の足を引っ張る職員の壁を切り崩して、新しい図書館を立ち上げた著者の日々を、私たちは追体験していきます。

おんぼろバスを買取り、移動図書館として再生させて、各地を回ってゆくところからスタートします。(当時のひまわり号の写真の付いています)そのひたむきな努力。やがて、著者の周りに、やはり本を愛するスタッフが集まり、市内を巡回していきます。少しずつ増える読者。しかし、そんな活動を冷ややかに見つめる職員や、地元政治家。例えば、「みんなをあんまり賢くしてもらうと困るんだよな」と冗談めかして言う市会議員。

「人々が賢くなり知識を持つことを恐れる者たちが、図書館づくりを陰から妨害する。自分の貧しい精神の枠内で人々を指導しようとする者たちが、図書館の発展を喜ばず、人々を図書館から遠ざける。」と著者は憤慨します。

市民に寄り添った図書館という熱意が、ここまで人を動かし、役所の考えを改めさせるのか。同じ、本を扱う人間として、感動しました。

しかし、著者はどこまでも冷静です。波瀾万丈の物語にするのではなく、新聞のルポルタージュ的に、事実を積み重ねていきます。だからこそ、心の奥に燃え続ける本への愛情が伝わってきます。

昨年、安倍政権下、高市早苗総務相は、図書館等への指定管理者制度導入推進となる地方交付税算定方法の変更などを提議しました。地方交付税は政府の方針に従うかどうかは関係なく、地方財政安定のためにある制度であるのに、それで図書館などの民間委託を進めようとしているとか。「復刊に際して」という後書きで著者は、利益追求型の図書館が増え、市民に寄り添った図書館が消えてゆくことを危惧されています。

実は、この本、1988年「移動図書館ひまわり号」として筑摩書房から刊行されました。それを、夏葉社が今回復刻させましたが、名著と呼ぶに相応しい一冊です。夏葉社さんに拍手ですね。

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連日「暮しの手帖」創刊号のお問い合わせをいただいておりますが、すでに売切れです。スミマセン。

NHK朝の連ドラで、「暮らしの手帖」の発行に至る経緯と、編集長花森安治という人物に改めて興味を持たれた方が多いのかもしれません。創刊号から100号までの第一世代は手元にもうありませんが、64年秋号から、隔月発行になった発行分までなら、すべてではありませんが在庫があります。

まだ、この頃は表紙も挿画も花森が担当していた事がわかります。(写真撮影は別人です)そして、号によっては彼の長文のエッセイを読むことができます。64年秋号では、巻頭に「「もっと美しく着るために」という「おしゃれ」への確固たる思いが綴られています。今読むと、当然古くさい部分もあります。しかし着るものが、自分というもののレッテルであり、中身を変えるより、レッテルを変える方が容易いことに対して

「服というものは、人間が暮らしてゆくための、大切な道具である、自分にレッテルをはるような気持ちだけで着ていたのでは、いつまでたっても、文字通り<身丈の合わない>ものを借り着しているわけで、それが美しいわけではないのである」と説得力のある文章で結んでいます。

これらの号は、それぞれ読み応え十分な記事や、レポート満載なのですが、思わず目を見張ったのが、67年夏号の「男が家にいるとき」という、男性の家着の写真です。わざとらしさに笑えてくるのですが、その色使い、レイアウトにはほとほと感心しました。男が部屋着等にこだわるのは沽券にかかわる、とか思われていた時代に『すくなくともステテコ一枚、よれよれ浴衣よりは一歩前進しているようだ 試してみたまえ』と見出しに書かれています。

現在これらの号以外にも、79年から84年にかけてのものが、十数冊あります。表紙は藤森清治で、花森は挿画で一部参加しています。花森のセンスのいい表紙も魅力的ですが、藤森の描いた女性たちも、ビビットで、ステキな映画を見ているようです。部屋に飾っておきたいと思う絵です。83年ぐらいから目線に力強い意志を反映させた作品が増えてくるのは、女性が社会へと飛び出した時代を象徴しています。

バックナンバーはすべて500円です。

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「耳のなかで縛られた真紅の焔が/高くころがり大きなワナ/焔の道に火とともに跳ねる/思想をわたしの地図としながら。/「せとぎわであろう、じきに」とわたしは言った/ひたいをあつくして誇らかに。/ああ、あのときわたしは今よりもふけていて/今はあのときよりも ずっとわかい」

象徴詩のような言葉が並んでいますが、最後のフレーズで音楽好きの人には、あ〜あれか、とピンと来るでしょう。そう、ボブ・ディランの「マイ・バック・ページ」の一番の歌詞です。なんのこっちゃ理解不能にもかかわらず、”Ah , but I was so much older then ,I’m younger than that now.”というリフレインに心躍らされて来ました。

大学時代に初めて聴いて、衝撃を受けて、片桐ユズルの翻訳した分厚い詩集を買って、解った様な気分でキャンパスを闊歩していたことを思いだします。しかし、その後、ディランは、うっとおしい存在になったり、聴きたくもなくなったり、しかし、急にのめり込んだりという事を繰り返してきました。ボブ・ディランというミュージシャンは、私にとって不思議な人です。

思うに、気分的に後ろ向きの時とか、やましい時なんかに、ディランは忍びこんでくるのかもしれません。だからと言って、癒してくれるとか慰めてくれるとか、そんなことはありません。その時のそのままの姿を肯定してくれて、ま、そんなものでしょう、とため息混じりに去ってゆく・・・ような気がします。

64年、ディランはこんな言葉を残しています

「内側から素直に出て来る歌だけを歌いたい。歩いたり、話したりするのと同じように歌が書きたいのさ」

彼の言葉を集めた「自由に生きる言葉」(イーストプレス600円)には、そんな言葉がギッシリ詰まっています。

私のお薦めはアルバム”SLOW TRAIN COMING”(US盤800円)です。

「ぐだぐだ言わず、働いて、安酒飲んで寝ちまえ」みたいな積極的後ろ向き人生を歌ってくれているのが、心地よいアルバムです。忌野清志郎が、名曲「いい事ばかり ありゃしない」で、「新宿駅のベンチでウトウト、吉祥寺あたりで ゲロ吐いて すっかり 酔いも 醒めちまった 涙ぐんでも はじまらねえ 金が欲しくて働いて 眠るだけ」と歌っていますが、あの気分です。

でも、そんな歌こそが、ほんの、ほんの少しだけの生きる力を与えてくれると思うのです。

 

 

「特集−寺泊、弥彦、岩屋、巻編」

と言われても、え?どこ?何県?、て感じですが、新潟発のミニプレス「Life-mag」最新号(972円)の表紙に書かれた地名です。新潟県弥彦山周辺の地域の、歴史、文化を見つめた特集です。長岡市の「寺泊」、西浦原郡弥彦村の「弥彦」、新潟市の「岩室」と「巻」。

越の国、開祖の祖神「おやひこさま」の姿を追いかけるルポからスタートします。この祖神を祀る彌彦神社の起源を権宮司に聞き、神事、様々な行事に参加しながらひも解いていきます。なにやら「ブラタモリ」的楽しさもある内容です。宮司へのインタビューで、神様も間違いをおかす?という話は見逃せません。

そして、もう一つの特集は、東北電力が角海浜に建設予定の原子力発電所をめぐる、旧巻町で行われた住民投票です。65年ぐらいから東北電力はダミー会社を動かし、大型レジャー施設建設という名目で土地の買収を開始、69年に「新潟日報」にすっぱ抜かれました。そして94年、建設計画が具体化してから、紆余曲折を経て、96年、日本初の条例に基づく住民投票が実施され、建設反対の結果を出しました。

が、電力会社、国、県はそれを無視。長い裁判闘争を経て、2003年計画は中止されました。その長く苦しい道程を、元巻町長や、反対運動を起こした人へのインタビューと、当時の貴重な写真で見せてくれます。

京都から新潟は遠い場所ですが、知らない地域のことを知って、行ってみようかなと思わせたら、ミニプレスの力って、そこらの付録だらけの雑誌より強いと、私は信じています。

その他にも、巻出身のシンガーソングライター(ステージ写真がとてもステキなじぃちゃんです)や、弥彦生まれで「劇団新派」唯一の女形の役者、英太郎さん等々が登場しますが、どなたも魅力的です。

「Life-mag」は、これから当店で取り扱いを始めますので、新潟出身の方も、そうでない方もぜひ一度、手に取ってみてください。

もう一点、南房総発のフリーペーパー「0470」も店頭配布を始めました。紅白の鯉が表紙のフリーペーパーです。こちらは数に限りがありますのでお早めに。

 

「お前の訳文が曲がっているのは、生き方が曲がってるからだ。」

こんなこと言われたら、落ち込みますよね。言われたのは、翻訳家の都甲幸治。これ、「都甲幸治対談集 読んで、訳して、語り合う」(立東舎1300円)の中の「翻訳家ができるまで」というテーマの対談の一部です。

対談相手は、今人気の岸本佐知子で、彼女も翻訳学校時代で、もう徹底的にしごかれて、学校の帰り道、「駅に向かいながらひっくひっく泣きました。」と告白しています。

因みに、冒頭の言葉を言い放ったのは、彼を教える立場にいた、柴田元幸。

岸本以外に、いしいしんじ、堀江敏幸、内田樹、柴田元幸、藤井光等とのユニークな対談を集めてあります。海外文学が専門の方々が多いのですが、村上春樹の「1Q84」をテーマにした都甲幸治×内田樹×沼野充義の対談は、そんなに村上フリークではない私でも、引きずりこまれました。

「僕は村上さんにはたぶん男性をどう『武装解除』するかということがひとつのテーマとしてあるような気がするんですよ。」と切り出した内田は、

「今の世界は、男性中心主義が解体されて、フェミニンな共産主義みたいなもののほうへ、ゆっくりと向かってるような気がするんですね。そのなかで『村上春樹的父親』はあらゆる家父長制が解体されたあとに最後に残りそうな、もっともしぶとい父性だと思うんです。それをどうやって武装解除するかということが村上さん自身のパーソナルなテーマ」と、結論づけています。

さて、爆笑ものの対談は、京都在住の小説家いしいしんじとの対談です。この中で、日本では海外文学を読んでると、おしゃれ!と言われがちですが、いしいさんは海外文学は「ぐちゃぐちゃで臭くて、下品で、ひどい話ばっかりですね。でも、ぐちゃぐちゃであるほど面白いんで。」と言っています。「ぐちゃぐちゃであるほど面白い」のは日本文学も一緒ですね。