政治屋さんがよく御使用されるお言葉「粛々と進めてまいります」。「粛々」の意味知ってますか?

・ひっそりと静まりかえっていること ・おごそかなさま ・つつしみうやまうさま

政治屋さん、失格です。この言葉をお使いなら、本日より取り扱い始めたミニプレス「Shuku Shuku」をご一読下さい。創刊のことばにこうあります。

3・11以降、暮しの根本について真剣に考える人が増えています。「日々をより丁寧にまっすぐにしていきたい」 そんな想いを持って生きている人を取材しながら。雑誌を作りたいと思いました。「Shuku Shuku」は、これからの豊かさとはなにか、哲学していくライフスタイルマガジンです。

セラピスト石井健介さんの豊かになるための「暮しの引き算」にこうあります

1依存しない、依存させない 2冷やさない 3コンビニでモノを買わない 4人のせいにしない 5無理しない

ね、興味深いでしょ。

今回、インタビューが二つ入っています。一人は文化人類学者で、「ナマケモノ倶楽部」主宰の辻信一さん。3・11以後の生き方、考え方についてのインタビューです。この時代、そして来るべき時代を語り、我々は、あまりにも先を急ぎすぎて、魂をおいてけぼりにした。だから、こう言われます

魂を失くさないようにスローなペースで生きていく

もう一人はミュージシャンのCarvanさん。私はお初の方でしたが、久しぶりに澄んだ目をしたミュージシャンの顔を見ました。遠くを見ているというのでしょうか。あえていえば、忌野清志郎みたいな視線。いいなぁ〜この人。彼はインタビューでこう言います

自分にとっての幸せについてちゃんと自問しながら生きていきたい。そうしていかないといろいろブレちゃうから。

再び創刊のことばにもどります。最後にこう書かれてあります

粛々と生きていくための知恵を集めた雑誌を創りたいと思いました。

いやぁ、立派に出来上がっています。500円で、色々考えさてくれるなんて、お見事です。応援しますよ、小さな古書店ですけれどね。

 

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素敵な銅版画展が始まりました。見て良し、そして、ちょっと距離をおいてじっと考えて、なお良しです。

「bird」というタイトルの付いた作品。上半身裸の女性が、、恐らくシャワーの後、髪の毛をタオルで拭いているという状況でしょう。その女性のタオルの先端に鳥が羽ばたいている不思議な作品です。見た瞬間、鳥になることを夢見る青年の心を描いた映画「バーディ」を思い出しました。あの映画で象徴的に描かれた自由への渇望が、そのまま、この作品にあるわけではありません。しかし、あれっ、私はまだ未知の空へ飛んで行けるんだ、というファワ〜とした離陸への憧れが感じられます。

DMに使われているヘアドライヤーをしている女性の髪の先から鳥が飛び出している作品にも、力むことなく離陸する女性の心情が溢れています。これらの作品に合う本をならべたいところです。どの作品も強い主張をしているわけではないのですが、手強い。軽めの本では吹き飛ばされそうです。ここは一つ、理論的に攻め込んで来る重装備の本や、しっかりした方向性のある本を並べてみたい。

先ずはリンドバーグ「海からの贈りもの」。「海辺にて」の最初はこう始まります

………その時わたしは、浜辺と同じように、どこまでも続く空っぽなものになる

この作品の女性達は、からっぽになることを求めているようにも見えます。

そして、「牡蠣のベッド」のフレーズに曰く

…….中年は、ほんとうに自分自身でいられる年代かもしれない

ことを会得してゆくのかもしれませんね。

ところで、一番好きなのは下の作品です。あぁ〜酒飲みたいなぁ〜という気にさせる作品です。この、雲みたいなものの存在が心落ち着かせます。渋いバーのカウンターの向こう側に飾ってあれば素敵です。お供する本は原尞「ミステリオーソ映画とジャズと小説と」(600円)に決まりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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私は、極めて社会、政治には無関心です。大学時代、ボーリング行こうよ、と彼女に誘ったものの、今日学生集会でしょ、出ないの?サイテェ〜と罵られても、なんで集会?つまらん、わからん、と違う女の子とヘラヘラボーリングにいそしんで以来、どうでもいいや、と決めてきました。(のわりには、奄美の黒ウサギ訴訟やら、アフリカ象救援プロジェクトや、田辺トラスト運動には参加してましたが)

その私が、おっさんらアホか!と思うことに遭遇しました。それは、滋賀県の嘉田由紀子知事が新党を立ち上げ、卒原発を政策の柱に掲げた時に、他の政治家さんやら、報道屋さんやら、知識屋のおっちゃんたちが、シングルイシューでは国の運営はできないと、私達はプロですからみたいな顔でおっしゃる。卒原発だけで、他の経済やら外交に関する政策がないという事ですか? はぁ〜?はぁ〜?

卒原発なら、外交は反核、平和だし、エコロジー重視、地球との共生へと向かうし、有機農法で、安心した食生活をして、もう右肩上がりの生活なんて望まずに、琵琶湖で釣でもしながらゆっくり暮しましょうと全方位へと向かうはずじゃないですか?え?現実の複雑な政治メカニズムの中では、困難ですって?そんな事、夢物語!ですか?ジョン・レノンの「イマジン」の出だしは「夢見てごらん」ですよね。えっ、レノンも知らないんでっか?

南草津で書店をやっていた時、嘉田由紀子さんが知事として来店されました。ま、挨拶程度でしたけれども、穏やかに話をされる方でした。少なくとも、シングルイシューではダメなどと言いふらす不埒な輩とは見ている先が違うように思いました。

そういえば、俳優&監督の御大クリント・イーストウッドは、かつて一期だけ自分の住んでいたカーメル市の市長をやったことがあります。その理由は、美しい海岸にみんな平気でゴミを放棄していたからです。彼が泳いだり、釣をする海岸が汚れる!俺の海が汚れる!!何すんねん!!というシングルイシューだけで市長になり、見事海岸を保全。二期目をすることなく本業に戻りました。それもありですね。

滋賀県に住まいを構えておられた(今もかな)梨木香歩さんは、「水辺にて」(表紙の写真は星野道夫です)でこう書いています

自然は長い長い時間を掛けて、人工のものも外来種もやがて自分の一部として溶け込ませ、優しい循環を成してゆく。「定着」ということには時間が必要だ。

現代のほとんど全ての問題が、時間を掛けてゆっくり成熟させることを軽んじてきて、そのことが社会に、もう手遅れかも知れない、という絶望的なほども危機感を募らせている…….。

「優しい循環」なんて言葉、頭の固いおっちゃんには分からんだろうけどね。

 

★レティシア書房店内で行う「女子の古本市」詳細です

期間は1月29日(火)〜2月10日(日)です。

搬入は前日までに、精算は搬出後順次行います。場所はギャラリー部分を開放します。ご自宅に眠っている本を出してみて下さい。参加ご希望の方はお店まで☎、メールをお願いします。先着順です。

 

 

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11月29日夕方、ご来店された女性が「茶路めん羊牧場」のカードやら石鹸やらソックスを買って下さいました。店主が「羊関係の方ですか」とお尋ねすると、なんと先日北海道の茶路めん羊牧場へ行きました、というお答え。

神戸の王子動物園にお勤めで、牧場に興味を持っていただいたみたいです。

 

ご存じない方のために(ほとんどの方ですね)言いますと、牧場は釧路から車で1時間余り、白糠町という所にあります。町の中心(小さな小さな町ですが、さすが北海道!美味しいラーメン屋さんやレストランがあります)JR白糠駅からさらに20〜30分ほど茶路川を上って行くと牧場が広がってきます。その中で羊だけを放牧しているのが茶路めん羊牧場です。あの風景を共有しているというだけで、初めてお会いした方にスッゴイ親近感を抱いてしまい、ご迷惑を顧みずお引き止めいたしました。我々にとっては本当に嬉しい出会いでした。ありがとうございました。

あ、因みにここの石鹸は、(身びいきと言われるかもしれませんが)確かにいいですよ。

そもそも古代ローマはサポーの丘の神殿で、神様への捧げものとして祭壇で焼かれた羊の 滴り落ちる油と木灰が混じって反応が起こり、これがしみ込んだ土が「汚れを落とす土」と珍重された。これがサポーの丘の石鹸誕生物語なのだそうです。

んで、茶路めん羊牧場が、羊油からつくったのが「sapoの丘」という石鹸です。

詳しくは牧場のホームページを見て頂ければ嬉しいです。(女房)

 

 

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新しいミニプレス入荷です。タイトルは「雲遊天下」バックナンバーも含めて11種入荷しました。店においてあるミニプレスは、地方からの生活提案型の「お金なくても、豊かに暮そう」的テーマの本が多いのですが、こちらは「毎日が、文化の日みたいに暮そうよ」みたいな雑誌です。なんのこっちゃ??

107号は特集が「うたがうまれるところ」、105号が「映画を越えて」、103号が「写真家の流儀」、101号が「雑誌のゆくえ」とこれだけ書けば、あ〜サブカル系ね、と思われる方もおられでしょうが、固有名詞や作品名の羅列の駄菓子屋みたいなもんではありません。その辺のサブカルオタク系雑誌と似て非なるところは、執筆者の語り口(文章)がもの静かなことです。よって嫌みが全くない。

執筆者の一部をご紹介すると友部正人、早川義夫、大塚まさじ、豊田勇造等の音楽系、大竹昭子、岡崎武志等の書物系 滝本誠の映画系など入り乱れての登場です。最新号111の特集は素敵です。「なくなったもの」です。

のむみちさんは、「失われた名画座、失われる名画座」で、こう言います

今は無きモノ、今は亡き役者、今は亡き風景、失われた豊かな何かを、映画を通して我々に教えてくれる名画座を、これ以上失う訳にはいかないのです。

或は、岡崎武志さんは、上京した当時、大都会を前にして萎縮して臆病になり、出身地の大阪弁も使えなくなります。それが、二十数年後の今日、こう思います

大東京を前に、あの気弱で臆病だった私はいなくなった。二十数年は確実に橋の下を流れていったのだ。

彼は「気弱で臆病な私」を無くしたのでした。

連載では、友部正人さんの「ニューヨークを踏んづけた人たち」の文章がたまらなく素敵です。

レイアウトや、装丁に凝るというより、愚直に「書く」ということを求めた本です。税込み525円。和田誠の「お楽しみはこれからだ」的に言えば、「お楽しみは、すべてここにある」です。

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23cmの本で、価格は5000円。1cm辺り220円弱のお買い得です。これは、お得です。

で、何の本かというと岩波書店発行「寺田寅彦全随筆」全6巻のことです。古本屋するまで知らなかったんですが、物理学者として有名な寺田には、名随筆家としての顔を持っていました。同じ岩波から出ている寺田寅彦の随筆集の文庫は、お店でもよく売れていて、在庫も持っています。この文庫は全5巻。今回入荷した全集は全6巻。当然、文庫には収録されていないものが収録されているはずです。

この全集は、50年に刊行された「寺田寅彦全集文学編」から、随筆、短章を抜粋したものです。書かれた時代は明治後半から昭和初期。古い文章ですが、理知的な日本語を堪能させてくれます。もちろん、旧かなづかいに、読めない漢字が頻繁に出てきます。私のごとき辞書を使わずに、分からない漢字では適当にとばすような人間には、そう簡単に読み切れる本ではありません。一行の中にどれ程読めない漢字があるか!もう地雷原をさまよい歩いているみたいなものです。でも、パラパラめくっていると飽きてきません。何故でしょうか?全く歯が立たない存在にぶつかって跳ね返される快感みたいなものがるからでしょう。そうか、知の巨人は、こんな言い回しで、こんな漢字を使うのか、ということに感心させられます。随筆って、新編雑記で柔らかいもんだという思い込みを吹っ飛ばす力のある全集です。興味お持ちの方、先ずは文庫で挑戦されてはいかがでしょうか。

もう一点、寺田寅彦では、岩波書店から出ている「寺田寅彦全集」の第1巻(600円)もあります。こちらは、読めない漢字にはルビがふってあり、とても読みやすい一冊です。

空よく晴れて朝風やや肌寒く小萩のみだれを吹いて葉鶏頭の色鮮やかに穂先おおかた黄ばみたる田面を見渡す

とおっしゃる寺田先生と一緒に自然の中にでかけてみたいものです

もう一点。やはり23cmで5000円の全集が入荷しています。昭和33年中央公論社から発行された「幸田文全集」全7巻です。こちらは、寺田先生の理知的明晰な文章と違い、美しい日本語が味わえます。彼女の小説は、はっきり言って古くさいです。しかし、日本語が美しく、たおやかです。どこから読んで、どこで止めても大丈夫です。パラット開いたページの文章です

夏はすっきりしているというが、おしまひが未練たらしい。秋は尾花女郎花こほろぎのか細さからはじまるのだから、当然はじめのけはひは極かすかである。

あるいは

だれでも季節の頭はさぐることはするが、季節のしっぽはうやむやにしている

なんて文章が盛りだくさんです。本の装丁も上品で暖かい感じです。

 

 

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和太鼓奏者の第一人者、林英哲のマンハッタンライブのDVD(2000円)が入荷しました。約2時間のライブですが、その中で組曲「若冲の翼〜冲しきが若きも」というのが入っています。これは、江戸時代の絵師、伊東若冲の作品にインスパイアされて作られた組曲です。全部で四章の構成になっていて、素晴らしい出来映えです。伊東若冲に関しては、多くの本が出版されています。お店にも黒川創著「若冲の目」、そのコレクションで有名なジョー・D・プライスに山下裕二がインタビューした「若冲になったアメリカ人」があります。

しかし、音楽で、それも和太鼓で若冲を表現したのはこれだけでしょう。若冲なんて知らないよ、というお方にも大丈夫、200%楽しめます。チャプターで最後の曲「SHI-BU-KI」からご覧下さい。『うぉ〜〜〜〜〜〜〜よぉ〜〜〜〜」とエキサイティングすること間違いなしです。英哲にはジャズピアニストの山下洋輔と共演したDVDも発売されていて、私の愛聴(見)盤です。フルパワーで聴いたら、もうぶっ飛びます。近所迷惑すれすれのパワーでお聴き、ご覧下さい。インフルエンザなんぞ、笑止千万、吹っ飛びます。

もう1枚、CDのご紹介。文楽三味線の第一人者鶴澤清治の「一撥一心」(1500円)文楽なんて見た事ないお方も大丈夫、14曲目、16曲目あたりからお聴きください。やはり、近所迷惑すれすれのパワーをお薦めします。ノロウイルスなんぞ、笑止千万、吹っ飛びます。おそろしく研ぎ澄まされた日本刀で、ズバ〜〜〜〜ッと切り刻まれる快感に酔っていただきたいものです。この音色にはクラプトンも、キースも叶いません。勝負せんかい!と言われても、きっと誰もいません。力強く、孤高の音楽というのはこういものでしょう。開店前にガンガンにかけながら、エアギターならぬエアー三味線やってるとところだけはお見せしたくないですね。

で、こういうボルテージの上がるサウンドの次に聴くべきは、ストラヴィンスキーのバレエ曲「春の祭典」(700円)です。モーツアルトみたいに、奇麗で、美味しい紅茶が似合うクラシックでありませんが、カッコいい。英語で言えば。”Cool!”です。因みにこの曲は、ホルストの組曲「惑星」と同じく、色んな映画でパクられています。私は三本気がつきました。ズドド〜ッと心に踏み込んで来るサウンドがさらに気持ちを熱くします。さあこれで、一日ハイテンションで一気呵成に駆け抜けられます。

 

★明日、本年最後の「はちはちのパン販売」です。4時ぐらいからです。

★☆来年1月末から2週間、店内で「女子の古本市」を企画しています。出店したい方どうぞ、ご連絡下さい。くれぐれも「女子」だけです。

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左から読むのではありません。右から読みます。つまり「タアキイ」です。これ、雑誌です。奥付けにこう書かれてあります

昭和捨年七月十日発行 一部二十銭

で、なんの雑誌かというと、松竹少女歌劇出身の水の江瀧子さんの雑誌です。水の江瀧子、ほらNHKの人気番組「ジェスチャー」の赤組キャプテン(白組は柳家金語楼さん)と言えば、わかりますよね。と言っても、TV白黒時代の事で知らない人が多いかもしれないので、簡単にプロフィールを書きます。

1915年北海道の生まれ。28東京松竹楽劇部(後に松竹少女歌劇団)第一期生として入団。初の短髪の男役であり、そのたぐいまれな美貌で「男装の麗人」の異名をとり、「ターキー」「タアキイ」の愛称で親しまれました。日産自動車「ダットサン」のキャンペーンガール等で、、30年代には国民的な人気を得て一世を風靡しました。53年紅白歌合戦の司会をやり、その後「ジェスチャー」のレギュラー出演者になります。50年代後半から、70年代は日活の映画プロデューサーとしても活躍しました。

と、まぁこんな経歴です。で、これは、その彼女の個人雑誌です。しかも、店に入ってきた号数を見ると、20号!いやぁ〜中身も凄いですぞ。舞台の写真。燕尾服姿が粋です。そして、舞台稽古中を収めたスナップまで網羅されています。巻頭エッセイは戦前から活躍している映画、舞台評論家の大御所、飯島正の「タアキイ随想」。もちろん、水の江自身もレビュー記事を書いています。一冊、まるごとレビューの雑誌です。お店の広告も興味深いものがあります。例えば、婦人服のサクラ商会の住所はこうです。「東京市京橋」です。東京都ではありません。で、このお店、カフェも併設していたみいで、こう書かれてあります。

御時間ノ御待合セニ新シイ御洋服ノ後考案ニ何トゾ喫茶部ノ御利用ヲ御願ヒイタシマス

句読点、平仮名なしのコピーです。でも、当時のオシャレな洋服姿の女性のイラストはセンスいいです。

そして、裏表紙は「海へ山へ移動美容室」のキャッチコピーで始まる化粧品のCM。曰く

海へ山へ・キャンプにハイキングにオークルマスターとホームパクトの御支度はほんとうに便利で御座います。

「ータスマ・ルクーオ  ムーリク粉白るびのとっラサ」もちろん右から読んでね!

 

 

1号ー群馬県、2号ー千葉県、3号ー愛知県、4号ー神奈川県。これ何だか分かりますか?ミニプレス「しのそのへ」の各号の特集です。県の特集?そんな観光ガイドごとき単純なものではありません。このプレスのHPにはこう書かれています。

『しのそのへ』は、日本全国に数多ある“市営施設”をテーマにした、極少部数発行のミニマガジンです。ガイドブックと個人的旅日記のちょうど中間のような、ゆる〜い作りでお送りしております。そうです、「しのそのへ」は「市の園へ」なのです。

この「市営施設」というのがミソです。最新号(ついにカラー印刷です!おめでとう!)で取り上げられている神奈川県の施設は、本牧海づり施設、尊徳記念館、鎌倉文学館、相模の大凧センターと、京都の人間には縁もゆかりもない場所ばっかり。しかし、これがどれも面白いんです。地方を発信するというミニプレスの意義を100%発揮しています。このプレスを製作している二人の女性が現地に赴き、訪ね歩き、各施設の職員のお話を聞き、楽しいイラストと写真で紹介するというもので、訪ね歩いた施設、駅のスタンプも載っていて、ちょっとした旅行気分です。旧前田伯爵家別館を利用した鎌倉文学館なんて、是非行ってみたくなりました。「ゆる〜い作り」なんて書かれていますが。彼女達の歩き回った元気が漲るプレスです。

次は京都特集お願いします。そして当ギャラリーで京都公共施設写真展してください。お団子でもつまみながら、お二人のお話会なんてできればいいですね。(今のところ、京都での扱いは当店だけみたいですので、お早めに)

 

もう一点、いや二点。やはり旅ものですが、こちらも抱腹絶倒にして、可愛らしいミニプレスが入荷しました。おくがわじゅんいち氏が個人で出されている「なんで九月に屋久島に行ってしまったんだろう」と「インスタントチェンマイ人」です。「なんで九月に屋久島に行ってしまったんだろう」の巻頭文「はじめに*まじめに」にこう書かれています

この本は「初心者の語りをそのまま本にするシリーズ」の第2弾。

一日早く現地入りした先輩がいろいろなお話をしてくれるような本で、、旅行ガイドというよりは初心者ならではの新鮮な感動やカンチガイなどをもとに正直につくった旅エッセイみたいなものです。旅行ガイドってたくさん情報があってウキウキなんですが、実際に自分が初めて行った時に消化できるのはその何分の一じゃないですか??なので初心者が体験できる“限られた日にち”と“ピンポイントな目的”にこだわって作ったので少し偏りがあるかもしれません。でも初めて行った人が初めて体験したことを素直に載せています。その屋久島編です。

この「はじめに*まじめに」が剽軽というか、しゃれているというか楽しい文です。日曜日に入荷した途端、さっと買ってくださった女性の方、センスいいですね!

屋久島の男子トイレの話は抱腹絶倒。でも、それだけじゃなく、写真も紙面の構成もセンス良く、ちょっと出かける時に持っていると気分まで楽しくなりそうです。この号には、可愛い小さなクマの縫いぐるみがリュック背負った写真が、さりげなくレイアウトされています。どっかで見たなぁ〜と思っていたら、「ブラウンダイアリー」という可愛い写真集を出版された方でした。新刊書店員時代、これはいい!と思って大きく展開したら、北山界隈の若い女性の大受けした記憶がよみがえりました。やぁ、ブラウン君おなつかしい、とほぼ十年ぶりの再会となりました。

 

 

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この歌詞で始まるのは、ダニエル・ラノワのアルバム”ACADE”です。静謐で、力強い音楽については、後でご紹介します。この曲は、小説のラストシーンに見事にマッチします。それが、ハッピーエンディングでも、そうでもなくても。

中山可穂「悲歌」に収録されている「蝉丸」(もちろん能の名作を下敷きにしていますが、知らなくても全く問題ありません)。結婚していながら、かつて愛した男、蝉丸を忘れられない夫は、旅先のアンコールワットで、妻を捨てます。そして、ラストはこうです。

自分のからだを太陽と泥水に剥き出しに晒して、汗と埃と砂塵にまみれながら走っていると、これまでの自分を縛っていた常識とか世間体とかいったものから少しづつ解き放たれて、まっさらな素の自分自身に戻っていけるような気がした。

そして、この灼熱の街にいるはずの蝉丸を探し求め、

彼が自分を待ってはいないか、心の眼を開き、その手で触れながら、気が遠くなるほど何時間も何日もさまよい続けた。

で小説は終わります。まぁ、救いも何もない話といえば、それまでですが、この曲は似合います。

小説ではありませんが、映画「ヘルプ」のラストで使われても良い曲です。ご存知のように、この映画はまだ黒人が市民権を持っていなかった、差別されるのが当たり前の時代、お手伝いとして裕福な白人の家庭で働いていた黒人女性達の話ですが、黒人が被害者、白人が加害者という単細胞的描き方ではなく、女性の視点から描かれているところが素晴らしい映画です。(こんな全うな映画をアメリカは作れるんだ!!)そのラスト、前を向いて、黒人としての自分に誇りを持ちながら、一本道を歩む主人公を見つめるところで映画は終わります。ここで、この曲が流れれば、もう最高です。

と、様々な場面で使える曲ということは、音楽自体に説得力があるという証明です。

ダニエル・ラノワ。本来は音楽プロデューサーです。この人のプロデュース作品には100%信頼を置いています。過剰なまでに音を細分化して、搭載情報量ギリギリまで入れてしまうことをせず、もう空白だらけ、という意味では、極めて日本的な間を重視する製作態度でアルバムを作っています。一つ一つの音を大切に、というのは私の小鼓の先生がよくおっしゃるこですが、ダノワも、一つの音に深い意味を込めて音楽を創造しているからこそ、どのアルバムも素敵な出来上がりなのでしょう。お薦めです。

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