今日は映画1000円デー。で、狙っていた映画、「崖っぷちの男」を観る。

アホバカ映画ばかりと思っていたアメリカにも、こんな映画作る輩がいたんですね。

一番アメリカ映画が輝いていた頃、シドニー・ルメットの「狼たちの午後」、J・フランケンハイマーの「ブラックサンデー」、ウィリアム・フリードキンの「フレンチコネクション」、そしてドン・シーゲルの「ダーティー・ハリー」等の傑作映画の舞台が持っていた「街の臭い」が見事に表現されています。この映画は舞台がニューヨーク。クレジットタイトルも吹っ飛ばして、いきなりNYの街角をカメラが捉えます。(因みに、エンドタイトルも実にクールな出来具合)

高層ホテルの窓から外に出て、今まさに飛び降り自殺しようとする男。実は、この男は脱走犯。自分の無実を証明するためにうった大博打。それ以上は言えません。特に、ラスト、見事に観客も騙されます。あいつは、やっぱりな〜。こいつは、ルーティーン通りね。でも、えっ〜、彼は×××だったの!です。とにかく、リズムがいい。脚本がいい。脚本が良くてもリズムの悪い映画は、大抵つまらないものです。主人公の過去をべたべた描かない。くだらない色恋沙汰をかませない。めったやたらと銃弾戦をやらない、そしてCGを使わない。だから、上映時間も2時間かからない。そして、観客にあれこれ考えさせない、もうスカッとさわやかです。ちらっと、リーマンショック以後のブルーカラーの憤懣も出ていて、TVのドキュメンタリーみたいと思っていたら、監督は本当にドキュメンタリー出身で、劇映画はこれが第一作だとか。これから、ハリウッドの資本家に喰いものにされんことを期待します。写真はそのワンシーンです。高所恐怖症の方には、あまりお薦めしません。

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う〜ん、犬猫の力恐るべし。初日から、この暑さの中、多くの方にご来店いただいてます。

ARK (アニマル・レフュージ関西)との、私のお付き合いが長いことは、以前ブログに書きました。初めてARKに行ったのは、もう十年程前、ARK主催のエリザベスさんの最初の本が出版された時に、その本の販促の件で、電車に乗って行きました。オ〜山の中という感じでしたが、スタッフの方がお忙しいのに、園内を案内してくださいました。それから、5年後、今度は女房の車で、我が家に引き取る事になったマロンを連れに行きました。そして、今回ARKの写真展です。健気な犬、猫の写真が店内に一杯ですが、彼らの出生を考えると、決して「可愛い〜」という一言で済ませられるものではありません。

ARKのチラシにはこう書かれてあります。

ペットは「買う」ものですか? それとも『飼うもの」ですか?

人気の犬、猫をペットショップで買い、要らなくなったら捨てる、処分する。命あるものを、金銭のやり取りで獲得した途端に、それは物と化してしまい、消費される。幸せも、愛も99%までは金で買う事ができるかもしれない。しかし、残り1%。これだけはどうにもならない。その1%は、皆違うと思います。(100%買えるとお思いの方には、そんな1%は存在しませんもんね)

動物が人に寄せる愛情、信頼は、どうあっても金で買えるものではありません。それが、私にとっての1%です。ぜひ、この写真展にお越し頂き、犬、猫達の視線を見てください。

なお、期間中ARKのグッズも販売しております。エリザベスさんの本、バッジ、バッグ、写真等、これらの売り上げはすべてARKの動物達のために使用されます。

 

 

 

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国旗みたいに洗濯物を掲げて愛国心向上を目指すわけではありません。

昨年夏、我が家の解体と建築のため、東福寺のA教授のお宅に居候していました。居候を始めたのは8月後半の、まだ猛暑が続いている日でした。仮住まいスタートの翌日の朝でした。A教授宅では、洗濯物を野外に、しかもかなり高い高さにある物干に掲げることが出来ることがわかりました。洗濯物を竿に通し、せぇの〜で、まるで空中に放り出すように掲げると、その後ろから夏の太陽光線がキラキラと降り注ぐというメルヘンチックな光景を楽しむことができるのです。風になびく白いタオル。宮崎アニメ「となりのトトロ」や、小津安二郎の「東京物語」にも出てきますね。

風にたなびく物体を、高く掲げるという行為は、人をして高揚させるのかもしれません。古いハリウッド映画「硫黄島の砂」では、最後に激戦の地の山頂に、皆さん良くご存知のアメリカ国旗がたなびくシーンが登場します。まぁ、これはハリウッド的な愛国精神高揚の典型ですが、数年前にC・イーストウッドが監督した「父親たちの星条旗」を観ると、戦費獲得のためのデモンストレーションに利用され、その現場にいた兵士達は、国の宣伝道具として散々引っぱり回され、戦後悲惨な人生を余儀なくされたことが描かれていました。

アイルランド出身のロックバンドU2は、初期のライブで、「ブラディ・サンデー」を歌う時に真っ赤な旗を高く掲げていました。これは北アイルランドで起きた英国軍による虐殺事件「血の日曜日事件」への抗議の意味合いを持っていました。

映画「ラストエンペラー」では、中国共産党による中国統一後、喜びに狂喜し、絶対的に毛沢東を崇拝する若き近衛兵達が、出来たばかりの真っ赤な国旗を振りかざして、町中を行進します。ファナスティックでありながら、どっかで陶酔してしまいそうな危ないシーンでした。

ま、妙なものを振りかざすぐらいなら、洗濯物を高く掲げて、今日も一日好天で、平和ですねぇ〜と空を見上げていたいものです。

 

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朝から観世会館へ、お師匠出演の舞台を観に来ました。

演目は「小督」。金春禅竹作の、平家物語から採録したお話で、こんな具合です。

小督の局は、高倉帝の深い寵愛を受けていましたが、平清盛の娘徳子が帝の中宮となったので、清盛の権勢をはばかって宮中を去り、姿を隠してしまいます。日夜嘆いていた高倉帝は小督が嵯峨野のあたりにいるという噂を聞いて、早速捜し出す勅命を弾正大弼仲国に出します。彼は、嵯峨野の小督の隠れ家にやって来る。仲国は名月の嵯峨野を馬で馳せめぐりますが、ただ片折戸をしたところというだけが目当てなので、捜しあぐねています。やがて法輪寺のあたりで、かすかに琴の音が聞こえてくるので、耳をすますと「想夫恋」の曲です。その音をたよりにして、局の隠れ家を尋ねあて、帝の御文を渡し、返事を請います。小督は帝の思召しに感泣する。

とまぁ、こんな話を1時間20分ぐらいにまとめてあります。 お話がよくわからなくても、地謡の、特にラストちかくの、この台詞辺りから一気にノセル?感じとか、仲国の男舞とか、小気味好い大鼓と小鼓とのコラボとか、後見が、どどっと舞台途中で出て来て、嵯峨野の門を置いて、今までは嵯峨野でも何でもなかった舞台が、嵯峨野の隠れ家になってしまい(観客にはそう想像しなさいと強要してます)、仲国が門をくぐると、また後見が出て来て、門を片付け、ハイ家の中ですから、そう想像して下さいと言わんばかりに立ち去るという、能独特の早変わり舞台とか、能の面白さがよく出た作品です。

ところで、先日、京大のフランス文学教授、生島僚一の「蜃気楼」(76年岩波書店 初版900円)を見つけました。「大阪と京都の『丸善』」なんて本好きにはたまらんエッセイと一緒に能に関するエッセイが数編収まっています。能は退屈だからこそ、美しいというパラドックスから始まり、こう言い切っています

お能はごく単一な、わずかな美しいものを、ちょっと我々に見せてくれるものである。ちょっと、だから一層美しい。人間の美を観る目の弱さをよく心得て、美の押し売りをしない

美しいものを観る目を過信して貪欲になると、何も見えてこなくなるのかもしれません。


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あんこの本」を読んでいます。

正確には読んでいるというより、写真を眺めてうっとりしています。

これはつまり、いい男(女)の写真集を見て溜め息をつきながら、その人の声のトーンを想像してみたり、目の前に現れたらどんな風だろうと思ってドキドキしたりしているようなもんですね。

美味しいあんこのお店を聞きつけて、東奔西走。食べて、感じて、喜んでいる様子が、目に浮かびます。

ウラヤマシイ!

しかし、著者は実はあんこ苦手の人だったというのですから驚きです。

そんな彼女をあんこ好きにしたお店が京都の松寿軒さん。

松寿軒のあんころ餅を食べた時が彼女の「あんこ元年」と記されています。

私、実はこのお店のファンです。

お茶のお稽古に通っていた頃、松寿軒さんの季節のお菓子をよく頂いていました。

それが楽しみでお稽古していたと言っても過言ではありません。

11月、炉開きの際の「猪子餅」、年末最後の「こころみの餅」、ひな祭りの「ひちぎり」、上品な「水無月」、ああ思い出したたけで胸が熱くなります。

世に和菓子の本は多かれど、あんこを追っかけた本は珍しいと思います。

それと、個人的に嬉しかったのは、「関西雑穀株式会社」の倉庫の写真が掲載されていたこと。

この会社の前を偶然通りかかった時、昭和な香りプンプン漂う店構えに魅かれて、何屋さんやろ?と思ったのですがそのままになって忘れていました。雑穀の袋が堆く積んである壮観な景色!スゴい所がまだまだ存在するのですねぇ。

 

実は「あんこの本」を知ったのは、著者の姜尚美さんが偶然、当レティシア書房に本を買いに来て下さったから。

店主が色々話しているうち、エルマガジンという雑誌の話から「あんこの本」(エルマガジン社発行)の話題になり、「あんこ」という言葉に思わず私が話に加わったというわけです。

 

新刊書なので、残念ながら当書房には置いてありませんが、あんこ好きなアナタにオススメです!(女房)

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当店はミニプレスに関しては、関西No1の実績がある、と早く宣言したいのですが、道半ばです。面白いミニプレスあれば、なんとか置かせてもらおうとコンタクト取っています。

滋賀県発のCOCOCUは、人気の雑誌です。この雑誌のファンの方からこんな質問を数度受けました。「滋賀発のミニプレスで、『びわこの西の』なんとかいうのが人気ですよ」とか、「『びわこの東へ行ったら』ありませんか?」とか。皆さんタイトルがどうも一貫していません。ネットで探しても見当たりません。K文舎にはあるみたい、との情報もいただきましたが、なんせあそこまで行くのが面倒。で、どうしょうかと思っているうちに、日が経ってしまいました。

ところが、昨日のこと。札幌発のミニプレス「旅粒」をレジにお買い上げの若い女性の方とお話をしていた時に、実は私もミニプレスを出版していますと、おもむろに鞄から出されたのが、「びわこの東のすてきなところ」。思わず、「この本、ずっと探してたんですよ!」と店内で大声で叫んでしまいました。やっぱり、出会いってあるものですね。

で、本日より「びわこの東のすてきなところ」販売開始です。湖東にある32軒の素敵なお店を紹介した本です(850円)。お店紹介本とはいっても、大手出版社が出す情報羅列の本ではなく、その選択センスがいいです。時間がゆっくり流れる、手作り感の溢れる素朴なお店と、そんなお店に相応しい店主が紹介されています。手に取るだけで、ほっこりした気分になれます。一緒にフリーペーパー「ハピネス」も置いていますので、よければお持ち帰り下さい。

同じ日、北海道発の雑誌「スロウ」(880円)が入荷しました。特集は「エネルギーを自給する愉しみ」という今の日本にピッタリの特集。それぞれに、自然と対話しながら、その恩恵でエネルギーを調達している人たちが紹介されていますが、みんな楽しそうです。裏山の川に水車作っちゃった松井じいちゃんの話なんて最高に面白いですよ。

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K電が、毎日今日の電力需要グラフ「電気予報」を新聞に出しています。今日は余裕が何%とかいうセンスのないアレです。

で、センスのある%の出し方をK電のお偉方に見てもらおうと、COOL度の%、リラックス度の%を入れたCDを並べました。

涼しさを呼ぶ音楽といえば、まぁ、ボサノヴァという事になるんでしょう。もちろん、その中から、これはというのは出しました。ヒンヤリ感ではアントニオ・C・ジョビンのアルバムや、坂本龍一がピアノで参加のP.Morelenbaumのアルバム”CASA”あたりです。COOL度は70%。ブラジルでも、リラックス度でいけば、ジョイスの”Delirios de Orfeu”、ジョニー・ソマーズの「ブラジリアンサウンド」、ルイス・ボンファ&マリア・トレードの「ブラジリアーナ」でしょう。COOL%は、大体60%前後です

ブラジルからハワイに行くと、もうギャピーおじさんのほのぼのした声ですね。ベストアルバムを聴いていると、こんなにピースを感じるアルバムはないでしょう。当店ではCOOL%は80%です。一気にイタリアに飛んで、新感覚のファドグループMadredeusのワールドデビューアルバムはいかかでしょうか。打ち水で生じる冷たい風が心地良いサウンドです。COOL%は70%。ここまで来たら南下してアフリカへ、と言ってもミュージシャンはアメリカ人ですが、レス・バクスターの「アフリカンブルー」。ジャケットどおりのカラフルなエキゾサウンドです。リラックス度70%。変わった所では、イギリスのシンガーソングライターにしてコメディアンのアール・オキンの「眠れぬ夜のボサノバ」。熱帯夜の快眠をお約束。リラックス度80%

そして、我が日本からは、畠山美由紀の「サマークラウズ・サマーレイン」。なつかしい「浜辺の歌」を聴いていると、浜辺でお昼寝の気分です。COOL度、リラックス度共に文句なしです。そして、COOL%0ながら、リラックス度100%の離れ業をやってのけた細野晴臣の「HoSoNoVa」はいかがでしょうか。リラックスの極み、きっと溶け出します。

で、このフェアのトリをつとめるは、待ってましたの夏木マリ様。この真っ黒いジャケに、封入されているB/Wの写真集。COOL%120%です。歌詞の朗読から、一気にジャージーな曲へ持ってゆくスリリングな展開、浅川マキの「かもめ」のアップテンポなカバー、と聴き所満載の、何度聴いてもカッコいい=COOLな出来上がりのアルバムです。ですから、これは、そういう意味でのCOOLなCDであることをお忘れないように。

 

 

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夏葉社から上林暁の随筆集「故郷の本箱」入りました。雨の中、来て頂いたお客様ありがとうございました。

でも、早く読みたい!気持ちわかる本です。上林暁(1902〜80)。尾崎一雄と並び戦後期を代表する私小説の作家です。長期に渡って入院していた妻のことを描いた病院ものが多数あります。私小説か、と後ろ向きになりがちな貴方。先ず、この随筆集をお薦めです。例えば、作家井伏鱒二の事を書いた「律儀な井伏鱒二」。作家論にはいかず、殆ど酒の話に終止するのですが、なんとも微笑ましい。家人の手前、風呂に行く格好で、酒を飲みくる井伏鱒二の姿が面白いですね。

このエッセイには、本のことや、古本屋さんの事も多く書かれています。やっぱり、初版本がいいなぁ〜とか、古本市って、どうしても行きたくなる話とか、その後に喫茶店でお茶する時間が楽しみとか、まぁ、本好きなら、そうそうと相づちをうちたくなようなお話が続きますが、あれ?どっかで読んだ気分になりました。それは、植草甚一さんの文章に似た感じなのです。もちろん、文体なんて全然違いますが、本の臭いがすると、ウキウキして、足早になる感じが、植草さん的です。でも、こんな文章が入っていると、溢れ出るリズム感に満ちた植草さんの文章と違って、極めて絵画的な文章であることに気づきます。

或る夕方

私は古本屋に立ち寄って

アリストテレスの「ニコマスコ倫理学」を抱えて出て来た

歩いていると尿意を催して来た・

私は強制疎開跡の夕闇に立って

「ニコマスコ倫理学」を抱えたまま立小便をした。

この随筆集の選者は、善行堂の山本善行さん。後書きで「本の好きな人たちの心に届き、その人のとって特別な一冊になれば」と書かれています。その通り。本の好きな人の心に響く本です。この本を読まれたら、ぜひ同じ夏葉社から出ている短編集「星を撒いた街」もお読みください。どちらも、2310円と、私の店では決して安くない値段ですが、損はしません。

蛇足ながら、「あやに愛しきー病妻物語」というタイトルで、寺尾聡のお父さんの宇野重吉が小説を映画化しています。誰が出演していたんでしょうね。

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「ル・アーブルの靴磨き」、「星への旅人」、「キリマンジャロの雪」この三本の映画に共通するのは?

正解は、主人公がすべて、初老の親父が、そしてその妻が主役の映画です。当然、映画館の観客層の年齢層もシネコンの映画館に比べて、一気に上がる。先日観た「キリマンジャロの雪」なんて、平日、朝一番の上映で、ほぼ満席で、映画に登場する一組の中年夫婦と同じぐらいの年齢層。みんな、ヒマか?

「ル・アーブルの靴磨き」は、ひたすら、不法滞在の少年を国外に逃がす夫婦の話。「星への旅人」は、ひたすら、志半ばで死んだ息子が歩いていたスペインの巡礼の道を歩く親父の話。「キリマンジャロの雪」は、ひたすら、身寄りのなくなった子供をどう救うかで行動する夫婦の話。キーワードは、はい「ひたすら」です。特に、「星への旅人」なんて、CG無くば、映画にあらずのアメリカ映画界で、よくも制作した!!とそれだけで拍手ものの、主人公がひたすら歩くだけの映画です。演じるは、「地獄の黙示録」でアフガニスタンの奥地で地獄を経験したマーティン・シーン。そうか、あの地獄から帰ってきて、年老い、今度は亡くした息子の歩いた道を、己を見つめるために歩くのか、と思うと感無量でした。

フランス映画「キリマンジャロの雪」は、解雇された組合委員長とその妻が、子供達から送られたアフリカ旅行のチケットを強盗に取られてしまう。しかし、その犯人が元同僚の後輩。しかも彼は幼い弟二人を養っていた。映画はこの夫婦の取った行動と巻き込まれる家族、友人の心理を描いていきます。登場するこの夫婦も、子供達も、友人達も、そして犯人の青年すらも、その言動に間違いはなく、皆正しい。誰かの正義に偏ることなく、監督は一歩ひいて、いかにもフランス映画らしい「人生ってこんなもんね、ハン」的態度で見つめるので、甘いドラマにならず、安心して観ていられる作品です。

「ひたすら」と言うべきか、「愚直」と言うべきか。これぞ、我ら中高年が誇るべきものではないのか!と思わせる作品が三本も、しかも立て続きに観てしまうなんて、偶然とはいえ驚くべきことですね。そして、もう一つ魅力的なのは、みんな笑い顔がチャーミングなこと。おっさん、おばはんの難しい顔なんて、百害あって一利なしです。アラーキーの写真集「恋する老人たち」(筑摩書房1300円)に登場するお年寄り、特に最後のページに登場するおばあさんの笑顔を忘れたくはないですね。

 

 

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大手出版社の規模には負けますが、愚直に素敵な本を送り出してくれる出版社を応援します

「夏葉社」

会社のすべてを1人でやっておられる島田さん、忙しいのに二回も営業に来て頂きました。「星を撒いた街」、「昔日の客」、「さよならのあとで」、「近代日本の文学史」と文学好き青年が一途に、精魂こめて送り出した本の数々。帯の文句も秀逸です。「星を〜」は「30年後も読み返したい  美しい私小説」(この空白部分が美しいレイアウトです)。「昔日〜」は「古本と文学を愛するすべての人へ」。「さよなら〜」は「いちばんおおきなかなしみに」。「近代〜」は一言「必携」。簡素にして、その本のすべてを物語っています。もうすぐ、「星を〜」の上林暁のエッセイ集が入荷(写真参)しますが、それも楽しみです。どの本も手触り良く、猫を撫でるみたいに、撫でていると不思議と落ち着いた、そして豊かな気分にさせてくれるものばかりです。

「ECRIT/エクリ」

先日、代表の須山さんがご来店されました。ここが出版する本はどれも美しい。繊細な感覚で、丁寧に作り出した本とでも言うべきでしょう。ロシアの映画作家タルコフスキーのお父様の詩集「白い、白い日」、ロベール・クートラスニ作品集「僕の夜」、長田弘の詩画集「空と樹と」、アンドレ・ブルトン&ポール・エリュアール+宇野亜喜良「恋愛」そして。私がこの出版社を知るきっかけになった本、「樹と言葉」。西行、宮沢賢治、串田孫一、松浦弥太郎、いしいしんじ、そして細野晴臣までズラリ並んだ作家達が興味深い一冊です。この出版社のイメージは真っ白、それも高貴なまでの白さです。

 

「ミシマ社」

ここを、小さいと言っては失礼かもしれません。京都にも営業所があって、専属の営業マンがいますからね。でも、通常の新刊書店の出版社〜取次ぎ(問屋です)〜書店のぬる〜い関係を打破し、熱心に売ってくれる店を開拓し、そして読者の知的興味をそそる本を連発する、極めて小回りのきく出版社です。最新刊は、私も大好きな内田樹教授の「街場の文体論」です。教授生活最後の半年の講義。「クリエィティブ・ライティング」14講義をまとめたものです。 著者曰く、文学と言語に関しての最後の一冊とか。平易で、ユーモアたっぷりの導入から、一気に高度な論へと読者を誘う内田節の魅力一杯の一冊です。この出版社の本を長きにわたり平台で展開する書店には、間違いなく熱心な、本好きな書店員がいる店です。

 

 

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