西村書店は1900年代初頭にスタートした出版社です。医学書、並びに絵本の販売がメインです。その絵本の中に中々面白い「アート絵本」というジャンルがあって、現在9点程刊行されています。ゲーテ原作の「ファウスト」、NY近代美術館が発行した「ぼくは建築家 ヤング・フランク」とか捻った作品が多く、西村書店のこのジャンルをお探しの方がおられますが、なかなか中古では見当たりません。

今回、二冊ありました。

一冊めはベレニーチェ・カパッティ(文)、オクタヴィア・モナコ(絵)による「クリムトと猫」(1500円)。クリムトの愛猫が、クリムトの作品や、彼のアトリエでの日々の営みを紹介するスタイルで話が進みます。ご承知のように、クリムトは作品に金色を豊富に使い、きらびやかな画面で官能的な女性像を演出しています。絵本も、クリムト風を巧みに取り込んでいます。登場人物の動きが極端にデフォルメされて、全体がふんわりとした空気に包まれていることで、とても穏やかな気分にさせてくれる絵本です。因みに、クリムトは生涯独身で、大の愛猫家。8匹もの猫を飼っていたみたいです。最後のページには、彼が猫を抱いている写真も載っています。

もう一冊は、グイド・ヴイスコンティ(文)、ビンバ・ランドマン(絵)による「天才レオナルド・ダ・ヴィンチと少年ジャコモ」(1600円)です。ダ・ヴィンチの下で、身の回りの世話をするジャコモという少年の眼を通して、ダ・ヴィンチが語られていきます。実際に彼はジャコモという少年と二十数年間共に暮らしていますから、ここに描かれていることは、全くのフィクションではありません。特徴的なのは、登場人物達の顔の向きが極端に曲がっているところです。ちょいと人間離れした雰囲気が絶妙で、いかにも「天才」ダ・ヴィンチという描き方ではなく、どことなく哀しみと愁いを滲ませているところに味があります。最後のページは、ダ・ヴィンチとジャコモが月を見ながら語り合う場面です。ここに描かれるダ・ヴィンチは天才というより、何事にも興味を持ち、知ろうとした老人と、そんな彼に憧れる少年の、未来への思いが込められた一瞬を切り取ったような場面です。

このような細部まで行き届いた絵本を、部屋に置いておくだけでも素敵ですね。他の本もこれぐらいの価格で、美本をなんとか探していきたいのですが、難しい…….。

 

★★10月28日(金)『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、満席になりました。

尚、「安藤塾」は、10月29日(土)19時より「町家ギャラリー龍」にて開催します。こちらの方は、参加者募集中です。お問い合わせは直接 「町家ギャラリー龍」(075−555−5615)まで。

 

★カナダ在住で、ドールシープを撮影されている写真家、上村知さんの写真展を11月1日(火)〜13日(日)まで開催します。

尚、11月5日(土)の、上村さんによるスライドショー 「極北 カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」は満席になりましたので申し込みを終了いたします。ご了承ください。


NHKで土曜日夜に放送している「漱石の妻」ってご存知でしょうか。今、はまっているドラマです。

このドラマで漱石の妻のことを、初めて知りました。漱石が結婚して、帝大の教授を経て、国民的作家となっていく様を描いています。漱石には「シン・ゴジラ」で獅子奮迅の活躍をしていた長谷川博己、その妻には尾野真千子。彼女は、NHKドラマで織田作之助原作の「夫婦善哉」の健気なヒロインを演じていました。

で、この芝居の上手い二人の、時にはエキセントリックな、時にはドタバタ喜劇風の、時にはペーソス溢れるやり取りが、実に見物。あくまでフィクションですが、感情の起伏の激しい漱石という作家の姿が、見事に立上がって来ます。先週は、漱石の養父役で竹中直人が登場、立派になった子供に金をせびる小心な男を、演じていましたが、これが絶品でした。ちょっと、漱石の生い立ちを調べてみたくなりました。ドラマの原案になっているのは、夏目鏡子・松岡譲著「漱石の思い出」です。

漱石といえば、「坊ちゃん」、「わが輩は猫である」以外は、何故か知識人の憂鬱と苦悩を描いた小説が目立ちます。漱石が生きた明治時代を描いた関川夏央原作、谷口ジロー漫画による「坊ちゃんの時代」(アクションコミックス全5巻2500円)は、お薦めです。

漱石を中心にして、鴎外、啄木、秋水等の多くの文学者を登場させて、明治という時代を描いた群像激です。文学だけでなく、変転してゆく社会の様と時代に翻弄される人々の姿を全5冊に描き込んでいます。明治43年、天皇暗殺を企てた容疑で、社会主義者幸徳秋水らが逮捕、処刑された「大逆事件」のことも、この本で学びました。この全集は是非とも、高校の現代史のテキストに使用していただきたいものです。

第二部「「秋の舞姫」は森鴎外と、彼を追いかけて日本に来た舞姫エリスの愛憎を中心に、日本とヨーロッパのはざまで苦悩する鴎外を、第三部「かの蒼空に」では、彗星の如く登場した歌人、石川啄木の青春。第四部「明治流星雨」では、先程の大逆事件に翻弄される秋水を描き、最終の第五部「不機嫌亭漱石」で、病に倒れた漱石と明治の終りを描いて完結します。各巻300ページあまりの力作を、じっくりとお読み下さい。

当店在庫の全5巻の中で、第2巻だけ本の帯が違っています。他は「手塚治虫文化賞受賞」と文字の入った赤い帯ですが。第2巻は初版出荷時の白い帯で「それは鴎外の青春であった。」のポップが印刷されています。

 

★★10月28日(金)『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、満席になりました。

尚、「安藤塾」は、10月29日(土)19時より「町家ギャラリー龍」にて開催します。こちらの方は、参加者募集中です。お問い合わせは直接 「町家ギャラリー龍」(075−555−5615)まで。

 

★カナダ在住で、ドールシープを撮影されている写真家、上村知さんの写真展を11月1日(火)〜13日(日)まで開催します。

尚、11月5日(土)の、上村さんによるスライドショー 「極北 カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」は満席になりましたので申し込みを終了いたします。ご了承ください。

 

出町柳にある旅情報ステーション「風の駅」が発行するミニプレス「気になる京都」の最新号が店頭に並びました。

昨日夜、印刷所から上がってきた本に、紐をかけ、オリジナルの栞を挟み込み、号外の「風のエクスプレス」を封入して、まっ先に持って頂きました数年前から販売を開始した「気になる京都」は、いまだに売れ続けていて、200冊以上のセールスという、ミニプレスらしからぬ販売記録を持っています。

第3号の特集は二つあります。第一特集は「あのパンを探して」という京都のパン屋さん特集号です。表紙は、以前何度か、当店でもパンの販売をしていた「はちはち」さんが表紙です。西陣から引っ越した新店舗が表紙を飾っています。(写真左)

パンの消費量日本一を誇る京都ですから、パン屋さんは山ほどあります。その中からピックアップされた数十店のお薦めのパンが紹介されています。出町柳に住んでいた頃、よく通った「ベーカリー柳月堂」も載っていました。この店、2階は名曲喫茶になっていて、ゆっくりと音楽が楽しめます。

二つめの特集は「やさしい風景」。「風の駅」さん近辺で、ひっそりとお商売されてるお店にお邪魔する企画です。出町柳付近の路地の奥にあるランチ屋さん、卵販売店、或は京大の南側吉田東通りに面しているたこ焼き屋さん、浄土寺近くの紅茶専門店等々。静かに時間が流れるお店の雰囲気が伝わってきます。この卵屋さん、昔住んでいた家のすぐ側らしいけど、全然知りませんでした。

「いい人が集まる店は、きっといい店なんですよ」

という台詞がでてきます。良いお客様に恵まれている当店も頑張らねば…..。

特集ではありませんが、「風の駅」さんが、盛岡出張時に、地元の方に教えてもらったカフェが載っています。緑に覆われた外観だけで、行ってみたい!と思わせる素敵な場所です。ちょっと鴨川近辺の風景に似ている感じがします。ところで、この雑誌の売上げの一部は今まで、福島の三陸鉄道復興のために寄付されていましたが、本日発売の3号は熊本震災の被害者復興に回されます。

「京都で美味しいパンと隠れ家の旅をすることが、熊本県とつながるきっかけになったなら・・・嬉しいです」

と編集後記に書かれています。ぜひ手に取ってみてください。

 

★カナダ在住で、ドールシープを撮影されている写真家、上村知さんの写真展を11月1日(火)〜13日(日)まで開催します。5日(土)夜に、上村さんによるスライドショー 「極北 カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」(7時より)を予定しております(要・予約 レティシア書房までお願いします)

★★10月28日(金)『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、満席になりました。

尚、「安藤塾」は、10月29日(土)19時より「町家ギャラリー龍」にて開催します。こちらの方は、参加者募集中です。お問い合わせは直接 「町家ギャラリー龍」(075−555−5615)まで。

神戸発のミニプレス「ほんまに」のバックナンバーが揃いました。地元名物書店、海文堂の「海文堂通信『海会』別冊」と雑誌の上に印字されているだけに、本に関する魅力的な読み物満載です。

「本の黒子たち」という特集(〜8号まで)を組んで、作家の秘書、書店営業ウーマン、書店員の一日、地元編集者、製本会社等々、本を支える人達を紹介しています。

9号からは、さらにグレ−ドアップ。9号は、誰でも一度は訪れる「東京堂書店」訪問記、10号はなんと、銀閣寺の古書「善行堂」へのロングインタビュー。(写真の善行さんが若い!)13号は「中島らもの書棚」で、中島らも夫人の美代子さんへのインタビューを掲載。そして15号は、惜しまれて閉店した海文堂への思いで、ほぼ一冊作られています。

もちろん、特集以外にも、見逃せない記事が山ほどあります。2号には、ディープな古書店としてコアなファンのいる古本屋「ちんき堂」店主、戸川昌士さんが登場します。元町の商店街近くの、細い道にある細い階段を、ドキドキしながら上がっていったのは何年前だったか。70年代カルチャー何でもありの店内に圧倒されました。

あぁ、この本忘れなかったんだ、とちょっと感動したのが、14号です。特集は「東日本大震災と本 激励の言葉より本を売る」。特集も読み応え十分なのですが、連載「街を写す」で、取り上げられているのは「六甲天文台」なのです。六甲ケーブルに乗って山上にこの天文台はあります。大学の映画サークルで、先輩の映画ロケのアシスタントで初めて行きましたが、眺めが素晴らしい所です。この天文台が、森絵都の「この女」に出て来ます。舞台は94年から95年の大阪と神戸で、阪神大震災の直前までが描かれます。震災は直接描かれてはいませんが、なんとか生き抜く女に、男が切なくなる小説でした。14号の震災特集号で、この小説を出してくる感覚に拍手です。

現在「ほんまに」は18号まで出ています。もちろん最新号も販売中です。価格は一冊515円。創刊当時から値上げなし!

 

 

★★カナダ在住で、ドールシープを撮影されている写真家、上村知さんの写真展を11月1日(火)〜13日(日)まで開催します。5日(土)夜に、上村さんによるスライドショー 「極北 カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」(7時より)を予定しております(要・予約 レティシア書房までお願いします)

10月28日(金)『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、満席になりました。

尚、「安藤塾」は、10月29日(土)19時より「町家ギャラリー龍」にて開催します。こちらの方は、参加者募集中です。お問い合わせは直接 「町家ギャラリー龍」(075−555−5615)まで。

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えらくタイトルの長い雑誌ですが、北海道の自然を様々な角度から捉えた「ファウラ」のバックナンバーが数十冊入ってきました。2004年から10年にかけて出版されたもので、今は絶版状態です。毎号特集が魅力的なので、少しご紹介します。

北海道を代表する動植物の各号の特集は、「エゾモモンガ」、「エゾナキウサギ」、「オオワシ・オジロワシ」、「タンチョウ」、「エゾリス」とけっこう揃っています。知床羅臼にて撮影された鷲の勇姿、堂々たる飛翔姿は王者の風格です。しかし、この雑誌は、単にその姿を捉えているだけでなく、彼らの現状、例えば風力発電用風車に巻き込まれる事例や、鉛弾薬中毒死問題も取り上げ、その環境の危うさに言及しています。

エリアの特集号としては、「奥尻島へ行こう!」、「北の”二つ島”礼文・利尻」、「知床」、「洞爺湖・有株山」、「北海道の『冨士』」、「渓流、渓谷」、「摩周・屈斜路」など、魅力的な地域が並んでいますが、観光案内でないことは言うまでもありません。

思わず読んでしまったのが「ブラキストン線」の特集号です。1880年、函館で貿易商を営んでいたトーマス・W・ブラキストンが、津軽海峡の北と南では動物相が変化していることを提唱しました。後に、この海峡が動物分布境界になっていることが判明、ブラキストン線と命名されました。その境界線のあちらとこちら側を写真と文章で見つめています。へぇ〜、そんなもんがあったのか………です。

お気に入りの写真は「北国の冬を生きる」という号で、オジロワシが、絶命した子鹿の死体に食らいついている作品です。子鹿が正面から撮影されていて、まさに絶命した子鹿の表情が明確です。ワシは鹿の肉を喰らうことで、自らの命を保っているという、命の連鎖をはっきり表現しています。

こんな風に、どのページも見所満載も雑誌です。ネットでは、一部数千円で取引されているものもありますが、良心的?レティシア書房では、オール500円です。

 

 

 

 

★★カナダ在住で、ドールシープを撮影されている写真家、上村知さんの写真展を11月1日(火)〜13日(日)まで開催します。5日(土)夜に、上村さんによるスライドショー 「極北 カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」(7時より)を予定しております(要・予約 レティシア書房までお願いします)

10月28日(金)『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、満席になりました。

尚、「安藤塾」は、10月29日(土)19時より「町家ギャラリー龍」にて開催します。こちらの方は、参加者募集中です。お問い合わせは直接 「町家ギャラリー龍」(075−555−5615)まで。

クリント・イーストウッド監督「ハドソン川の奇跡」見てまいりました。お見事の一言につきる映画です。ごちそうさまでした!

まだ記憶に新しいNY で起きた飛行機事故。離陸直後に、鳥がエンジンに突っ込み、操縦不能になった旅客機を、機長がハドソン川に着水させ、乗員乗客全て無事救助された、あの実話が題材です。

あぁ〜パニック映画によくある感動ものか、という予想は裏切られます。こういう映画に必ず登場するのが、美人スッチーと不倫に悩む機長とか、会社が傾いて生きる意欲を失くしたビジネスマンとか、再起をかけるアスリートとか、その夫に付いてゆく健気な妻とか、重い病ですぐに病院に入院しなければ死んでしまう少女とか、とか……..。

しかし、そういった人達のストーリーは、全くなし。機長が着水を決定、実行に移すまでの208秒をひたすら検証して、91分の映像に描いています。この機長がマスコミで英雄扱いを受けたり、反対に査問委員会で彼の決断が間違いだ、と糾弾される姿を中心にして、まるでドキュメンタリー映画のように事故を再現していきます。主演のトム・ハンクスも、イーストウッドの演出意図を十分に汲み取って、淡々と全うに仕事を続ける男を演じています。

昨今のおバカなハリウッドなら、エピソード一杯詰め込んで、CGいっぱいはめこんで、ついでに大層なテーマソングを歌い上げ、無理矢理”泣かせる”大味な映画に仕上げるのでしょうが、アメリカ映画の良心が身に染み込んでいるイーストウッドは、もちろんそんな事はしません。無駄なものすべて除いて、ストイックに映像を組み立ててゆく映画手法に引込まれました。ラストの副操縦士のユーモア溢れる切り返しなんて、「お後がよろしいようで」と、拍手と共に幕が下りる感じ。

「映画作家」ではなく「映画職人」として、まだまだやるで、という心意気を見せてくれる作品でした。

 

 

 

 

★毎年恒例になりました『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、10月28日(金)7時30分より開催が決定しました。(要・予約 レティシア書房までお願いします) 

★★カナダ在住で、ドールシープを撮影されている写真家、上村知さんの写真展を11月1日(火)〜13日(日)まで開催します。5日(土)夜に、上村さんによるスライドショー 「極北 カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」(7時より)を予定しております(要・予約 同じくレティシア書房までお願いします)

 

石田千の「月と菓子パン」(晶文社650円)、「屋上がえり」(筑摩書房700円)を読んだ時、著者の文章の”良い加減”なリズム感が心地よく、エッセイ界に新しい人が出現したなと、その後も注目していました。

彼女の初の小説集「あめりかむら」(新潮社700円)を読んでみました。芥川賞候補となった本作は、さらっと街の情景を描く彼女にしては、”濃い”お話でした。

ガンの手術から5年。再発に怯える女性が主人公です。この女性と、大学時代からすべてを卒なくこなし、陽の当たる道を歩んできた戸田君との関係が描かれていきます。何事も上手く行かない彼女と、人生をスキップで駆け抜けてゆく戸田くん。軽蔑の対象でしかない彼。しかし、大きく事態は変わります。突然の戸田君の自殺。えっ、何それ? 何でお前が死ぬの?? バカかお前は……..。

しかし、情緒不安定の彼女の脳裏に戸田君の残像が消えません。なんで、あんなヤツの顔が…..。ここから、彼女の行き場のない迷走が始まります。仕事で京都に来ていた彼女は、何故か買ったお土産を「四条大橋のまんなかで、ぜんぶ川に放り投げてやろうか。混雑する橋をにらんだ。そのとき、大阪へ京阪特急。」。そして突然、大阪へ向かいます。そこに個性的なおばちゃん、おっちゃん、アダルトショップのお客さんたちが登場してきます。

「戸田君。大阪はね、たくさんのひとが肉を喰らい、骨をしゃぶり生きているよ。」

という言葉で小説は幕を下ろします。あれほど嫌っていた戸田君、彼の死、そして彼女自身の心の葛藤に整理をつけた姿をチラリと覗かせた印象的なエンディングです。

この小説集には、第1回古本屋大賞を受賞した「大踏切書店のこと」も収録されています。じいちゃん、ばあちゃんだらけの街にある古本屋兼飲み屋を巡るハートウォ−ミングなお話で、この作家らしい”良い加減”な世界に満ちた短篇です。いいなぁ、この街。

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レティシア書房では、ほぼ毎年、動物保護団体ARKの犬や猫たちの写真展を開催しています。ARKの宣伝のためにボランティアで写真を撮り続けておられるのがプロカメラマン原田京子さん。犬猫たちの表情が素晴らしいので、彼女のARK以外の作品を、ぜひにとお願いしていたところ、やっと実現しました。

「Spanish Sentiment 」と題して、スペインのアンダルシアの風景と、そこで生きる人々の表情を捉えた作品が十数点並びました。DMに使われている老人と散歩に連れて来た愛犬を捉えた作品(写真左)を中央に据えました。老人と、飼主を見上げる愛犬の姿の優しさ、愛おしさ、そして背後に広がる大空と、そこに湧き出る白い雲。色調は、人生の黄昏を暗示するようで哀切に満ちています。

原田さんの動物好きがわかるような、犬だけが被写体になっている作品もあります。暮れなずむ夕陽の前に立ち尽くす一匹の犬。広がる美しい空の色。自然の大きな営みと、今生きている命が、一つの画面に溶け合います。

原田さんは「フィルムで撮った写真は、焼いて行くうちに深さを増し、もう二度とおなじものはできない。」と言います。

遥か彼方にまで続く空の微妙なコントラスト、古い建物のもつ情緒、レストランのざわめき、じっと前をみつめる少女の眼差し、広場の噴水の前の男たちの背中、息づかい。デジタル全盛の中、フィルムで撮られたスペインの柔らかで哀愁に満ちた写真を多くの方にご覧頂きたいと願っています。(女房)

なお、それぞれの作品は、デジタルでプリントアウトしてお届け出来ます。(30000円〜送料別)

 

★毎年恒例になりました『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、10月28日(金)7時30分より開催が決定しました。(要・予約 レティシア書房までお願いします) 

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マガジンハウスが出している月刊誌「Ku:nel」(クウネル)のバックナンバーが、30冊程入荷しました。2004年11月発行の10号から、2014年3月発行の66号まで、全て揃っているわけではないですが、綺麗な状態です。(各300円)

一応女性向けの暮しの本ですが、新刊書店員時代、必ず読んでいました。その濃い内容の一部を紹介します。

10号には日本の動物イラストレーションの先駆者、薮内正幸の60年の軌跡が紹介されています。15歳の時に作ったという「鷲鷹科の種類」の私家版を初めて拝見しました。描いた絵は1万点以上。多くの絵本に使われています。収集されている方もおられます。

46号では、「大切な本はありますか」という特集で、何人かの方の大切な本が紹介されています。エッセイスト宮脇彩さんは、73年アメリカで出版されたマーナ・ディヴィス著、伊丹十三翻訳の「ポテトブックス」を紹介していました。「アメリカからやってきた料理の本であります」という伊丹らしい文章で始まる料理本です。この本の序文は、あのトルーマン・カポーティだったんですね。

と、こんな具合に紹介していけばきりがありませんが、もう一つ。月刊誌のカルチャーコーナーには、必ず書籍、音楽、映画が取り上げられていますが、この雑誌のコーナーはとても充実しています。手当たり次第に本を紹介するのではなく、一人の作家が、毎回紹介され、インタビュー記事をメインに構成されていて、この部分だけ切り取ってファイリングしておくと、面白いものになりそうです。音楽もしかり。基本的にミュージシャンがセレクトするのですが、渋いラインナップとなっています。映画に至っては、毎回毎回、著名な方が担当しています。例えば、44号では、酒井駒子が「ちいさな主役は、ひとりぼっちでよるべない」というテーマで映画を選んでいます。カルチャー欄充実ですね。

「ストーリーのあるモノと暮し」が雑誌のコンセプトで、お金をかけてモノに囲まれて、というスタンスの全くない誌面作りが、新しい豊かさを作り出そうとしています。

ところで、児童文学者石井桃子の有名な「山のトムさん」の1957年発行の初版の装幀を、雑誌の中に見つけました。本好きならではの、こんな探す楽しみも満載です。

 

 

 

 

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  (要・予約 同じくレティシア書房までお願いします)

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映画館で観たいと思っていた「バクマン」を、ブルーレイで見ることができました。これ、「少年ジャンプ」(実名で登場)を舞台に、高校生漫画家二人の奮闘を描いた青春映画です。漫画雑誌のコンセプトはというと「友情・努力・勝利」と口に出すだけで赤面するのですが、監督の大根仁は、だからどうした!と開き直って、前向き根性努力ものに邁進。その態度良し、拍手です。

で、こういう漫画家の映画だと、机に向かって必死に書いているシーンばかりの退屈な映像につき合わされることになるのですが、そこは違います。一コマ、一コマの漫画が動きだし、走り出します。圧巻はライバル漫画家とバトルするシーン。ペンを槍みたいに構えて大立ち回り。お互いのコミックのワンカットが、手裏剣よろしく飛んでいくというCG効果も満点です。そして、もう一つ重要なのが、ペンの音です。おそらく、かなり試行錯誤した結果でしょう、ペンが走る音が、まるで彼らの青春の疾走を表現するごとく響き渡るのです。この音、映画館で聞いてみたかったですね。

漫画の映画化って、イージーな企画だと批判されますが、文学の映画化と違って、新しい表現方法、あるいは全く違う視点に立つドラマが作りやすいのかもしれません。良い例が、西原理恵子です。彼女のコミック、もしくは人生を映画化した、「酔いがさめたらうちに帰ろう」、「毎日かあさん」、「パ−マネント野バラ」、「上京ものがたり」と映画化していますが、どれも優れた作品でした。

愛読している野田サトル「ゴールデンカムイ」(ヤングジャンプコミック)。アイヌ民族の生活を丹念に織り込みながら、展開する明治時代のアクション活劇ですが、これは、大河ドラマにして欲しい。今のNHKにアイヌをメインに置いたドラマを作る根性はないでしょうが……..。

石森章太郎が全編台詞なしのコミック(タイトルは忘れましたが)を発表した頃から、今日まで常に新しい表現を模索してきたジャンルであることは間違いありません。新しい感覚の漫画家を、どんどん店頭に並べていきたいと思っています。

 

 

 

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