タイトルだけで判断してはいけないという一冊のご紹介です。吉野朔実の「お母さんは『赤毛のアン』が大好き」。表紙には「赤毛のアン」っぽいイラストが描かれているので、ああ、アンの関連本ね、などと思ってはいけません。ポール・オースターに始まる書評集、それもマンガで綴られています。取り上げられている本は、文芸、サスペンス、エッセイと何でもござれですが、幅広い趣味に驚きです。今回、出品されている文庫版には、「偶然と貧乏の達人ポール・オースター」と題して、筆者と柴田元幸との対談が掲載されています。同じ作者で「お父さんは時代小説(チャンバラ)が大好き」は、尾崎放哉から始まります。

マンガ家が登場したとことろで、もう一作ご紹介、安野モモヨ、山本直樹、古谷兎丸、吉田戦車等第一線で活躍しているマンガ家にインタビューしたのが「マンガの道」。エロマンガの新天地を開いた山本直樹が、自作「ビリーバーズ」のモチーフになっているのが、連合赤軍のメンバーが書いた本に影響を受けている話や、音楽漫画「BECK」のハロルド作石が、マンガで音楽を表現することの難しさの一方で、「逆に、音が出ないからみんながすごい音を想像してくれるっていうので、得してる。」と語っているのも面白いところです。

岡崎武志著「上京する文学」は、30歳を過ぎて上京した自らの人生から、元々の東京っ子ではなく、地方から上京した文学者の期待、不安、孤独、葛藤を書いた作品です。取り上げられている作家は18名。斎藤茂吉から村上春樹まで、上京者たちの心の内側へと迫ってゆくルポルタージュ。この中で宮沢賢治が、37年の短い生涯の中で9回も上京していたことは、賢治ファンの私には驚きでした。16時間あまりの東京への長旅の中で、様々な幻想に浸っていたはず。それが「銀河鉄道の夜」へと繋がったのかもしれません。最後に村上春樹が登場しますが、「村上作品には『一人っ子』として孤独を繰り育てた者にしか描けない透明な空気感がある」という論は是非お読みいただきたい。

 

★本日の紹介本一覧 (「書名」/出版社/価格/出品店)

 「お母さんは『赤毛のアン』が大好き」「お父さんは時代小説(チャンバラ)が大好き」(角川文庫/各250円/徒然舎)

「マンガの道」(ロッキング・オン/900円/ブックスダカラ)

「上京する文学」(新日本出版社/400円/古書てんてん堂)

 

 

 

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いよいよ、古本市も残り4日! まだまだ、面白い本があります。

例えば、和田誠「倫敦巴里」。和田のギャグ精神満載の抱腹絶倒の一冊です。表紙をめくると、今話題の「暮しの手帖」っぽいページが登場。しかし、そこに書かれているのは「殺しの手帖」。並べられたガラス瓶にはドクロマークが付いていて、これらが毒薬であることがわかります。その後に「毒入りおそうざい」コーナーとか、「殺しの中で考える」とか。いかにも「暮しの手帖」風に展開します。極めつけは、「殺しの手帖」社発行の本の告知です。いわく、

「巴里の空の下 硝煙のにおいは流れる」「家中みんなの凶器」「こんなとき殺し屋はどうしたらよいか」

決して愚劣なパロディーにならないところが、和田の品性の良さとレベルの高さです。例えば、ビュッフェ風「鉄人28号」レジエ風「鉄腕アトム」などの見事なこと!その真骨頂は、アメリカ大統領ニクソンを、「夢は夜開く」の替え歌で皮肉った「ニクソンの夢は夜開く」ですね。

本を持った瞬間に、これ面白そうと思わせるものってありますよね。三浦しおん「本屋さんで待ち合わせ」もそんな一冊です。これは、彼女の書評集なのですが、最初に登場するのは「女工哀史」。しかも、この本に「萌える」???というところからスタート。成る程、こういう書評の書き方ありなのかと唸りました。セレクトされる本も、はぁ?、へぇ〜の連発。例えば永井義男「江戸の下半身事情」で、彼女はこう書いています

「なによりすごいのは、下半身事情を日記などに記録した江戸時代人が大勢いたことだ。もちろん、それを丹念に拾い集め、江戸初心者にもわかりやすく教えてくれた本書の著者のすごさは言うまでもない」

本を読む楽しさ200%詰まった一冊です。

もう、一冊。鈴木明「追跡」。サスペンス小説ではありません。時代は幕末。戊辰戦争最後の五稜郭の戦い前夜。函館で撮影された一枚の写真。日本、フランスの軍人8名が写っていますが、この写真から明らかにされる幕末の日仏交流の姿を追いかけた歴史ノンフィクションです。著者はこの写真を見た時、奇妙な感情に左右されます。ここに写っている武士たちが、「日本刀を持っていない」事実に注目したところから、彼の幕末への旅が始まります。激烈な戦闘状態にあるにもかかわらず、帯刀していないなんておかしい。膨大な資料の山と格闘しながら、8人の軍人のその後を追いかけることで、この時代を浮きぼりにしていきます。そういう意味で「追跡」は的を得たタイトルです。

★本日の紹介本一覧 (「書名」/出版社/価格/出品店)

「倫敦巴里」(話の特集/1800円/徒然舎)「本屋さんで待ち合わせ」(大和書房/450円/ユニテ)「追跡」(集英社/500円/本は人生のおやつです)

 

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「下鴨の古本市」は今日が最終日ですが、「レティシア書房夏の古本市」は今週末20日(土)の18時までがんばります。

さて後半戦最初は、文庫本でこれは買い!というものを。

本好きなら、集めてしまうちくま文庫。北村薫と、宮部みゆきが編集したアンソロジー「名短篇ここにあり」、「名短篇さらにあり」。くせ者二人が選んだだけあって、スタンダードな作家の間に、多岐川恭などエンタメ作家を滑り込ませているところが憎いです。

「後宮小説」で第一回のファンタジーノベル賞を受賞した酒見賢一の中短篇を初収録した文庫オリジナル作品集「分解」。人体の分解を詳細に描き、ヘンだけれども、読んでしまう小説です。

ちくま文庫は、多くの漫画家の作品を体系的に出版していますが、今回、水木しげるのゲゲゲの鬼太郎シリーズから「妖怪花」と「妖怪大統領」がありました。

他社の文庫もチェックすると、大佛次郎の「猫のいる日々」が新装版で出ています。数多くの猫を飼っていた大佛は、飽きもせず猫エッセイを書き続けてきました。文豪の猫ものでは内田百間の「ノラや」が有名ですが、ちょっとじめっとした内田より、カラッとした大佛のエッセイの方が個人的には好きです。

古書店を舞台にした「森崎書店の日々」が続編とのセットで出ています。映画にもなりましたが、これは映画、小説ともにユーモアとペーソスが微妙にブレンドされたいい作品です。ささかやな希望を届けてくれます。蛇足ながら、映画には岡崎武志さんが、チラリと登場します。

人気の北大路魯山人は「魯山人書論」と「魯山人陶説」が、吉田健一は「舌鼓ところどころ」が、辻嘉一は「料理お手本」、「味覚三昧」と食文化関係の本も出ています。お好きな方、お早めに。

★本日の紹介本一覧 (「書名」/出版社/価格/出品店)

「名短篇ここにあり」「名短篇さらにあり」(ちくま文庫/各250円/らむだ書店)、「分解」(ちくま文庫/300円/榊翠簾堂)「妖怪花」「妖怪大統領」(ちくま文庫/各300円/星月夜) 「猫のいる日々」(徳間文庫/200円/にゃん湖堂)「森崎書店の日々」(小学館文庫/セット300円/にゃん湖堂) 「魯山人書論」「魯山人陶説」(中公文庫/各200円/INCO) 「料理のお手本」(中公文庫/250円/1003) 「味覚三昧」(中公文庫/500円/1003)「舌鼓ところどころ」(中公文庫/100円/にゃん湖堂)

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回は、コミックをまとめてご紹介。

昭和58年、コミック雑誌デュオ別冊で出た「大島弓子の世界」。カセットテープのインデックスやらミニトランプなどのオマケまで付いています。大島があれば、萩尾望都もあります。小学館文庫3冊セットの「ポーの一族」、同じく文庫で「イグアナの娘」、「銀の船と青い海」とまだ探せばどこかの箱に隠れているかも。

コミックの目玉は、ますむらひろしの「アンダルシア姫」(全3巻)です。言わずと知れた宮沢賢治の諸作のコミック化で、人気の作家です。スペインのアンダルシアに来た画家青年「時蔵」と、古城に暮らす不思議な力を持つ少女「オリベ姫」の物語です。嫉妬、裏切りなど人間の闇の面に焦点を当てた作品です。

もうひとり、さがみゆきの作品が3冊。え、誰?それ??おそらくご存知の方は少ないはず。「呪われたふたつの顔」、「怪談ふたりお岩さま」、「ミイラ狂女」の三作。極めてマイナーなコミックです。猛暑に、ぴったりのコミックとしていかかでしょうか。

これをコミックと称していいのかどうかは別として、グレゴリ青山「ナマの京都」は笑わせてくれる京都本です。アルバイトに行った料亭で出会う「京いけずの章」は爆笑もん。もちろん、笑わせてくれるだけだなく、「京都における<王将>の存在」というエッセイで、そこそこの値段で持ち帰れる王将が「中華料理のおかず屋さん」として京都に定着したという見解は成る程納得。

中でも、一番そうそう、と笑わせてくれたのは、地元放送局の近畿放送TVで流れていた「もっさいCM」。ここでは「岩田呉服店」、「西村のエイセイボーロ」、「お墓の忠兵衛」、「山田木材経営団地」が取り上げられていますが、そのもっささが逆に強烈な印象を残すコマーシャルでした。地元の方なら知ってますよね、「そいつぁ岩田だよ、 そいつぁ岩田だよ〜」というあの呉服店ソング。

        

★本日の紹介本一覧 (「書名」/出版社/価格/出品店)

「大島弓子の世界」(朝日ソノラマ/1200円/古書柳)「イグアナの夜」(小学館文庫/400円/らむだ書店)  「ポーの一族」(小学館文庫/500円/ヴィオラ書房) 「銀の船と青い海』(河出文庫/400円/Think) 「アンダルシア姫」(学研/1600円/徒然舎) 「呪われたふたつの顔」(ひばり書房/400円/ちのり文庫) 「ナマの京都」(メディアファクトリー/500円/ヒトノホン)

 

★レティシア書房 夏の一箱古本市は8月20日(土)まで開催中 

 

(最終日は18時まで。15日(月)は定休日。)

 

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一時、ユニークな絵本を出版していたパロル舎。朔太郎の「猫町」とか、百閒の「冥土」は今でも当店人気の本です。今回の古書市にも一冊だけ出ていました。夏目漱石の「夢十夜」です。漱石の文章に金井田英津子が絵を描いた不思議な幻想世界が味わえる一冊です。

書評関係の本は、毎回沢山出ていますが、「奄美、沖縄本の旅」はレアな一冊です。「南島本、とっておきの七十冊」というサブタイトルの通り、奄美を中心に、沖縄・トカラ列島関連の小説・ノンフィクションがズラリ並んでいます。一色次郎「青幻記」とか、島尾伸三「月の家族」などポピュラーなものから、「奄美独立革命論」とか「漂う島とまる水」とかなにやらタイトルだけで面白そうな本の数々です。

自由奔放なスタイルで、地味ながらファンが多い後藤明生。「挟み撃ち」あたりが代表作ですが、ユニークな一作「汝の隣人」も出品されています。失った外套を求めて彷徨う男の徒労の一日を入念に描き込んだ「挟み撃ち」に対して、こちらは短篇集です。「九月のある夜更けGがKの短篇小説を読んでいると」で始まるこの本の主人公の名はG、登場する人物もすべてイニシャル表記で進行するという文体です。

本日最後にご紹介するのは、瞳みのる「ザ・タイガース花の首飾り」です。沢田研二を擁して一世を風靡したグループサウンズの代表格ザ・タイガース。そのバンドのドラマーだった著者が書いたザ・タイガース一代記。

「1963年、高橋克実(加橋かつみ)とは、たしか彼が高校1年、僕が高校3年の春、京都の山城高校定時制の食堂で初めて出会った。」

スパイダーズ、ブルーコメッツ、ワイルドワンズ等多くの優れたバンドがありましたが、グループサウンズという響きにこの上もなくぴったりなのが、ザ・タイガースでしょう。

本の最後に、名曲「花の首飾り」のカバーがズラリと並んでいますが、こんなに多くの歌手に歌われていたことは知りませんでした。

★本日の紹介本一覧 (「書名」/出版社/価格/出品店)

「夢十夜」(バロル舎/1100円/1003)「奄美、沖縄本の旅」(南方新社/600円/ヒトノホン)「汝の隣人」(河出書房新社/2000円/古書柳)「ザ・タイガース花の首飾り」(小学館/700円/原子心母) 

 

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(最終日は18時まで。15日(月)は定休日。)

 

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「こどもと こどもは せんそうしない けんかは するけど せんそうはしない」

という極めて全うな詩句で構成された谷川俊太郎(詩)、江頭路子(絵)による「せんそうしない」は、読んでおきたい、そして誰かにプレゼントしたい絵本です。

海辺で楽しく遊ぶこどもたちに「せんそうするのは おとなと おとな じぶんの くにを まもる ため じぶんの こども まもる ため でも せんそうすれば ころされる てきの こどもが ころされる 」という言葉が心にジンと響きます。

こどもを主人公にした絵本をもう一点。中山千夏(文)、和田誠(絵)の「どんなかんじかなあ」。登場するのは、耳が聞えない、目が見えない、歩けないといった障害を持つ子供と、阪神淡路大震災で親を亡くした子供。そんな風に書くと、なんかつらそうな感じですが、これメチャ明るい絵本。和田誠の色彩がお見事としか言いようがありません。

酒井駒子ファンの方なら、川上弘美のファンタジー「七夜物語」(上)(下)はいかがでしょう。ハードカバー版には、裏表紙、目次のページにまで、多くの絵が散りばめられています。定価で買えば4000円ほどするところですが、1700円と半額以下に。このチャンスをお見逃しなく。

児童文学作家、阿部夏丸の「オグリの子」。これは泣けてきますね。競馬界屈指の名馬オグリキャップの子供オグリダービーと、その疾走する姿に引込まれる3人の少年たちを描いた小説です。少年が、初めてオグリの姿に感動して、騎手に名前を聞くところの描写は、極めて映画的です。馬と少年の交流話はよくありますが、これも名作と呼んでいいと思います。

もう一点、絵本を紹介します。手塚治の「もえよドラゴン」。こんな絵本も書いていたんですね。短篇を集めた一冊ですが、このお姫様のために獅子奮迅の活躍をする龍が面白い。手塚らしいダイナミックな動きのある絵が楽しめます。

★本日の紹介本一覧(書名/出版社/価格/出品店)

「せんそうしない」(講談社/700円/おひさまゆうびんしゃ)

「どんなかんじかなあ」(自由国民社/300円/おひさまゆうびんしゃ)

「七夜物語」(朝日新聞/1700円/原子心母)「オグリの子」(ブロンズ新社/300円/Mt.Book)「もえよドラゴン」(河出書房新社/300円/マヤルカ古書店)

 

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(最終日は18時まで。15日(月)は定休日。)

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今日から、下鴨古本市です。

下鴨神社に朝一番に行くと、知り合いの本屋さんやら、当店のお客様に出会いました。猛烈に暑いという感じでもなく、本選びにはなかなか良い環境でした。神戸から「トンカ書店」さんが初参加されているのでご挨拶をしてきました。開催中のレティシア書房の古本市にも、例年通り参加していただいております。

 

さて、本日紹介するのは酒造メーカーのサントリーが販売している小冊子「Whisky Voice」です。2010年発行の39号(表紙は柳原良平)、14年発行の49号、そして15年発行の52号の三冊があります。お酒の本ですが、どれもエッセイが素晴らしい!49号では川本三郎が「ボトルキープは大正時代からあった」というタイトルで書いています。そして、52号では「バーのレコード」という企画もあり、音楽ファンにも読んでもらいたい冊子です(この特集だけでブログの記事が書けそう・・・)

化粧品メーカー資生堂が出していた「花椿」の元編集長が25年間通い詰めたパリコレから選んだデザイナー25人についた書いた平山景子「パリコレ51人」。ファッションの本質に迫ってゆく一冊です。この本、ネットでは8000円近い価格で推移しています。(もちろん当店ではそんな価格では出ていません。)「花椿」も数冊ですが出品されています。こちらは各150円です。

女性翻訳者の人気者、岸本佐知子の最近の二作、「なんらかの事情」、「ねにもつタイプ」がどちらもハードカバーであります。クラフト・エヴィング商會の素敵な装幀、イラストを楽しむなら、こちらの単行本サイズで持っておきたいものです。「なんらかの事情」にある「ダース考」は、よくもこんな事考えるなぁ〜と感心します。映画「スターウォーズ」の悪役ダースベーダは夜、自室に戻って眠るのだろうかとあれこれ考えた内容ですが、思わず吹き出します。変な人です、岸本さんて。

 

ところで、今日行った下鴨古本市「トンカ書店」(写真右下)で、あがた森魚・大瀧詠一の「僕は天使じゃないよ」と、沖縄のシンガー大島克己の「東ぬ渡」のCDを2枚買いました。この大きな古本市にはCD、DVDも出ていて、しかも安い。音楽ファンもお見逃しなく。(古本市は16日まで)

★本日の紹介本一覧(書名/出版社/価格/出品店)

「Whisky Voice」(サントリー/350円/1003)「パリコレ51人」(ギャップ出版/3000円/きれいちゃん書林)「なんらかの事情」(筑摩書房/800円/1003)「ねにもつタイプ」(筑摩書房/750円/1003) 

 

 

★レティシア書房 夏の一箱古本市

8月9日(火)〜8月20日(土) (最終日は18時まで。15日(月)は定休日。)

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古本市初日、猛暑にもかかわらず、多くのお客様にご来店いただきありがとうございます!

さて、本日紹介するのは、夏の古本市にいつも背筋がゾッとする本を提供してくれている「ちのり文庫」さん。今年もカルトな本を出してくれました。

江馬努「日本妖怪変化史」は、真面目に、日本の妖怪を論じながら、この国の民俗学的風土、或は芸能史を論じた一冊です。もう一点、私も座右の書にしたいのが菊地秀行「怪奇映画の手帖」です。この中で女ドラキュラについて、著者は「彼女がどっちの血を吸うか」を取り上げています。美女対美女に禁断のエロティシズムが表現できるのか? 興味ある方はお読み下さい。「ちのり文庫」さんはの箱は、入口近くにあります。ゾワ〜っとする本がいっぱい詰まっていますよ。

さて、他の出店者の箱からのご紹介。がらりと変わって、海外文学好きならゲットしておきたいカズオ・イシグロが、出品されています。文壇デビューの「女たちの遠い夏」(ハードカバー)、文庫では「日の名残り」、「浮世の画家」、「充たされざる者」の三冊です。「日の名残り」は映画化され、ご存知の方も多いとは思いますが、戦後、自らの信念と新しいモラルの相克に揺れ動く老画家を描く「浮世の画家」もお薦めです。舞台が日本で、登場するのも日本人ばかりなので海外物を読まない方にも。飛田茂雄の翻訳が、読みやすいです。

宮崎駿と加藤登紀子の「時には昔の話を」が出ています。宮崎の映画「紅の豚」のエンディング用に彼が描き下したイラストが十数点掲載されています。宮崎の飛行機への憧憬を浮かび上がらせた傑作ばかりで、ファンなら欲しくなります。映画の主題曲を歌った加藤登紀子との対談は読みごたえ十分です。本の帯には「中年の絵本」と書かれていますので、その世代の方は是非。

もう一点、珍しい本をご紹介。秋田の出版社無名舎だ出した「鷹匠ものがたり」。文字通り、鷹匠の生きる世界を追いかけた一冊で、鷹を育てあげる苦労が語られています。後半は眼光鋭い鷹を中心にした迫力ある写真が並びます。鷹匠の町、羽後町のことを熟知している地元の出版社だからこそ出来た本ですね。

★本日の紹介本一覧(書名/出版社/価格/出品店)

「日本妖怪変化史」(中央公論)300円/ちのり文庫 「怪奇映画の手帖」(幻想文学出版局)700円/ちのり文庫 「浮世の画家」(早川書房)200円/ヴィオラ書房 「時には昔の話を」(徳間書店)1500円 「鷹匠ものがたり」(無名舎出版)1000円/徒然舎

 

★レティシア書房 夏の一箱古本市

8月9日(火)〜8月20日(土) (最終日は18時まで。15日(月)は定休日。)

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本日、「レティシア書房 夏の古本市」初日です。

今回、最初に紹介するは、世界的記号論学者で、「薔薇の名前」でお馴染みのウンベルト・エーコが手掛けた絵本「三人の宇宙飛行士」(ブリタニカ/絶版3500円)。

へぇ〜、エーコが絵本出していたなんて知りませんでした。三人の宇宙飛行士が宇宙で、火星人に出会うという物語で文章をエーコが書いて、イタリアの画家、エウジェニオ・カルミが絵を描きました。火星人の造形が面白い一冊です。

国書刊行会が、出していたボルヘス編集による「バベルの図書館」シリーズから何点か出ています。ポー「盗まれた手紙」、ウェルズ「白壁の緑の扉」、カフカ「禿鷹」、スティーブンソン「声たちの島」等で、各1000円。縦長の判型に魅了されると、ちょっと本棚に飾っておこうかなという気にさせるシリーズです。

写真集では、「FULL MOON」(新潮社)。これは安い!800円!!アメリカのアポロ宇宙計画で、飛行士たちが名機ハッセルブラッドで、数多くの宇宙の写真を撮影しました。その膨大な未公開写真から129点を絵選んで、一冊の本になり、最初は豪華版で出版され、その後新装版で3000円程度で発売されたものがこれですが、800円はお買い得です。

当店の古本市で最高価格の本が出ました。1980年9月に発売された「文学界」という雑誌で、なんと20000円!村上春樹の中編小説「街とその不確かな壁」が掲載されているのですが、これがその後、単行本や全集に一切収録されず、ここでしか読む事ができないために、高価になっています。ご希望の方はカウンターまでどうぞ。

村上春樹では、彼が翻訳した絵本「ポテト・スープが大好きな猫」(講談社500円)も出ています。おじいさんと猫の日常を描いたアメリカらしい絵本で、村上は偶然、アメリカの本屋で出会って、気に入り翻訳をしたとの事です。おじいさんのベッドの上で眠る猫が素敵なラストシーンです。

 

★レティシア書房 夏の一箱古本市

8月9日(火)〜8月20日(土) (最終日は18時まで。15日(月)は定休日。)

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猛暑の下、次週火曜日よりレティシア書房の店内では、一箱古本市始まります。

続々と、素敵な本がいっぱい詰まったダンボールが届いているので、少しずつご紹介します。

渋い文芸書も、沢山あります。京都在住のエッセイスト山田稔の「リサ伯母さん」(編集工房ノア1000円)は、90年代、文芸雑誌に寄稿したエッセイをまとめた一冊ですが、「明るい場所」「極楽ホテルの鳥」は未発表で、ここでしか読めません。

幼くして母を亡くした著者の元に、時たま訪ねてくるリサ伯母さん。「リサ伯母さんは、わたしの記憶のなかでは何時も白いボンネットをかぶり、やはり白い、袖のひらひらしたドレスを着て微笑んでいる」と、思い出を語る「リサ伯母さん」は傑作ですね。

古本好きには人気の小説家、野呂邦暢の「小さな町にて」(文芸春秋・初版/帯無し4000円)も押さえておきたい一冊です。京都の大学に落ちて、堀川仲立売で、無為の日々を送っていたころのエッセイも収録されています。簡潔な文体で描かれた小品がズラリ並んだ一冊で、本を読む喜びって、こんな文章に巡り会うことでしょうね。野呂唯一の時代小説「落城記」(文藝春秋800円)も入荷しています。

古本市には毎年、書評集やら、本に絡んだエッセイが沢山出品されますが、スタイリスト伊藤まさこの「雑食よみ日々、是、一冊」(メデイアファクトリー800円)は、スタイリストらしくセンスのいい編集とレイアウトで楽しい一冊です。オールカラー写真で、彼女の心に沁み込んだ本が紹介されています。ちょいちょい登場する古書店や、カフェの店内もアットホームな雰囲気十分で、こんな店が近くにあればいいと思いました。

珍しい本が出てきました。東京の世田谷文学館は、そのユニークな企画で本好きを唸らせるミュージアムですが、ここが企画した「日本SF展」の図録がありました。小説、マンガ、映画における日本のSFの発展を一冊にまとめたもので、収集された資料には目をみはります。1964年に発足した虫プロ友の会雑誌「鉄腕アトムクラブ」の一部が掲載されています。筒井康隆、小松左京らの小説、かつての少年(私も)には大人気だった小松崎茂の絵が掲載されている、というファンならもう涙ものの雑誌です。

 

 

★レティシア書房 夏の一箱古本市のお知らせ 

8月9日(火)〜8月20日(土)20数店が今年も店内に出店します!

★夏休みのお知らせ8月21(日)〜25(木)