劇場公開中に見逃した映画2本をDVDで観ました。どちらも”贅沢”な映画でした。

一つは、老いた作曲家が、今一度指揮を取るまでの日々を描いた「グランドフィナーレ」、そして、50年代アメリカでは、まだ市民権を持っていなかった女性の同性愛を描いた「キャロル」です。

 

個人的に”贅沢”な映画を定義すると、1.その作品の世界を立上がらせるために、資金を投入している。(CGやら先端技術につぎ込むことを指しているのではありません)2.脚本がしっかりしている。3.役者が揃っている。4.監督の演出意図を理解し、嘘のない映像を創るスタッフ、美術であり、撮影であり、音楽をクリエイトできる人材が揃っている。

それらが集まる時に、映画は第一級の輝きを持った”贅沢”な作品として登場します。

「グランドフィナーレ」は老作曲家が、再び指揮台に立つまでを描いた映画ですが、主題は「老い」です。大御所マイケル・ケインが、功なり名を遂げながら、人生の虚しさを抱えた男を巧みに演じ、いつも小便が出ないと愚痴る友人ハーベイ・カイテルと軽妙な掛け合いを見せます。ストレートに二人の老いを描くのかと思いきや、不思議な人物たちが登場し、パオロ・ソレンティーノ監督は、イメージを大きく飛翔させて自由奔放に演出していきます。周りの役者陣も凄腕揃いなのに、ひとつの曲を演奏しているような心地よさがあります。それこそが、実力ってことかもしれません。

一方の「キャロル」は、大人の女の風格ではダントツのケイト・ブランシェットが主演。そして、「天使が舞い降りたような」(これは、映画の中でキャロルが彼女を形容したことば)可憐さのルーニー・マーラ。この二人が、まだまだ女性が不自由だった時代を生き抜いてゆく姿を、静かに、しかし情熱的に描いていきます。この映画のために作り出された50年代アメリカの保守的な、クラシカルな世相が、惚れ惚れする程美しい映画です。空気の層が厚いというか、深い、こういう映画を観るとしみじみ豊かな気持ちになります。

「キャロル」の監督トッド・ヘインズは、大学時代、アルチュール・ランボーの詩から着想を得た作品を製作、本格的デビューにはジャン・ジュネの「薔薇の奇跡」を元にした作品を発表、今回は、「太陽がいっぱい」でお馴染みパトリシア・ハイスミスの「ザ・プライス・オブ・ソルト」をベースにして「キャロル」を製作と、文学に精通している人物です。

 

 

私事で恐縮ですが、

1.身内に北海道在住の羊飼いがいる。 2.彼のおかげで北国の面白い人達とのネットワークができた。 3.私はウマ年生まれ。

というわけで、羊・北海道・馬に関する事にはアンテナを張っています。

昨年の夏ぐらいのこと、とある新刊本屋さんの店頭に、大空をバックに佇む馬の写真が表紙の小説が置いてありました。

著者は、河崎秋子。略歴を見ると、北海道生まれ、大学卒業後ニュージーランドで緬羊飼育技術を研鑽後、道内で羊の飼育、出荷しながら、執筆活動を開始。この本「颶風の王」(角川書店1400円)で三浦綾子文学賞受賞とありました。本の帯には「力が及ばぬ厳しい自然の中で馬が、人が、懸命に生きている」と書かれています。

羊、北海道、馬と三拍子揃った本ならば読まねばと思い、立ち読みを始めたのですが、よ、よめない。もう涙、涙でページが進みません。

明治から平成まで馬と共に生きて来た家族のお話です。特に、第1章が凄まじい。明治の世、捨て子同然だった捨造が18歳の時、開墾事業で北海道根室に向かいます。その時、母の秘密を知ることになります。雪崩で洞窟に閉じ込められた母は、一緒にいた愛馬を食べて、飢えをしのぎ、お腹にいた捨造を守るのです。もう、この辺りで、あ、ダメ〜とは思ったのですが、第二章を捲ってしまいました。

次の章では、時代は昭和。捨造は老人になり、孫娘の和子は道産子の血を受け継ぐ馬と共に、孤島での昆布漁に従事ていました。ある時、強力な台風が島を襲い、馬を島に置き去りにせざるを得ない状況に追い込まれます。

ここで私は読むのを放棄してしまいました。この本のことは忘れていました。ところが、先日ブログで紹介した川本三郎「物語の向こうに時代が見える」(春秋社1500円)で、詳しく紹介されていたのです。そして、こういう時に限って「颶風の王」を手にする羽目になるのです。

最終章は平成の時代。和子の孫娘で、帯広の畜産大学に通うひかりは、偶然、取り残された馬の子孫が生きていることを知り、島に向います。そこに現れたのはその馬の血をひく一頭の若馬。島にはもう他に馬はいません。このままでは全滅、助けねばと思った瞬間、ひかりは馬と目が合います。

「その眼球からはあらゆる感情が失われている。憎しみ、愛情、懐かしさ、怒り。およそ人間が読み取れそうな種類の気持ちは込められていない。感情の移入を許さない代わりに、ここだけ風が凪いだような、静かな主張が見て取れた。同情を拒み、共感を拒み、そうして目が示している

わたしのどこが哀しいのだ、と。」

ひかりはここで生きることを選んだこの馬と別れ、島を離れます。あ〜やっと読めた!

ひょっとして、表紙の写真って、この島に残って生涯を終わる馬だっだのか。そう考えると、ああ、また涙が…….。

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昨夜7時から、上村知弘写真展「Nature Connections」のイベントとして、ご本人によるトークショー「極北カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」を開催しました。20名以上の方々に参加していただき、狭い店内は熱気に包まれました。

上村さんが暮らしているカナダ・ユーコン凖州は、日本の1.3倍の大きさに人口たった37000人。人より野生動物の数の方が遥かに多い大自然のひろがるところです。

スライドで極北の四季が映し出されていきました。先ずは冬。この地で冬と言えば、世界最大の犬ぞりレース「ユーコンクエスト」が有名です。動画も駆使して、このレースの姿を臨場感いっぱいに紹介していただきました。2006年から「ユーコンクエスト」に出場している日本人女性マッシャー、本多有香さんの事も、彼女の著書「犬と走る」(在庫あります 800円)を手に取りながら、お話されました。上村さん自身も、保護された犬たちと趣味で犬ぞりを楽しんでいるとのことで、犬たちに対する気持ちがこもっていました。

長い冬が終り、春がやってくると、多くの動物たちが躍動し始めます。道路をホイホイ歩く親子のグリズリー(灰色クマ)の後ろ姿に、思わずみんな笑ってしまいました。そして夏、激流を下ってゆくカヌーを巧みに操縦する上村さんと奥様のタミーさんには拍手喝采。トークショーの途中には、タミーさんのお父さんの自家製スモークサーモンの差し入れ。燻製の香りにそそられ、一口食べたら止まりません。美味しいアラスカ!

短い夏が終り、あっという間に秋が過ぎ去り、冬の使者オーロラがやって来ます。もちろん、その美しく、幻想的な姿も動画でみせていただきました。太陽から吹き付けられる太陽風が原因となるオーロラは、銀河の彼方からの手紙みたいです。地球も宇宙も、人間だけのものじゃないよ、という事を確認させてくれる現象だと思います。参加者の中には、すでに上村さんのツァーでオーロラ経験済みの方もいらっしゃいましたが、未経験者たちは、ため息をついて、遠くカナダの空に思いを馳せました。

厳しい自然とともに生活しておられる人のお話を伺う度に、都会で暮らす自分の脆弱さを思い知らされます。ともあれ、ステキな時間を過ごす事ができました。上村さん、ありがとうございました!そして、お越し下さった皆様、窮屈な所でしたが、最後までお付き合いいただきまして誠にありがとうございました。ちなみに、もし旅に出掛けたいと思われた方、上村さんとタミーさんのガイドでいかがですか?

素敵なオーロラの作品の入った来年のカレンダー(一枚もの)は、写真展最終日まで販売しています(1100円)

 

京都人ならだれでも知ってる「糺(ただす)の森」。1994年には、森のある下鴨神社全域が世界遺産に登録されています。毎年、夏の下鴨神社境内で行われる古本市の場所として知っておられる方も多いと思いますが、古本市の時は、暑いのと、本探しと、多くのお客様でごった返していて、この森の素晴らしさなんて味わうことはないかと思います。

森林生態学者、四手井 綱英が編集した「下鴨神社 糺の森」(ナカニシヤ出版 1950円)は、この森の魅力を余す所なく伝えた名著です。(新刊書店勤務時代には、店のロングセラーでした)

この本は、様々な人々が、様々な角度から論じています。樹木学の観点から、生物学の観点から、或は植物学の観点から。

哺乳類研究家の渡辺茂樹が「糺の森のけものと鳥」の章で、述べています。

「イヌ・ネコ以外の哺乳類は糺の森には何もいない。しかし多分それでよいのである。幸い、遠出をしさえすればそれらと出会う機会が未だに日本には残されている。一方で文明の媚薬にどっぷり浸りながら、お手軽に野生を求めるのは都会人のエゴというものである。(求められ側の身にもなってほしい)」

いや、ごもっともです。街のど真ん中にありながら、あの静かさ、風の心地よさ、木々のざわめきを楽しめばよいのです。

第三部「糺の森と私」では、さらにバラエティーに富んだ方々が登場します。俳優の藤田まことは、「必殺仕置人」をここで撮影していたことがありました。かつては、この森の西に松竹下鴨撮影所があり、私も何度か、この辺りのロケ現場を目撃しました。

或は、作家、高城修三が中上健次と夜の森を散策した話。中上は、真の闇は熊野にしかないと信じて、かの地を舞台にして小説を執筆していました。しかし、京都にも深い闇があると高城が持ちかけ、夜中の糺の森に行き、中上は絶句したとのこと。私も、夜にこの森を通過したことがありますが、暗闇の深さにぞっとした記憶があります。

何気なく通っている森の深さを知ることができる貴重な一冊です。ぜひ、本を片手に森へ入ってみて下さい。

★本日、店内イベントのため18時で閉店いたします。ご了承くださいませ。

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画家・絵本作家のミロコマチコさんちには、「ソト」と「ボウ」という名の猫が居ます。外房線地域に捨てられていた、彼ら2匹とのまったりした日常を描いたカレンダー(540円)が入荷しました。これが、実に面白い。女房は、このカレンダーの大ファンで毎年部屋に掛けています。

2012年に死んだ先代ネコ、「鉄三」にマチコさんが語りかけるような形で、「鉄三、ソトがね。冬は猫みたいだけど、夏は宇宙人みたいになるよ」なんて、不思議な言葉を散りばめながら、猫を飼った事がある人には、なんとなく思い当たる行動が、彼女の独特の自由奔放なイラストで描かれています。

なお、このカレンダーの影の主人公、”暴れネコ”として名をとどろかせた鉄三を主人公にした絵本「てつぞうはね」(ブロンズ新社)も、近日再入荷予定です。

さて、ほっと人を和ませるこのカレンダー同様に、気持ちの良い朝には鳴らしておきたいイ・ランの「ヨンヨンスン」(Sweet Dreams Press1500円)のジャケットの猫も素敵です。

彼女は2010 年韓国ソウルの学生街ホンデを中心とする、新しい自主独立音楽シーンの活況の中にあっても格別に大きな注目を浴びて登場したマルチ・アーティストで、このアルバムが処女作。ホームレコーディングされたアルバムで、ギター一本で、自分の日常のことをとっかかりにして、様々なことを語っていきます。透明な歌声は、朝聴けば、今日がいい日であるように思えるし、夜聴けば、良くなかった一日でも、ま、新しい朝が来れば、いい日になるよねと思わせてくれます。

「私はアパートに住んでいた/我が家は702号室/兄貴と私はひとつのベッドで眠った/父さんは貧乏で母さんは優しかった/私は兄貴の乳首を触りながら眠った/学校に行きたくなかってけど/先生がきらいだったけど/毎日小さな部屋で遊んで眠った/私は背が小さかったけど暑かったけど/つま先立ちでも窓は高く/ある六月廊下の向こうから吹いてくる風/その風 風 風 風 風 風 風 風 風/私はラッキーアパートに住んでいた」

私の一番好きな「ラッキーアパート」という曲の歌詞です。すっきりした風が部屋に入ってくるようです。

 

川本三郎の書評集「物語の向こうに時代が見える」(春秋社1500円)は、この本読んでみたい!一刻も速く書店に行かねば!という気分にさせられます。

単純に著者が書評した本が並んでいるのではなく、三つの切り口に分かれています。第一章「戦争の記録」、第二章「『街』と『町』に射す光と影』、第三章「家族の肖像」。

第二章で論じられる野呂邦暢「鳥たちの河口」、第三章で紹介されている河崎秋子「颶風の王」などお薦めが多いのですが、第一章「戦争の記録」で紹介されている本を、当店にも何点か置いていて、これは凄い本だなぁ、と驚嘆した小説が載っていました。

前の大戦で徴兵忌避をして、日本中を移動する男の生活を描いた丸谷才一「笹まくら」(800円)、戦犯を収容した巣鴨プリズンで働く刑務官の目を通して戦争を描く「プリズンの満月」(新潮社700円)。そして、乙川優三郎の「脊梁山脈」(新潮社700円)は、時代小説の名手初の現代小説として話題になった一冊でした。

昭和23年、上海から復員してきた矢田部信幸は、同じ復員兵である小椋康造と出会います。彼は山に戻って暮らす、もう二度と町には戻らないと告げます。やがて、二人は別れて、それぞれの人生を歩んでゆくのですが、生活が落ち着いた矢田部は、小椋康造のことが気になってきます。そして、康造を探して信州の山奥に入っていきます。そこで、彼は轆轤(ろくろ)を使って盆や、小鉢を作る木地師という存在を知ります。木が必要なので山で暮し、町人とは最低限の関わりしかもたない。小椋康造は、そんな木地師だったことが分かってきます。やがて、矢田部は木地師に惹かれていき、戦後の日本を生き直すまでを描いた大河小説です。

復員兵で満員の列車で、康造は信幸に「もし今度戦争があったら山の奥へ逃げるつもりです」と言い、こう続けます。

「食べるものを作り、生活の道具を作り、細々とですが生きてゆける人間がどうして外地で知りもしない人たちと殺し合わなければならなかったのですか、私はもうご免です。」

この辺りから、どんどんと小説の世界に入っていき、主人公と共に戦後日本を生きることになるのです。

 

 

フランス映画「アスファルト」を観てきました。

なんか、冷えた人間関係を描いたみたいなタイトル。どんよりした曇り空を背景に、薄汚れたオンボロアパートがファーストシーンなんで、そう思ってしまいますが、全く違いました。

「幸せ」なんて永遠に続くものじゃなく、一瞬でどこかに消えてしまうもの。それでも、そんな瞬間があるからこそ人生っていいよね、という単純明快なテーマの映画です。ただ、描き方がユニークで、なんとも言えないところがミソですね。

登場人物は、このアパートに住む男女4名。下手すると、この人の過去にはこんな事があって、今はこうで、どうしたこうしたと、てんこ盛りの展開になってしまい、それだけで、もううんざりという映画になってしまいがちです。

ところが、この映画では、アルジェリアから移り住んだ老女のもとに、着陸地点を間違ってアパート屋上に降下してまった宇宙飛行士が、突如電話を貸して、とやって来ます。そんな展開、ハリウッドではあり得ません。その辺が、人生何でもありなんよ、とでも言いたげなフランス映画の余裕でしょうか。フツーなら、パトカーやら、軍隊が来そうな展開なのですが、いたって町は静かです。

この二人の奇妙な出会いを描きながら、無職で歩けなくなった(そうなった原因も、そんなアホな〜と仰天しますが)男が、夜な夜な深夜勤務の病院の看護婦に会いにゆく日々を追いかけます。最初は、孤独な二人という印象なのですが、車椅子を放り出してよろけながら歩くラストシーンは健気で、涙を誘います。

あり得ない設定だらけのシーンの連続なのに、なぜかラストは涙ぐんでしまう不思議な、しかし人生の真実をきちんと見つめた映画なのです。

劇中で、TVからクリント・イーストウッド監督作品「マディソン郡の橋」がフランス語で放映されているシーンが出ます。イーストウッドとメリル・ストリーブのフランス語吹き替えには笑えますが、この映画が最後のオチにかかってくるところが、監督サミュエル・ベンシェトリのセンスの良さです。

最初は、何だ!この映画!と思う方もおありでしょうが、ラストまでみたら、ね、ちょっぴりビターで幸せな気分にさせてくれるでしょ、と言いたい作品でした。

そう言えば、やはり団地に住む人々を描いた坂本順治監督の「団地」と同じようなテイストの映画です。

 

カナダ在住の写真家、上村知弘さんの写真展本日より開催です。2012年に続き2回目になる今回の写真展に向けて彼はこう語っています。

「極北で撮りためた自然写真に文章を添えて、写真展という形で発表します。野生の生物に惹かれるのは、彼らが自然という不確かな要素の中で、将来や自分自身に思い煩うことなく、懸命に生きているように見えるからではないでしょうか。その姿や生き方に潔さを感じ、その畏敬の念がシャッターを押させてくれるのだと思います。」大自然のカナダ・ユーコン凖州に暮らして10年目、極北の旅や暮しを通して撮った作品たちです。写真の下には、上村さんのステキな文章が添えられています。どれもが、京都に住んでる本屋には眩しいばかり。

子育て真っ最中の白頭鷲、南東アラスカで海で身体を休めるラッコの一群、厳冬を乗り切る為の栄養源であるシャケをじっと待ち続けるクマ、そして夏の終りと共に戻ってくるオーロラの幻想的な美しい輝きなど、厳しく、美しい自然に身を置いて、撮り続けた12点。

ジャコウウシが、大平原の向こうからこちらに向かってくるところを捉えた一枚は、堂々たる風格。しかし、どこかで観た記憶があるなぁ〜と考えていると、モーリス・センダックの絵本「かいじゅうたちのいるところ」の表紙にいるウシであることがわかりました。マンモスのいた時代から生きてきたのですが、乱獲により一度は絶滅しかけた種です。内毛は、なんと羊の8倍の暖かさ、カシミヤよりも暖かいのだそう。子どもを守る為に、子どもを囲んで円になり動かないので、人間に銃撃されやすかった、などという話を聞いてから、この写真に対峙すると、その威厳ある姿にひれ伏したくなります。

私たちが、上村さんを知ったのは、レティシア書房を始める前、北海道に行った時のことでした。ちょうど先週金曜日に、当店でトークショーをしてくれた、安藤誠さんが経営するロッジ「ヒッコリーウインド」でお会いしました。上村さんは、ネイチャーガイド修行中で、一緒にカヌーに乗ったりしました。彼の写真がヒッコリーに置いてあり、その素晴らしさに見入ってしまいました。

レティシア書房をオープンした2012年、彼が追い続けているドールシープ(高山に住む羊です)の写真展を開催してもらいました。今回の個展にも、雪の中に立つ真っ白なドールシープを捉えた作品が展示されています。マイナス40度の世界で、首を傾けた表情が、なんとも素敵な作品です。(写真集「Dall Sheep/ドールシープ」1620円も販売中です)

大きな作品の手前の平台には、極北の旅の様々なシーンを撮影したものを文庫サイズの本にまとめたフォトブックが十数冊並べてあります。販売はしておりませんが、ご自由にご覧下さい。

ぜひ、個人的に行ってみたいと思われた方は、上村さんと奥様のタミーさんが経営する少人数制の自然ツアー会社“Nature Connections”もあります。またユーコン準州の観光チラシやパンフレットもありますので、お持ち帰り下さい。(店長&女房)

 

★上村知弘さんは11月6日(日)は終日在廊されています。

 

 

 

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渋い雑誌「雲遊天下」を出しているビレッジプレスから、「ヒトハコ」が創刊されました。特集は「一箱古本市の楽しみ」。しかも、なんと京都は長岡天神で開催されている「天神さんで一箱古本市」が徹底的にレポートされています。さらに、そのレポートを書いているのが「古書ダンデライオン」の中村さん、となれば本好き京都人マストの一冊です。中村さんは、先ずこの古本市の始まりから書かれています。

「不忍ブックストリートの一箱古本市の波が、京都にも2000年代後半にやってきたが、継続的なものはなく、そこにひょっこり現れたのが、榊翠簾堂(サカキスイレンドウ)さんだった」

元気の塊みたいな榊翠簾女史が獅子奮迅、周囲の人間を巻き込んで、11年11月に天神さんでの古本市がスタートしたのです。その後は、年2回、 春(5月)と秋(11月)に開催され、出展者もお客様も増えています。

なお、今年秋の開催は11月19日(土)10時からです

中村さんは「フツーに出展者を募り、フツーに開催し、フツーに一箱古本市を楽しんでいる。そうやって続けて来た天神さんという場所からは、多くのものが生まれて、育っていき、繋がっていった。」と締めくられています。私も第一回目から客として行っていますが、この古本市で、多くの人達との交流が生まれました。。そうして、当店の古本市にも榊翠簾堂さんはじめ、出店してもらっている方もたくさんいらっしゃいます。

特集はさらに続きます。200回も一箱古本市に参戦した強者、レインボーブックスさんへのインタビューやら、各地の主催者の思いを綴った「なんで一箱古本市やってるの!?」等々、古書への愛着一杯の記事ばかりです。

 

「放浪書房」の富永君が、オリジナルの箱を披露。旅先で、軒先やら道端で旅の本を売りさばく”人力移動式の旅絵本専門店”放浪書房も、もう十年なんですね。寒い寒い冬の日、鴨川で開店したこの本屋でコーヒーを飲んで温まった記憶が甦りました。富永君は、2012年3月、当店開店の日にネットで開店の日の様子をライブ放送してくれましたっけ。

ところで、富永君との交流を切っ掛けに、実店舗「ひらすま書房」を開いた本居淳一さんの開店までの記録を読む事ができます。「本にはなぜかわからないが、いろんな力があると思う。何かのきっかけになる本をひらすま書房で見つけてもらえれば、それほど嬉しいことはない。」と店主は結んでおられますが、全く同じ気持ちです。

最後のページに16年1月〜8月までの全国の一箱古本市の記録が載っています。こんなに開催されてるんですね!おっ、8月のところには、当店の市も載ってるではありませんか。ありがとうございます。来年もがんばります!

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恒例になった、ペンション「ヒッコリーウインド」オーナーで、ネイチャーガイドの安藤誠さんの「安藤塾」を昨夜開催しました。安藤さんは、毎年10月の下旬に北海道鶴居村を出発して、依頼のあるところで、北海道のこと、自然とともに生きていくこと、などについて、講演をして回られます。レティシア書房では数えて5回目になりました。

彼が撮影した写真を観ながら、北海道の自然の魅力と、動物たちの生き方に驚かされました。

左の写真のこの虫、ご存知でしょうか。「トビケラ」という虫です。幼虫時代を水中で過ごし、水上で羽化します。とても小さな昆虫なのですが、トビケラにレンズを向けたのは、「彼のあまりにもかぼそく優美なさま、とくにオーロラのような羽のグラデーションと輝きを見つけることができたから。自然ガイドをしていて、自分自身が毎日いただいている発見と感動に、ただただ感謝」と言う理由です。この写真ではよくわかりませんが、画面を拡大した時に、羽の中にまさにオーロラを見出しました。

右の疾駆するウサギは、夏毛の「エゾユキウサギ」です。飼われているウサギとは全く違う逞しい足。疾走している姿はまるでカンガルーのようです。このウサギ、安藤さんがタンチョウの子育てを撮影していたときに遭遇した雄ウサギで、恋に夢中。撮影者の向こうにいる雌ウサギ目ざして、すぐそこに居る人間などお構いなしに、一直線に走って来たというわけです。安藤さんは、このウサギを前に、こう呟きました。

「北海道の自然界において弱者に位置する彼らが、毎日を必死で生きている様に、強い愛おしさを感じた。願わくは、この冬に真っ白になったエゾウサギに出会えたらと。」

プロ、アマを問わずアジア中のカメラマンが参加できる、アジアの自然にフォーカスをあてた写真コンテストNature’s Best Photography Asia2016で入賞したのが、サクラマスの飛翔(左写真)を捉えた一枚です。幻想的な滝の飛沫の中を飛翔する姿が感動的です。安藤さんは、この作品について「彼らは苦しく、困難な状況であっても決して諦めない。黙々と淡々と飛び続ける。このワイルドライフからのメッセージをどう受け取るかは、己の感性だけではなく自分自身の生き方次第なのかもしれない。」とフォトエッセイの中で書いています。(Nature’s Best Photography Asia2016は販売はしていませんが、店にありますので、ご覧になりたい方はどうぞ)

こんな風に、驚きの写真と楽しいトークで、「ヒッコリーウィンド」を訪れた人もそうでない人も、一緒になって和やかに夜は更けていきました。12〜3人で、狭い店内はいっぱいなのですが、この本屋のあたたかな雰囲気が好きだと言って下さるので、毎年旅の日程に入れてもらっています。トークの前後に、音楽好きの安藤さんは、CDの棚の前に座り込んで、「まいったな〜」と言いながらお気に入りのCDを手にしてニコニコ顔。私自身は、この顔見たさにさらにがんばって、CDコーナーを充実させているようなところがあるように思います。

 

★ 11月5日(土)は店内イベントのために18時にて閉店いたします。ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお  願いします。