「夏の一箱古本市」終了後、数日間お休みをいただき、北海道へと向いました。

台風が北海道に上陸して被害も伝わる中、当日はまたもや台風が関東方面に…..。飛行機は定刻通り飛んだものの、釧路はやはり雨でした。

出迎えてくれた鶴居村の宿ヒッコリーウインドオーナー、安藤誠さんは、ネイチャーガイドでありプロカメラマン。握手するなり「今から、知床に向かうよ。」って、この雨の中を??

数時間のドライブで着いた所は、鱒が遡上する「さくらの滝」。恐ろしい水量の川を、果敢にアタックする姿を見て、ワクワク!その後、神秘的なコバルトブルー色の「神の子池」に向かいました。摩周湖からの地下水が湧き出ている山の奥にある池で、摩周湖(カムイトー=神の湖)の伏流水からできているという言い伝えからそう呼ばれています。周囲220m、水深5mの小さな池で、 水が澄んでいるので底までくっきりと見えます。

 

翌日は快晴。お約束のカヌーツアー・・・・しかし、河に行かず、山の中へ。安藤さんと、ネイチャーガイド研修生ケンちゃんが、30キロのカヌーを担いで、森の奥へと向かいます。立て看板には「ヒグマ出没注意」。道なき道を抜けて到着したのは阿寒国立公園内「ひょうたん沼」。

辺り一帯を支配する静寂。滑るように湖面を移動するカヌーのパドルの音だけが聞えます。東山魁夷の作品のような森の風景。大きな自然に抱かれている心地よさとはこんな情景のことなのだと思いました。

安藤さんはまたギターリストでもあり、音楽好き仲間として、会えば話が盛り上がる関係で、その夜はヒッコリーウインドに、ギタリストの藤本裕治さんが駆けつけ、突然のライブ。素敵なブルースで夜が更けていきました。

翌日は、釧路の西北、白糠町で義弟がやっている茶路めん羊牧場で、牧場が運営するレストラ「クオーレ」に行き、羊肉を使った料理を楽しみました。「クオーレ」は昨秋開店し、地元の若いシェフが、美味しい料理を出すという評判をもらっていて、今回の旅の目的の一つでした。メインディッシュの「仔羊のロースト 季節の野菜添え」(写真右)は絶品。暮れてゆく牧場風景を遠くに見ながら数日のバカンスは終了となりました。

 

★なお、毎年当店で開催している安藤誠「安藤塾」は10月末を予定しています。正式な日時が決まりましたら、お知らせします。今年もまた美しい写真と共に、楽しい話が聞けると思いますよ。

「夏の古本市」本日最終です。酷暑の中、多くの方にご来店いただき、まことにありがとうございました。参加して頂いた26店の皆様、素敵な本をありがとうございました。

古本市開催中も、色々と面白い本が沢山入荷しています。ミニプレス「公園道具」(864円)の第4集です。写真家、木藤冨士夫が都内の夜の公園で、遊戯道具やら、オブジェに照明を入れて撮影したものを集めた写真集です。(Vol.1〜3は完売です)

不思議な世界が展開します。蛙の口から飛び出したすべり台の写真が表紙ですが、このカエルまるで生きているみたいで、夜な夜な、子供たちが遊びに来るのを待っているのかもしれません。

今回、同時に、木藤さんの作品集「ZOO COLLECTION」(1544円)も入荷しました。白黒で撮影された動物たち。彼らの全体像を撮るのではなく、その一部分をクローズアップした作品で構成されています。

彫刻のような象の鼻、暗闇に浮かび上がるシマウマの模様、遥か彼方を見つめる羊の眼、地獄からの使者のようなワニの顔、深い対話をしてくれそうなキリンと多種多様な動物たちの表情を見ることができます。

 

 

京都発の文芸雑誌「APIED」(648円)。最新号の特集は「小説と映画」。色んな映画とその原作にまつわるエッセイ満載ですが、その中に、小川洋子の「猫を抱いて象と泳ぐ」に関しての文章をみつけました。

えっ、この小説映画になってた??と読み始めると、これ筆者の妄想でしたが、なかなか面白い。かつて、ミニコミ雑誌でベスト映画を選んだ時、「埴谷雄高の『死霊』を香川照之の主演で観たい」とユニークな意見を書かれただけのことはあります。

小川洋子の作品では、「薬指の標本」がフランスで映画化されています。筆者は、フランス映画なのにまるで違和感がなく、「物語にほぼ忠実で妖しさと静謐さ、幻想的な香りは失われていない」と書かれています。私は映画は観ていませんが、原作の「妖しさと静謐さ」はヨーロッパ的だなと思いました。確か、「人質の朗読会」(中央公論新社800円)はWOWWOWでドラマ化されましたが、これは渋い役者一杯のアメリカで映画化してもらいたい。できれば、映画で物語を語ることをよく知っているクリント・イーストウッドに演出してもらえれば最高ですね。

 

★勝手ながら8月21日(日)〜25日(木)夏休みをいただきます。

よろしくお願いします。 

 

 

 

明日で夏の古本市も終了です。後半になっても、多くのお客様にご来店いただきありがとうございます。鰹の一本釣の如く、いい本を釣り上げるお客様の腕前を、驚きながら拝見しています。

「こんな本あります」の紹介も本日で最後。ぎりぎりまで参加店の箱を覗いて、面白そうな本を紹介させてもらいます。

さて、一番手は絵本「みそかいばし」。夢を主題とした民話をもとに作られた絵本を武井武雄が描いています。江戸時代、夢に現れた仙人の言葉を信じたちょうきちのお話。武井独特の渋い色彩と洗練されたデザインが、やっぱり素敵です。

一応、子供向けの絵本ですが、大人も十分楽しめるのがH.A.レイの「星座を見つけよう」です。どの星とどの星を結びつけるのかを、簡単に学べます。星座の説明に始まり、天文学で使用する「光年」という単位の解説、季節ごとの星図の紹介まで、一通りの天文の知識が得られます。私の星座はふたご座。これは黄道の星座のひとつで「火星や金星などのような、わく星をみつけるのにべんりだ。だから黄道星座は宇宙旅行に関心をもっている人たちには、とてもたいせつなのだ。」なんて解説も見逃せません。

「介助犬ターシャ」という素敵な写真絵本を出した大塚敦子の「さよならエルマおばあさん」も、子供にも、大人にも読んでほしい一冊です。

死期の迫ったエルマおばあさんの、最後の一年間を撮った作品で、おばあさんと仲良しの猫が、彼女の最期を語っていきます。これはとても幸せな死を写真にした一冊ですが、ポツンと庭に座る猫のラストショットは演出とはいえ泣かせます。このショットの前に、おばあさんの友人たちが一堂に会した写真が載っていますが、みんなの口から語られる思い出を通して、おばあさんが記憶の中に生き続ける姿が見えて来ます。死を語る事を避けないで、ホスピスケアを写した優れた本です。

今回、出品されている多くの図録を紹介できませんでしたが、一冊だけご紹介。1984年京都市立美術館で行われた「バルチュス展」の図録です。「バルチュスの世界の持つ不思議なーそれ故に魔力的なー特色のひとつは、その異様なまでの静けさである。」と高階秀爾は書いていますが、その事を納得させられる「コメルス・サンタンドレ小路」。とある街角にたむろする人々。大人に子供、若い女性におばあさん、それに犬まで描かれているのに、生の匂いが立ち登ってきません。ぞおっとする静けさの漂う世界に、逆に心惹かれます。

 

★本日の紹介本一覧 (「書名」/出版社/価格/出品店)

「みそかいばし」(フレーベル館/1500円/おひさまゆうびん舎) 「星座を見つけよう」(福音館/500円/葉月と友だち文庫)「さよならエルマおばあさん」(小学館/300円/マヤルカ古書店) 「バルチュス展」(図録/800円/葉月と友だち文庫)

★レティシア書房 夏の一箱古本市は8月20日(土)まで開催中 (最終日は18時まで。)

★レティシア書房 夏休みのお知らせ 8月21日(日)〜25日(木)

 

 

タイトルだけで判断してはいけないという一冊のご紹介です。吉野朔実の「お母さんは『赤毛のアン』が大好き」。表紙には「赤毛のアン」っぽいイラストが描かれているので、ああ、アンの関連本ね、などと思ってはいけません。ポール・オースターに始まる書評集、それもマンガで綴られています。取り上げられている本は、文芸、サスペンス、エッセイと何でもござれですが、幅広い趣味に驚きです。今回、出品されている文庫版には、「偶然と貧乏の達人ポール・オースター」と題して、筆者と柴田元幸との対談が掲載されています。同じ作者で「お父さんは時代小説(チャンバラ)が大好き」は、尾崎放哉から始まります。

マンガ家が登場したとことろで、もう一作ご紹介、安野モモヨ、山本直樹、古谷兎丸、吉田戦車等第一線で活躍しているマンガ家にインタビューしたのが「マンガの道」。エロマンガの新天地を開いた山本直樹が、自作「ビリーバーズ」のモチーフになっているのが、連合赤軍のメンバーが書いた本に影響を受けている話や、音楽漫画「BECK」のハロルド作石が、マンガで音楽を表現することの難しさの一方で、「逆に、音が出ないからみんながすごい音を想像してくれるっていうので、得してる。」と語っているのも面白いところです。

岡崎武志著「上京する文学」は、30歳を過ぎて上京した自らの人生から、元々の東京っ子ではなく、地方から上京した文学者の期待、不安、孤独、葛藤を書いた作品です。取り上げられている作家は18名。斎藤茂吉から村上春樹まで、上京者たちの心の内側へと迫ってゆくルポルタージュ。この中で宮沢賢治が、37年の短い生涯の中で9回も上京していたことは、賢治ファンの私には驚きでした。16時間あまりの東京への長旅の中で、様々な幻想に浸っていたはず。それが「銀河鉄道の夜」へと繋がったのかもしれません。最後に村上春樹が登場しますが、「村上作品には『一人っ子』として孤独を繰り育てた者にしか描けない透明な空気感がある」という論は是非お読みいただきたい。

 

★本日の紹介本一覧 (「書名」/出版社/価格/出品店)

 「お母さんは『赤毛のアン』が大好き」「お父さんは時代小説(チャンバラ)が大好き」(角川文庫/各250円/徒然舎)

「マンガの道」(ロッキング・オン/900円/ブックスダカラ)

「上京する文学」(新日本出版社/400円/古書てんてん堂)

 

 

 

 ★レティシア書房 夏の一箱古本市は8月20日(土)まで開催中 (最終日は18時まで。)

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いよいよ、古本市も残り4日! まだまだ、面白い本があります。

例えば、和田誠「倫敦巴里」。和田のギャグ精神満載の抱腹絶倒の一冊です。表紙をめくると、今話題の「暮しの手帖」っぽいページが登場。しかし、そこに書かれているのは「殺しの手帖」。並べられたガラス瓶にはドクロマークが付いていて、これらが毒薬であることがわかります。その後に「毒入りおそうざい」コーナーとか、「殺しの中で考える」とか。いかにも「暮しの手帖」風に展開します。極めつけは、「殺しの手帖」社発行の本の告知です。いわく、

「巴里の空の下 硝煙のにおいは流れる」「家中みんなの凶器」「こんなとき殺し屋はどうしたらよいか」

決して愚劣なパロディーにならないところが、和田の品性の良さとレベルの高さです。例えば、ビュッフェ風「鉄人28号」レジエ風「鉄腕アトム」などの見事なこと!その真骨頂は、アメリカ大統領ニクソンを、「夢は夜開く」の替え歌で皮肉った「ニクソンの夢は夜開く」ですね。

本を持った瞬間に、これ面白そうと思わせるものってありますよね。三浦しおん「本屋さんで待ち合わせ」もそんな一冊です。これは、彼女の書評集なのですが、最初に登場するのは「女工哀史」。しかも、この本に「萌える」???というところからスタート。成る程、こういう書評の書き方ありなのかと唸りました。セレクトされる本も、はぁ?、へぇ〜の連発。例えば永井義男「江戸の下半身事情」で、彼女はこう書いています

「なによりすごいのは、下半身事情を日記などに記録した江戸時代人が大勢いたことだ。もちろん、それを丹念に拾い集め、江戸初心者にもわかりやすく教えてくれた本書の著者のすごさは言うまでもない」

本を読む楽しさ200%詰まった一冊です。

もう、一冊。鈴木明「追跡」。サスペンス小説ではありません。時代は幕末。戊辰戦争最後の五稜郭の戦い前夜。函館で撮影された一枚の写真。日本、フランスの軍人8名が写っていますが、この写真から明らかにされる幕末の日仏交流の姿を追いかけた歴史ノンフィクションです。著者はこの写真を見た時、奇妙な感情に左右されます。ここに写っている武士たちが、「日本刀を持っていない」事実に注目したところから、彼の幕末への旅が始まります。激烈な戦闘状態にあるにもかかわらず、帯刀していないなんておかしい。膨大な資料の山と格闘しながら、8人の軍人のその後を追いかけることで、この時代を浮きぼりにしていきます。そういう意味で「追跡」は的を得たタイトルです。

★本日の紹介本一覧 (「書名」/出版社/価格/出品店)

「倫敦巴里」(話の特集/1800円/徒然舎)「本屋さんで待ち合わせ」(大和書房/450円/ユニテ)「追跡」(集英社/500円/本は人生のおやつです)

 

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「下鴨の古本市」は今日が最終日ですが、「レティシア書房夏の古本市」は今週末20日(土)の18時までがんばります。

さて後半戦最初は、文庫本でこれは買い!というものを。

本好きなら、集めてしまうちくま文庫。北村薫と、宮部みゆきが編集したアンソロジー「名短篇ここにあり」、「名短篇さらにあり」。くせ者二人が選んだだけあって、スタンダードな作家の間に、多岐川恭などエンタメ作家を滑り込ませているところが憎いです。

「後宮小説」で第一回のファンタジーノベル賞を受賞した酒見賢一の中短篇を初収録した文庫オリジナル作品集「分解」。人体の分解を詳細に描き、ヘンだけれども、読んでしまう小説です。

ちくま文庫は、多くの漫画家の作品を体系的に出版していますが、今回、水木しげるのゲゲゲの鬼太郎シリーズから「妖怪花」と「妖怪大統領」がありました。

他社の文庫もチェックすると、大佛次郎の「猫のいる日々」が新装版で出ています。数多くの猫を飼っていた大佛は、飽きもせず猫エッセイを書き続けてきました。文豪の猫ものでは内田百間の「ノラや」が有名ですが、ちょっとじめっとした内田より、カラッとした大佛のエッセイの方が個人的には好きです。

古書店を舞台にした「森崎書店の日々」が続編とのセットで出ています。映画にもなりましたが、これは映画、小説ともにユーモアとペーソスが微妙にブレンドされたいい作品です。ささかやな希望を届けてくれます。蛇足ながら、映画には岡崎武志さんが、チラリと登場します。

人気の北大路魯山人は「魯山人書論」と「魯山人陶説」が、吉田健一は「舌鼓ところどころ」が、辻嘉一は「料理お手本」、「味覚三昧」と食文化関係の本も出ています。お好きな方、お早めに。

★本日の紹介本一覧 (「書名」/出版社/価格/出品店)

「名短篇ここにあり」「名短篇さらにあり」(ちくま文庫/各250円/らむだ書店)、「分解」(ちくま文庫/300円/榊翠簾堂)「妖怪花」「妖怪大統領」(ちくま文庫/各300円/星月夜) 「猫のいる日々」(徳間文庫/200円/にゃん湖堂)「森崎書店の日々」(小学館文庫/セット300円/にゃん湖堂) 「魯山人書論」「魯山人陶説」(中公文庫/各200円/INCO) 「料理のお手本」(中公文庫/250円/1003) 「味覚三昧」(中公文庫/500円/1003)「舌鼓ところどころ」(中公文庫/100円/にゃん湖堂)

★レティシア書房 夏の一箱古本市は8月20日(土)まで開催中 (最終日は18時まで。)

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回は、コミックをまとめてご紹介。

昭和58年、コミック雑誌デュオ別冊で出た「大島弓子の世界」。カセットテープのインデックスやらミニトランプなどのオマケまで付いています。大島があれば、萩尾望都もあります。小学館文庫3冊セットの「ポーの一族」、同じく文庫で「イグアナの娘」、「銀の船と青い海」とまだ探せばどこかの箱に隠れているかも。

コミックの目玉は、ますむらひろしの「アンダルシア姫」(全3巻)です。言わずと知れた宮沢賢治の諸作のコミック化で、人気の作家です。スペインのアンダルシアに来た画家青年「時蔵」と、古城に暮らす不思議な力を持つ少女「オリベ姫」の物語です。嫉妬、裏切りなど人間の闇の面に焦点を当てた作品です。

もうひとり、さがみゆきの作品が3冊。え、誰?それ??おそらくご存知の方は少ないはず。「呪われたふたつの顔」、「怪談ふたりお岩さま」、「ミイラ狂女」の三作。極めてマイナーなコミックです。猛暑に、ぴったりのコミックとしていかかでしょうか。

これをコミックと称していいのかどうかは別として、グレゴリ青山「ナマの京都」は笑わせてくれる京都本です。アルバイトに行った料亭で出会う「京いけずの章」は爆笑もん。もちろん、笑わせてくれるだけだなく、「京都における<王将>の存在」というエッセイで、そこそこの値段で持ち帰れる王将が「中華料理のおかず屋さん」として京都に定着したという見解は成る程納得。

中でも、一番そうそう、と笑わせてくれたのは、地元放送局の近畿放送TVで流れていた「もっさいCM」。ここでは「岩田呉服店」、「西村のエイセイボーロ」、「お墓の忠兵衛」、「山田木材経営団地」が取り上げられていますが、そのもっささが逆に強烈な印象を残すコマーシャルでした。地元の方なら知ってますよね、「そいつぁ岩田だよ、 そいつぁ岩田だよ〜」というあの呉服店ソング。

        

★本日の紹介本一覧 (「書名」/出版社/価格/出品店)

「大島弓子の世界」(朝日ソノラマ/1200円/古書柳)「イグアナの夜」(小学館文庫/400円/らむだ書店)  「ポーの一族」(小学館文庫/500円/ヴィオラ書房) 「銀の船と青い海』(河出文庫/400円/Think) 「アンダルシア姫」(学研/1600円/徒然舎) 「呪われたふたつの顔」(ひばり書房/400円/ちのり文庫) 「ナマの京都」(メディアファクトリー/500円/ヒトノホン)

 

★レティシア書房 夏の一箱古本市は8月20日(土)まで開催中 

 

(最終日は18時まで。15日(月)は定休日。)

 

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一時、ユニークな絵本を出版していたパロル舎。朔太郎の「猫町」とか、百閒の「冥土」は今でも当店人気の本です。今回の古書市にも一冊だけ出ていました。夏目漱石の「夢十夜」です。漱石の文章に金井田英津子が絵を描いた不思議な幻想世界が味わえる一冊です。

書評関係の本は、毎回沢山出ていますが、「奄美、沖縄本の旅」はレアな一冊です。「南島本、とっておきの七十冊」というサブタイトルの通り、奄美を中心に、沖縄・トカラ列島関連の小説・ノンフィクションがズラリ並んでいます。一色次郎「青幻記」とか、島尾伸三「月の家族」などポピュラーなものから、「奄美独立革命論」とか「漂う島とまる水」とかなにやらタイトルだけで面白そうな本の数々です。

自由奔放なスタイルで、地味ながらファンが多い後藤明生。「挟み撃ち」あたりが代表作ですが、ユニークな一作「汝の隣人」も出品されています。失った外套を求めて彷徨う男の徒労の一日を入念に描き込んだ「挟み撃ち」に対して、こちらは短篇集です。「九月のある夜更けGがKの短篇小説を読んでいると」で始まるこの本の主人公の名はG、登場する人物もすべてイニシャル表記で進行するという文体です。

本日最後にご紹介するのは、瞳みのる「ザ・タイガース花の首飾り」です。沢田研二を擁して一世を風靡したグループサウンズの代表格ザ・タイガース。そのバンドのドラマーだった著者が書いたザ・タイガース一代記。

「1963年、高橋克実(加橋かつみ)とは、たしか彼が高校1年、僕が高校3年の春、京都の山城高校定時制の食堂で初めて出会った。」

スパイダーズ、ブルーコメッツ、ワイルドワンズ等多くの優れたバンドがありましたが、グループサウンズという響きにこの上もなくぴったりなのが、ザ・タイガースでしょう。

本の最後に、名曲「花の首飾り」のカバーがズラリと並んでいますが、こんなに多くの歌手に歌われていたことは知りませんでした。

★本日の紹介本一覧 (「書名」/出版社/価格/出品店)

「夢十夜」(バロル舎/1100円/1003)「奄美、沖縄本の旅」(南方新社/600円/ヒトノホン)「汝の隣人」(河出書房新社/2000円/古書柳)「ザ・タイガース花の首飾り」(小学館/700円/原子心母) 

 

★レティシア書房 夏の一箱古本市は8月20日(土)まで開催中 

 

(最終日は18時まで。15日(月)は定休日。)

 

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「こどもと こどもは せんそうしない けんかは するけど せんそうはしない」

という極めて全うな詩句で構成された谷川俊太郎(詩)、江頭路子(絵)による「せんそうしない」は、読んでおきたい、そして誰かにプレゼントしたい絵本です。

海辺で楽しく遊ぶこどもたちに「せんそうするのは おとなと おとな じぶんの くにを まもる ため じぶんの こども まもる ため でも せんそうすれば ころされる てきの こどもが ころされる 」という言葉が心にジンと響きます。

こどもを主人公にした絵本をもう一点。中山千夏(文)、和田誠(絵)の「どんなかんじかなあ」。登場するのは、耳が聞えない、目が見えない、歩けないといった障害を持つ子供と、阪神淡路大震災で親を亡くした子供。そんな風に書くと、なんかつらそうな感じですが、これメチャ明るい絵本。和田誠の色彩がお見事としか言いようがありません。

酒井駒子ファンの方なら、川上弘美のファンタジー「七夜物語」(上)(下)はいかがでしょう。ハードカバー版には、裏表紙、目次のページにまで、多くの絵が散りばめられています。定価で買えば4000円ほどするところですが、1700円と半額以下に。このチャンスをお見逃しなく。

児童文学作家、阿部夏丸の「オグリの子」。これは泣けてきますね。競馬界屈指の名馬オグリキャップの子供オグリダービーと、その疾走する姿に引込まれる3人の少年たちを描いた小説です。少年が、初めてオグリの姿に感動して、騎手に名前を聞くところの描写は、極めて映画的です。馬と少年の交流話はよくありますが、これも名作と呼んでいいと思います。

もう一点、絵本を紹介します。手塚治の「もえよドラゴン」。こんな絵本も書いていたんですね。短篇を集めた一冊ですが、このお姫様のために獅子奮迅の活躍をする龍が面白い。手塚らしいダイナミックな動きのある絵が楽しめます。

★本日の紹介本一覧(書名/出版社/価格/出品店)

「せんそうしない」(講談社/700円/おひさまゆうびんしゃ)

「どんなかんじかなあ」(自由国民社/300円/おひさまゆうびんしゃ)

「七夜物語」(朝日新聞/1700円/原子心母)「オグリの子」(ブロンズ新社/300円/Mt.Book)「もえよドラゴン」(河出書房新社/300円/マヤルカ古書店)

 

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(最終日は18時まで。15日(月)は定休日。)

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今日から、下鴨古本市です。

下鴨神社に朝一番に行くと、知り合いの本屋さんやら、当店のお客様に出会いました。猛烈に暑いという感じでもなく、本選びにはなかなか良い環境でした。神戸から「トンカ書店」さんが初参加されているのでご挨拶をしてきました。開催中のレティシア書房の古本市にも、例年通り参加していただいております。

 

さて、本日紹介するのは酒造メーカーのサントリーが販売している小冊子「Whisky Voice」です。2010年発行の39号(表紙は柳原良平)、14年発行の49号、そして15年発行の52号の三冊があります。お酒の本ですが、どれもエッセイが素晴らしい!49号では川本三郎が「ボトルキープは大正時代からあった」というタイトルで書いています。そして、52号では「バーのレコード」という企画もあり、音楽ファンにも読んでもらいたい冊子です(この特集だけでブログの記事が書けそう・・・)

化粧品メーカー資生堂が出していた「花椿」の元編集長が25年間通い詰めたパリコレから選んだデザイナー25人についた書いた平山景子「パリコレ51人」。ファッションの本質に迫ってゆく一冊です。この本、ネットでは8000円近い価格で推移しています。(もちろん当店ではそんな価格では出ていません。)「花椿」も数冊ですが出品されています。こちらは各150円です。

女性翻訳者の人気者、岸本佐知子の最近の二作、「なんらかの事情」、「ねにもつタイプ」がどちらもハードカバーであります。クラフト・エヴィング商會の素敵な装幀、イラストを楽しむなら、こちらの単行本サイズで持っておきたいものです。「なんらかの事情」にある「ダース考」は、よくもこんな事考えるなぁ〜と感心します。映画「スターウォーズ」の悪役ダースベーダは夜、自室に戻って眠るのだろうかとあれこれ考えた内容ですが、思わず吹き出します。変な人です、岸本さんて。

 

ところで、今日行った下鴨古本市「トンカ書店」(写真右下)で、あがた森魚・大瀧詠一の「僕は天使じゃないよ」と、沖縄のシンガー大島克己の「東ぬ渡」のCDを2枚買いました。この大きな古本市にはCD、DVDも出ていて、しかも安い。音楽ファンもお見逃しなく。(古本市は16日まで)

★本日の紹介本一覧(書名/出版社/価格/出品店)

「Whisky Voice」(サントリー/350円/1003)「パリコレ51人」(ギャップ出版/3000円/きれいちゃん書林)「なんらかの事情」(筑摩書房/800円/1003)「ねにもつタイプ」(筑摩書房/750円/1003) 

 

 

★レティシア書房 夏の一箱古本市

8月9日(火)〜8月20日(土) (最終日は18時まで。15日(月)は定休日。)

★レティシア書房 夏休みのお知らせ 8月21(日)〜25(木)