えらくタイトルの長い雑誌ですが、北海道の自然を様々な角度から捉えた「ファウラ」のバックナンバーが数十冊入ってきました。2004年から10年にかけて出版されたもので、今は絶版状態です。毎号特集が魅力的なので、少しご紹介します。

北海道を代表する動植物の各号の特集は、「エゾモモンガ」、「エゾナキウサギ」、「オオワシ・オジロワシ」、「タンチョウ」、「エゾリス」とけっこう揃っています。知床羅臼にて撮影された鷲の勇姿、堂々たる飛翔姿は王者の風格です。しかし、この雑誌は、単にその姿を捉えているだけでなく、彼らの現状、例えば風力発電用風車に巻き込まれる事例や、鉛弾薬中毒死問題も取り上げ、その環境の危うさに言及しています。

エリアの特集号としては、「奥尻島へ行こう!」、「北の”二つ島”礼文・利尻」、「知床」、「洞爺湖・有株山」、「北海道の『冨士』」、「渓流、渓谷」、「摩周・屈斜路」など、魅力的な地域が並んでいますが、観光案内でないことは言うまでもありません。

思わず読んでしまったのが「ブラキストン線」の特集号です。1880年、函館で貿易商を営んでいたトーマス・W・ブラキストンが、津軽海峡の北と南では動物相が変化していることを提唱しました。後に、この海峡が動物分布境界になっていることが判明、ブラキストン線と命名されました。その境界線のあちらとこちら側を写真と文章で見つめています。へぇ〜、そんなもんがあったのか………です。

お気に入りの写真は「北国の冬を生きる」という号で、オジロワシが、絶命した子鹿の死体に食らいついている作品です。子鹿が正面から撮影されていて、まさに絶命した子鹿の表情が明確です。ワシは鹿の肉を喰らうことで、自らの命を保っているという、命の連鎖をはっきり表現しています。

こんな風に、どのページも見所満載も雑誌です。ネットでは、一部数千円で取引されているものもありますが、良心的?レティシア書房では、オール500円です。

 

 

 

 

★★カナダ在住で、ドールシープを撮影されている写真家、上村知さんの写真展を11月1日(火)〜13日(日)まで開催します。5日(土)夜に、上村さんによるスライドショー 「極北 カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」(7時より)を予定しております(要・予約 レティシア書房までお願いします)

10月28日(金)『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、満席になりました。

尚、「安藤塾」は、10月29日(土)19時より「町家ギャラリー龍」にて開催します。こちらの方は、参加者募集中です。お問い合わせは直接 「町家ギャラリー龍」(075−555−5615)まで。

クリント・イーストウッド監督「ハドソン川の奇跡」見てまいりました。お見事の一言につきる映画です。ごちそうさまでした!

まだ記憶に新しいNY で起きた飛行機事故。離陸直後に、鳥がエンジンに突っ込み、操縦不能になった旅客機を、機長がハドソン川に着水させ、乗員乗客全て無事救助された、あの実話が題材です。

あぁ〜パニック映画によくある感動ものか、という予想は裏切られます。こういう映画に必ず登場するのが、美人スッチーと不倫に悩む機長とか、会社が傾いて生きる意欲を失くしたビジネスマンとか、再起をかけるアスリートとか、その夫に付いてゆく健気な妻とか、重い病ですぐに病院に入院しなければ死んでしまう少女とか、とか……..。

しかし、そういった人達のストーリーは、全くなし。機長が着水を決定、実行に移すまでの208秒をひたすら検証して、91分の映像に描いています。この機長がマスコミで英雄扱いを受けたり、反対に査問委員会で彼の決断が間違いだ、と糾弾される姿を中心にして、まるでドキュメンタリー映画のように事故を再現していきます。主演のトム・ハンクスも、イーストウッドの演出意図を十分に汲み取って、淡々と全うに仕事を続ける男を演じています。

昨今のおバカなハリウッドなら、エピソード一杯詰め込んで、CGいっぱいはめこんで、ついでに大層なテーマソングを歌い上げ、無理矢理”泣かせる”大味な映画に仕上げるのでしょうが、アメリカ映画の良心が身に染み込んでいるイーストウッドは、もちろんそんな事はしません。無駄なものすべて除いて、ストイックに映像を組み立ててゆく映画手法に引込まれました。ラストの副操縦士のユーモア溢れる切り返しなんて、「お後がよろしいようで」と、拍手と共に幕が下りる感じ。

「映画作家」ではなく「映画職人」として、まだまだやるで、という心意気を見せてくれる作品でした。

 

 

 

 

★毎年恒例になりました『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、10月28日(金)7時30分より開催が決定しました。(要・予約 レティシア書房までお願いします) 

★★カナダ在住で、ドールシープを撮影されている写真家、上村知さんの写真展を11月1日(火)〜13日(日)まで開催します。5日(土)夜に、上村さんによるスライドショー 「極北 カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」(7時より)を予定しております(要・予約 同じくレティシア書房までお願いします)

 

石田千の「月と菓子パン」(晶文社650円)、「屋上がえり」(筑摩書房700円)を読んだ時、著者の文章の”良い加減”なリズム感が心地よく、エッセイ界に新しい人が出現したなと、その後も注目していました。

彼女の初の小説集「あめりかむら」(新潮社700円)を読んでみました。芥川賞候補となった本作は、さらっと街の情景を描く彼女にしては、”濃い”お話でした。

ガンの手術から5年。再発に怯える女性が主人公です。この女性と、大学時代からすべてを卒なくこなし、陽の当たる道を歩んできた戸田君との関係が描かれていきます。何事も上手く行かない彼女と、人生をスキップで駆け抜けてゆく戸田くん。軽蔑の対象でしかない彼。しかし、大きく事態は変わります。突然の戸田君の自殺。えっ、何それ? 何でお前が死ぬの?? バカかお前は……..。

しかし、情緒不安定の彼女の脳裏に戸田君の残像が消えません。なんで、あんなヤツの顔が…..。ここから、彼女の行き場のない迷走が始まります。仕事で京都に来ていた彼女は、何故か買ったお土産を「四条大橋のまんなかで、ぜんぶ川に放り投げてやろうか。混雑する橋をにらんだ。そのとき、大阪へ京阪特急。」。そして突然、大阪へ向かいます。そこに個性的なおばちゃん、おっちゃん、アダルトショップのお客さんたちが登場してきます。

「戸田君。大阪はね、たくさんのひとが肉を喰らい、骨をしゃぶり生きているよ。」

という言葉で小説は幕を下ろします。あれほど嫌っていた戸田君、彼の死、そして彼女自身の心の葛藤に整理をつけた姿をチラリと覗かせた印象的なエンディングです。

この小説集には、第1回古本屋大賞を受賞した「大踏切書店のこと」も収録されています。じいちゃん、ばあちゃんだらけの街にある古本屋兼飲み屋を巡るハートウォ−ミングなお話で、この作家らしい”良い加減”な世界に満ちた短篇です。いいなぁ、この街。

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レティシア書房では、ほぼ毎年、動物保護団体ARKの犬や猫たちの写真展を開催しています。ARKの宣伝のためにボランティアで写真を撮り続けておられるのがプロカメラマン原田京子さん。犬猫たちの表情が素晴らしいので、彼女のARK以外の作品を、ぜひにとお願いしていたところ、やっと実現しました。

「Spanish Sentiment 」と題して、スペインのアンダルシアの風景と、そこで生きる人々の表情を捉えた作品が十数点並びました。DMに使われている老人と散歩に連れて来た愛犬を捉えた作品(写真左)を中央に据えました。老人と、飼主を見上げる愛犬の姿の優しさ、愛おしさ、そして背後に広がる大空と、そこに湧き出る白い雲。色調は、人生の黄昏を暗示するようで哀切に満ちています。

原田さんの動物好きがわかるような、犬だけが被写体になっている作品もあります。暮れなずむ夕陽の前に立ち尽くす一匹の犬。広がる美しい空の色。自然の大きな営みと、今生きている命が、一つの画面に溶け合います。

原田さんは「フィルムで撮った写真は、焼いて行くうちに深さを増し、もう二度とおなじものはできない。」と言います。

遥か彼方にまで続く空の微妙なコントラスト、古い建物のもつ情緒、レストランのざわめき、じっと前をみつめる少女の眼差し、広場の噴水の前の男たちの背中、息づかい。デジタル全盛の中、フィルムで撮られたスペインの柔らかで哀愁に満ちた写真を多くの方にご覧頂きたいと願っています。(女房)

なお、それぞれの作品は、デジタルでプリントアウトしてお届け出来ます。(30000円〜送料別)

 

★毎年恒例になりました『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、10月28日(金)7時30分より開催が決定しました。(要・予約 レティシア書房までお願いします) 

★★カナダ在住で、ドールシープを撮影されている写真家、上村知さんの写真展を11月1日(火)〜13日(日)まで開催します。5日(土)夜に、上村さんによるスライドショー 「極北 カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」(7時より)を予定しております(要・予約 同じくレティシア書房までお願いします)

 

 

 

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マガジンハウスが出している月刊誌「Ku:nel」(クウネル)のバックナンバーが、30冊程入荷しました。2004年11月発行の10号から、2014年3月発行の66号まで、全て揃っているわけではないですが、綺麗な状態です。(各300円)

一応女性向けの暮しの本ですが、新刊書店員時代、必ず読んでいました。その濃い内容の一部を紹介します。

10号には日本の動物イラストレーションの先駆者、薮内正幸の60年の軌跡が紹介されています。15歳の時に作ったという「鷲鷹科の種類」の私家版を初めて拝見しました。描いた絵は1万点以上。多くの絵本に使われています。収集されている方もおられます。

46号では、「大切な本はありますか」という特集で、何人かの方の大切な本が紹介されています。エッセイスト宮脇彩さんは、73年アメリカで出版されたマーナ・ディヴィス著、伊丹十三翻訳の「ポテトブックス」を紹介していました。「アメリカからやってきた料理の本であります」という伊丹らしい文章で始まる料理本です。この本の序文は、あのトルーマン・カポーティだったんですね。

と、こんな具合に紹介していけばきりがありませんが、もう一つ。月刊誌のカルチャーコーナーには、必ず書籍、音楽、映画が取り上げられていますが、この雑誌のコーナーはとても充実しています。手当たり次第に本を紹介するのではなく、一人の作家が、毎回紹介され、インタビュー記事をメインに構成されていて、この部分だけ切り取ってファイリングしておくと、面白いものになりそうです。音楽もしかり。基本的にミュージシャンがセレクトするのですが、渋いラインナップとなっています。映画に至っては、毎回毎回、著名な方が担当しています。例えば、44号では、酒井駒子が「ちいさな主役は、ひとりぼっちでよるべない」というテーマで映画を選んでいます。カルチャー欄充実ですね。

「ストーリーのあるモノと暮し」が雑誌のコンセプトで、お金をかけてモノに囲まれて、というスタンスの全くない誌面作りが、新しい豊かさを作り出そうとしています。

ところで、児童文学者石井桃子の有名な「山のトムさん」の1957年発行の初版の装幀を、雑誌の中に見つけました。本好きならではの、こんな探す楽しみも満載です。

 

 

 

 

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  (要・予約 同じくレティシア書房までお願いします)

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映画館で観たいと思っていた「バクマン」を、ブルーレイで見ることができました。これ、「少年ジャンプ」(実名で登場)を舞台に、高校生漫画家二人の奮闘を描いた青春映画です。漫画雑誌のコンセプトはというと「友情・努力・勝利」と口に出すだけで赤面するのですが、監督の大根仁は、だからどうした!と開き直って、前向き根性努力ものに邁進。その態度良し、拍手です。

で、こういう漫画家の映画だと、机に向かって必死に書いているシーンばかりの退屈な映像につき合わされることになるのですが、そこは違います。一コマ、一コマの漫画が動きだし、走り出します。圧巻はライバル漫画家とバトルするシーン。ペンを槍みたいに構えて大立ち回り。お互いのコミックのワンカットが、手裏剣よろしく飛んでいくというCG効果も満点です。そして、もう一つ重要なのが、ペンの音です。おそらく、かなり試行錯誤した結果でしょう、ペンが走る音が、まるで彼らの青春の疾走を表現するごとく響き渡るのです。この音、映画館で聞いてみたかったですね。

漫画の映画化って、イージーな企画だと批判されますが、文学の映画化と違って、新しい表現方法、あるいは全く違う視点に立つドラマが作りやすいのかもしれません。良い例が、西原理恵子です。彼女のコミック、もしくは人生を映画化した、「酔いがさめたらうちに帰ろう」、「毎日かあさん」、「パ−マネント野バラ」、「上京ものがたり」と映画化していますが、どれも優れた作品でした。

愛読している野田サトル「ゴールデンカムイ」(ヤングジャンプコミック)。アイヌ民族の生活を丹念に織り込みながら、展開する明治時代のアクション活劇ですが、これは、大河ドラマにして欲しい。今のNHKにアイヌをメインに置いたドラマを作る根性はないでしょうが……..。

石森章太郎が全編台詞なしのコミック(タイトルは忘れましたが)を発表した頃から、今日まで常に新しい表現を模索してきたジャンルであることは間違いありません。新しい感覚の漫画家を、どんどん店頭に並べていきたいと思っています。

 

 

 

★毎年恒例になりました『ネイチャーガイド安藤誠さんの自然トーク「安藤塾」』は、10月28日(金)7時30分より開催が決定しました。(要・予約 レティシア書房までお願いします) 

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以前にも紹介しましたが、「Spectator」は、年に数回発行される雑誌で、再びバックナンバーが入荷しました。「バック・トゥ・ザ・ランド」(自然に戻ろう)をテーマに掲げていて、

「何の気なしに消費してきた食べ物や電気や水が、どうやって作られているか、それさえ知らなかったことへの反省や、安全な暮しを取り戻そうとする新たな意志があるように思われます。新しい世界のかたちとは?そんなことを考える一旦を担えたら幸いです」と書かれているのを今一度読むと、やはり共感します。

取材の対象も、そのコンセプトに最適な方が登場します。「ぼくは猟師になった」(リトルモア900円)の千松信也へのインタビューは、ボリューム満点で中身も濃い記事です。

「やりたくない仕事をして稼いだ金で石油を買ったりするよりも、自分の時間を使って薪を手に入れたり肉を手に入れるほうが、身体はしんどいかも知れないですけど、やっぱり気持ちは楽です」と語る千松は、理念もないし、自給自足でなくてはならぬという固定観念もありません。「自分にとって楽なほうへ進んでいったら結果としてこうなった」と語っています。

もう一人、当店で人気の作家、内澤旬子も登場します。三匹の豚を飼って、最後に屠殺し、肉を食べるまでのルポルタージュ、「飼い喰い」(岩波書店1400円)の面白さは類を見ない一冊でした。元々は、世界の屠殺現場を訪ね歩く「世界屠殺紀行」(角川文庫600円)や、有名作家の書斎を紹介する「センセイの書斎」(河出文庫500円)、おやじの生態を見事に捉えた希有な一冊「おやじがき」(河出文庫300円)等のイラストルポライターです。

38歳の時、乳がんを宣告され、その後の身体の変化を描いた「身体のいいなり」(朝日新聞出版400円)で、様々な苦しみの中から、これは「意志と身体との戦いだった」と表現しています。

「今まであまりにも身体を無視して、意志だけで生きてきた結果、身体を怒らせてしまった」

だからこそ「身体のいいなり」になるのだと。

ガン告知され、闘病生活を経て、豚を飼うに至る人生についてたっぷりと読めます。

 

 

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★★カナダ在住で、ドールシープを撮影されている写真家、上村知さんの写真展を11月1日(火)〜13日(日)まで開催します。5日(土)夜に、上村さんによるスライドショー 「極北 カナダ・ユーコン&アラスカの旅と暮し」(7時より)を予定しております

  (要・予約 同じくレティシア書房までお願いします)

60年代末、そのナンセンスな歌詞で物議を醸しだし、一世を風靡した「帰って来たヨッパライ」という曲を巡って、湯浅学はこう書いています。

「世の中は舐めるためにもある。ということを1960年代の大人はいろいろと子供に教えてくれていたと、当時まるっきり小学生だった俺が大人になってからつくづく思った。」

この文章に接して以来、彼の音楽評論には一目置いてきました。その彼の批評集「音楽が降りてくる」(河出書房新社1900円)の中身をぺらぺら捲っていると、「クレージーキャッツ」の、名トロンボーン奏者にしてコメディアン、谷啓について書いてありました。

谷啓のお葬式、式は進むのですが、何故かざわつく葬儀場。やがて、出棺…..と、その時、献花の花の山を突き破ってトロンボーン片手に飛び出す谷啓、そして「目をしばたたかせながら一同に向かった谷さん大きく息を胸に留め、何物かを掴むように軽く指を胸の前にゆっくりと押し出すと一声『ガチョーン!』」

こんな葬式だったら、と著者は彼の訃報に接した時に思ったらしい。クレージー世代の貴方ならわかりますね。そう、あの目をしばたたかせながらの決め台詞、目に浮かびます。

「言葉の意味ではなく。音そのものが説得力を持つ。笑いのエネルギーや創造力の素になる。ということを谷さんは長年我々に伝え続けてきた。」

その谷啓を擁した「クレージーキャッツ」の多面的な魅力を紹介した「ジ・オフィシャル・クレージーキャッツ。フラフィテイ」(河出書房社2200円)は、文句なしに面白い一冊です。先ず、本全体のデザインがカッコイイ!。ジャズのアルバム風であったり、マガジンハウスが発行するオシャレ雑誌風であったり、とても60年代の古めかしいコメディアンの懐古本ではありません。こ、こんなにクールでスタイリッシュなバンドだっけ?!と思わずにはいられないエディターの冴え渡るセンスに拍手です。クレージーなんて知らないよ、という世代にも手に取っていただきたい一冊です。こんなにもクリエイティブな、お笑い集団がいたんですよ、この国には。

そして、2枚組CD「クレイジーシングルス」(1800円)も聴いてください。「スーダラ節」に始まり、「ホンダラ行進曲」、「遺憾に存じます」そして「アッと驚く為五郎」まで全42曲。ナンセンス極まりない曲の連続に笑い転げていただきましょう。

私のお気に入りは「ハイ、それまでヨ」。湯浅学氏じゃないけれど、世の中舐めて生きてもいいんじゃないの、と思わせてくれた名曲です。

◉「ジ・オフィシャル・クレージーキャッツ。フラフィテイ」(河出書房社2200円  Sold Out)

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没後20周年「星野道夫の旅」展(京都高島屋10月10日まで)を観てきました。初日だったので、奥様の星野直子さんのギャラリートークも聞くことができました。

彼の本や、写真集で何度も観た作品が数多く展示されていますが、大きく引き延ばされたもので見ると、作品の彼方に広がるアラスカの大自然の微妙な色合いまで、手に取るようです。彼は「アラスカ光と風」の中で、この地をこう語っています。

「アラスカという地は来る者を拒まないかわりに、厳しい自然がその代償を求めてくる。ここでは型にはまった常識は存在せず、だれもがそれぞれのやり方で生きていくだけだ」

星野自身が考え、行動した(シャッターを押した)その瞬間が投影されています。

荒涼たる大地にたった一人で、いつ現れるかもしれないカリブーの群れを、あるいは夜空を舞うオーロラを捉えるまでの長い長い時間、彼は何を考えていたのでしょうか。そんな事を思いながら、作品を観ていました。

「一年に一度、名残惜しく過ぎてゆくもの、この世で何度めぐり合えるのか。その回数をかぞえるほど、人の一生の短さを知ることはないのかもしれません。」

と「旅をする木」で語っています。目前の、カリブー達に、熊たちにもう会うことはないのかもしれない。彼らが生き残る保障もないし、自分自身の人生にも終りがくる、その切なさと、生きていることの愛しさが、シャッターを押し続けさせたのかもしれません。

「短い一生で 心魅かれることに多くは出会わない もし 見つけたら 大切に……..大切に…… 」という文章を残した星野は、彼が心魅かれたアラスカを大切に、最大限にリスペクトを持って接してきました。その結果が、あらゆる生と死が盛り込まれた作品が生まれてきました。

極北の動物たちが、こちらに向ける眼差しをゆっくりと見つめていたいものです。

 

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1990年に自死した北海道出身の作家、佐藤泰志が、最近再評価され、認知されているのは、作品が映画化されて、優れた作品になっているからに違いありません。

2010年「海炭市叙景」が公開され、劇場で観た深い感動が忘れられず、原作に手を出したのは私だけではないはず。88年から連載の始まった原作を熊切和嘉監督が、資金を集めて函館で撮影しました。

「待った。ただひたすら兄の下山を待ち続けた。まるでそれが、わたしの人生の唯一の目的のように。今となっては、そう、いうべきだろう。」で始まる原作の一文は、映画ではエンディングに持ってきているのですが、人々の希望と絶望を北国の冷たい風に託して描ききりました。もうすぐ定年を迎える路面電車運転手、家庭に問題を抱えるプラネタリウム職員等の、男たちの人生の悲哀が見事でした。

続いて、2011年、「そこのみにて光輝く」が呉美穂監督によって映画化されました。私は、これについては原作もまだ読んでなくて、映画も観てないので、なんとも言えません。

そして、今公開中で期待の映画、山下敦弘監督の「オーバーフェンス」。もちろん、観に行きます!佐藤最後の芥川賞候補作品で、作家に挫折しかけた時代に、通っていた職業訓練 学校の体験を元にした作品の映画化です。レビューは、後日このブログに載せる予定です。

さて、佐藤のデビュ−作「移動動物園」は、私の好きな作品で、暑い日々、幼稚園やらデパートの屋上に出張しては、小動物を見せる小さな会社を舞台にした小説です。登場人物は三人の男と女。うだる様な暑さの中、ひたすら動物の世話に明け暮れる姿を描いていて、読んでいると咽喉の渇きが襲ってきます。そして、虚無感がじわじわと浸透してくる気分の悪い小説なのですが、逃れられないんですよね、この世界から。

ぜひ、映画も原作も観て欲しい、希有な作家です。蛇足ながら、この三人の映画監督、皆さん大阪芸術大学出身です。

文庫版「移動動物園」「海炭市叙景」は各400円、「そこのみにて光輝く」は500円にて販売しております。

 

 

 

 

 

 

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