大プロデユーサー永田雅一が指揮していた大映映画(1940年代〜60年代)。市川雷蔵、田宮二郎、勝新太郎、宇津井健等々、ひと癖もふた癖もある男前がずらりと並び、女優陣も京マチ子、山本富士子、若尾文子等々、錚々たる美人が並んでいて、彼らの演じるドラマの世界は、大人の香りに満ちていました。

「いま見ているのが夢なら止めろ、止めて写真に撮れ」(DU BOOKS/古書1900円)は、大映映画のスチール写真を集めた写真集です。写真の監修・構成をしているのは小西康陽。音楽ファンなら「ピチカートファイブ」の小西か、とすぐにお気づきでしょう。

1984年、 「ピチカートファイブ」がデビューした時の盛り上がりは凄いものでした。いわゆる”渋谷系”カルチャーのイノベーターでした。膨大な量の音楽を聞き込んだマニアの小西が、それぞれの曲の持っている良いところを抜き出して、抱き合わせて作る本歌取の手法で、リミックスカルチャーを作り出したのです。その頃私はレコード店の店長だったのですが、彼のセンスの良さに脱帽した記憶があります。上の世代からは、オリジナリティーがないという反発もありましたが、ナンセンスな意見だと当時も今も思っています。

小西は、その一方で部類の映画好きで、名画座を駆け回り、膨大な作品を観て、日活の助監督試験まで受ける映画マニアでした。そんな人物が監修した本だけに、やはりセンスの良さが随所に発揮されています。全240ページにわたる本編部分には、文章は全くありません。スチール写真がズラリと並んでいるのみ。ポイントは、最初にも書いた「大人な大映映画」。田宮二郎って男前で、スタイリッシュな役者だ!と改めて思いました。田宮も市川も、他の役者も白のワイシャツに細いタイとスーツが決まっています。そして、かなり妖艶な映画も連発していたのも本書でわかりました。子供だった私には近寄りがたい存在でした。右の写真は、実家の近くにあった大映映画館でやっていた「不信の時」です。中学生だった私は、通学の度にこのポスターを見たいような、見てはいけないような複雑な気分でいたことを覚えています。

91作品、347点もの写真を卓抜なデザインワークで編集されたこの写真集は、小西のリミックスマインド溢れる手法によって一つの映画作品にまでなっていて、見飽きることがありません。

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