高橋源一郎の本は、考える楽しさをよく教えてくれます。今回読んだ「たのしい知識」(朝日新書/古書700円)も、こういう考え方があったのか、なるほどと納得しながら読みました。

ところがそれを文章にして紹介するとなると、これが骨の折れること。特に難しい言葉や、複雑な構成の文章を頻繁に使っているわけではないのに。一言、読んでみて!といえば良いのですが、それでは店長日誌としてはなんなので、頑張ってみます。

「えっ、これは知らなかったな、ああ、こんな考え方があったのか、びっくり、と思えるもの。そういう本。たのしい本。喜びに満ちた本。そうだ。『教科書』を書いてみよう。」

というのが、この本の趣旨です。日本国憲法について論じた「ぼくらの天皇(憲法)」、韓国について書かれた「女の隣人」、そして、コロナに苦慮する今を論じた「コロナの時代」という三つの章に分かれています。

高橋は日本国憲法について語るとき、先ず最初にしたのが、他国の憲法を読むことでした。各国の憲法についての比較検証が面白い。各国の理念を、わかりやすく解説してくれます。そして、驚くべきことを言います。

「あなたたちがなんとなくそうだと思っている憲法は、ほんとうの『憲法』じゃないし、あなたたちがなんとなくそう思っている国は、『国』じゃない」

え?なんで? それは本書をお読みください。わかります。

「何かを学ぶ、というとき、いちばん大切なのは、こういうこと、つまり、『なんとなくそう思っていることは、ほんとうはちがう』ってことに気づくことじゃないかと思う。」と続けています。

そのあと、天皇の存在へと話は向かいます。2016年に天皇自らが述べられた「おことば」について、こう書いています。

「ぼくはこう思った。天皇より真剣に、憲法を読んでいる人間はこの世にいないんじゃないだろうかなって。だって、自分の役割を書いてある文章があって、それが、この国の『原理』にあたる文書の中にあるっていうんだ。どんな気持ちなんだろう。ぼくなら、グレるかもしれない。」

こんな風に、様々なことを深く考えてさせてくれます。最後まで、頭を回転させて、なるほど、なるほどと考えながら、楽しく読み終わりました。