イスラム研究者の内藤正典とイスラム法学者の中田考が、イスラムについて語った「イスラムが効く!」(ミシマ社1728円)を、時に笑ったり、時に成る程と頷いたりしつつ読みました。これ、大上段構えて、イスラムとその世界を論じたものではありません。こういう考え方もありか、と思って読んでいると不思議に心落ち着きます。

著者の内藤正典が、同社から出版した「となりのイスラム」(ミシマ社1728円)も以前ご紹介しましたが、さらに分かりやすくイスラム教と、その信者の人たちの生活を語りながら、窮屈で八方塞がりの日本社会でなんとか生きている私たちに、発想を変えてみませんかと教えてくれます。

「マー・シャー・アッラー」

これは、「アッラーが望みたもうたこと」という意味だそうです。

「悪いことがあっても、『それはきっと次に起こる良いことのためになるのだ』という考えなんです。

悪いことがあると、私たちは、こうしなかったからだ、ああしなかったからだと反省しがちです。しかし、イスラム教では、神様が次に良い事を望み、それを自分で発見することがげきる前触れなのだ、だから良いことなんだという、ノーテンキながら、そう信じていればラクになってくる考え方です。」

ところで、ムスリムはうつ病気になりにくいらしいです。え?そうなん?と思いますが、物事の結果責任が自分に返ってこないように出来上がっていることを考えると、納得できます。あ、それ、神様が決めたんで私の責任じゃありませんよ、と考えるのが当たり前ならそうかもしれません。日本社会はストレスを軽減するための知恵を生み出すことが下手だ、という指摘に著者の内藤はこう続けています。

「ものごとの結果責任が怒涛のように本人に押し寄せてくるんじゃ、生きているのもつらい。イスラームがもっているストレス軽減の知恵、言い換えれば『癒しの知恵』に学ぶべきところがたくさんあると思っています。」

イスラームの教えの基本は「人の言うことを気にしなくてもいい」です。神様がそれで良しなら、もうそれで完結です。神様に従っているから、あかの他人がどう言おうと関係ねぇ、もうこれだけです。そしてイスラム教には聖職者は存在しません。

「神様になり代わって、『あなたの罪は赦された』みたいなことを言う人がいない。カトリックでは司教さんの前で「懺悔』をすると言いますよね。ところがそれがない」

信者と神様だけのストレートな関係しか存在しないので、他人がなんと言おうとどうでもいいようになっているのです。このへんの考え方を読むだけでも、なんか心が楽になってきそうです。この本は、イスラムってこんなに楽チンですよ、と伝えてくれます。だからと言って、イスラムに改宗するとか、入信するとかそんなことを進めるトンマな本でもありません。

世界に3人に1人がイスラム教徒になるご時世、隣のイスラム系の人たちにラクに生きてゆく方法を聞く日って、そんなに遠くではないと思います。

さて、レティシア書房は開店から丸7年を迎えました。7年前の今日、前日からの雨が上がりとっても暖かな良いお天気でしたが、お客様は来て下さるのだろうかと不安を胸にシャッターを開けたことを覚えています。これまで支えて下さった皆様に改めてお礼を申し上げます。毎日のブログもこれからも頑張りますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。