以前、町田尚子さんの「ネコヅメのよる」(WAVE出版/古書1150円)発行記念の原画展を、していただいたことがありました。待望の町田さんの新作「ねこはるすばん」(ほるぷ出版/新刊1650円)が入荷しました。

相変わらず、ふてぶてしい面構えのねこが主人公です。飼い主が出かけた後、留守番をするのですが、大人しくじっとしているわけはない!ということで、物語は始まります。

洋服タンスの中を通り抜けて、ネコだけの世界へとトリップします。お茶したり、本屋に立ち寄ったり、散髪屋で毛を整えて、映画館で映画を見て、寿司屋に入って、「ちゅうトロさび抜きでね」などと注文するのです。帰りには腹ごなしにバッティングセンターに出向き、「カッキーン」と大きな当たりをかっ飛ばす。そして疲れた体を休めるために、銭湯でリラックス。

「さて、そろそろかえるとするか」と、またタンスの奥からこの世へ戻っていきます。ご主人が帰宅すると、何事もなかったような顔でお出迎え。ねこを飼っている人なら、ありそうな話だと納得されると思います。おしぼり片手に、ちゅうトロを注文する表情や、バットを思い切りスウィングする仕草など何度見ても、笑ってしまいます。

町田さんは、人間のことをなめてかかっている面白い猫の話を描く一方で、「なまえのないねこ」(小峰書店/新刊1650円)では、とても切ない物語を描いています。また、世界名作絵本シリーズ「ひきだしのなかの名作」のなかのアンデルセンの「マッチうりのしょうじょ」(フレーベル館/新刊1380円)も担当、彼女らしいタッチで、悲しい物語を美しく仕上げています。