京都御所の南西、梅林の中に立つ大きな榎の木は、見事な枝ぶりです。

これが、くさはらさんの絵本「おおきなきと であったら」(福音館書店・ちいさなかがくのとも/427円)の主人公。広く張った根は、まるで生き物のようで、初めてこの木と出会った女の子はぐるっと周り、枝を見上げて、その豊かさに感激するのです。

巨木の堂々とした絵は、小さな草花を描いてきた画家くさはらさん自身が目にした感激をそのまま写しとっているよう。色鉛筆を塗り重ねて、丁寧に描かれる木肌の表情、高い枝葉。一度でも、木のスケッチをしたことのある人なら、枝の複雑な形や葉っぱに四苦八苦したことを覚えていらっしゃると思います。何度も何度も通って、時間をかけて描きこまれた労作です。特にこだわって作ってきたという深い緑色の美しさ。個展のタイトル「緑と歩こう」に込められた思いです。

2019年12月、当ギャラリーで開催したあかしのぶこさんの絵本の原画展にくさはらさんが来廊された折、この絵本のことを知りました。

京都御所は、私の毎朝の散歩コース。地元で原画展をぜひ開きたいと思い、今年実現しました。
福音館書店の絵本シリーズの先輩であるあかしさんと、くさはらさんの出会いが、ご縁を繋いでくれました。

くさはらかなさんは、兵庫県生まれ。京都精華大学芸術部造形学科日本画分野卒業。今回の個展では、やはり色鉛筆の繊細なタッチで、新作絵本「ふゆのぺたんこぐさ」(福音館書店・ちいさなかがくのとも/440円)の原画も並びました。

こちらは、地面に張り付いたように咲くロゼット(地面に放射線状に葉を広げる植物)たちが主人公です。冬の間、ぺたんこになって春を待つ植物を1年かけて探して、そしてスケッチ、作画と3年かけて作られた絵本です。温かな土の色合い、見落としてしまいそうな草花の佇まいに、作者の自然に対する愛情を感じます。

二冊の絵本と、小さな手作り絵本「だれのあたま?」(1100円)も販売しています。他に、美しい草花のポストカード(165円)が10種類ありますので手にとってみてください。

蒸し暑い日が続きますが、くさはらさんの「大きな木」に会いに来てください。お帰りには、ぜひ京都御所へ。歩いて10分ほどです。(女房)

✳️くさはらかな「緑と歩こう」は6月23日(水)〜7月4日(日)

 13:00〜19:00  月火定休日