モロッコの山奥で暮らすアマジグ族の姉妹ハディージャとファーティマを見つめたドキュメンタリー映画「ハウス・イン・ザ・フィールズ」(京都アップリンクにて上映中)を観ました。

アトラス山脈の雄大な自然のもとで暮らすアマジグ族。伝統を重視して、その大自然の恩恵を受けて暮らし、数百年もの間、ほとんど変化のない生活を送っています。そこに暮らす姉妹。妹のハディージャは、頭脳明晰で学校でも優秀な成績で、将来弁護士を目指しています。しかし、姉のファーティマは学校を辞めて結婚することが決まります。ファーティマは19歳。もちろん、結婚相手のことを何も知りません。「結婚するのが怖い、けれど義務だから。」

この地ではまだ、自分で将来を決めることも出来ない状況が起こりうるのです。映画は、この地の美しい自然を描きつつ、大好きな姉とやがて離れ離れになってしまう妹の不安と寂しさを丁寧に捉えていきます。

ドキュメンタリー映画として、村の四季折々と、シンプルな生活の姿を記録しながら、その一方で、女性として自由を束縛されている姿を描いていきます。

圧巻は、ラストの結婚の祝いの儀式でした。夜のとばりの中、打楽器の音と村人たちの地を這うような声が大空に響き渡り、圧倒的リズムの繰り返しに段々とこちらも感情が高ぶってきます。

しかし、そんな宴の最中でも、笑顔ひとつ見せない花嫁ファーティマ。宴の終焉、顔をおおい隠すような布を被せられて馬に乗って出ていきます。夜が明け、姉が出て行った道を見つめるハディージャの後ろ姿を捉え、去った後もその場をしばらく見つめるカメラ。そこで映画は終わります。

監督をしたのはタラ・ハディト。映画監督だけでなく、写真家としても活躍しています。新国立競技場の斬新なデザインで、日本でも話題になった建築家のザハ・ハディトは叔母になるそうです。