タイ発の映画「バッド・ジーニアス危険な天才たち」は、評判を聞いていましたが見逃していて、外出を控えた正月休みのDVD三昧でやっと見ることができました。開いた口が塞がらない、というか、カンニングをテーマに、それだけでサスペンス映画を作ってしまったのです。しかも、スタイリッシュでスピーディ。劇場で払ったお金分だけは、きっちり楽しんでもらいますという映画職人魂のこもった作品でした。

中国で実際に起こったカンニング事件をモチーフに製作されました。小学校中学校と優秀な成績で、進学校に特待奨学生として転入を果たした女子高生リン。テストの最中に友人のグレースをある方法で手助けしました。リンの噂を耳にしたグレースの彼氏で、金持ちの御曹司パットは、リンにカンニングのビジネスを持ちかけます。すごいテクニックで、学生たち(リンの顧客)は試験で好成績をあげ、リンの収入は増加していきます。そして、アメリカの大学に留学するため世界各国で行われる大学統一入試「STIC」攻略へと挑戦していきます。

試験がマークシート方式なので、これまでのカンニングビジネスは比較的うまくいったのですが、「STIC」は難題でした。この試験を受ける受験生を合格させてやれば、大金が転がり込みます。もう、ここまでくると大人顔負けの技術と方法を駆使していきます。

39才の監督ナタウッド・プーンピリヤは、アジア各国のヒートアップする受験戦争と格差社会を底辺に置きながら、極めて洗練されたエンタメ映画を作り上げました、最初のシーンから観客は騙され、とんでもない方向へ持ってゆくテクニックに乗せられてしまいます。

ラストは見てのお楽しみですが、 こうくるか、という見事な結末です。リンを演じた美しいチュティモン・ジョンジャールスックジンのラストの視線が清々しい。