ドキュメンタリー映画「ブックセラーズ」を観ました。世界最大規模と言われるNYブックフェアを裏側から覗き、古書業界では名前を知られたディラー、書店主、コレクターなどへのインタビューを通して、奥深い古書の世界を案内してくれる90分間です。

史上最高額で競り落とされたダ・ヴィンチや、ボルヘスの手稿、「不思議の国のアリス」のオリジナル原稿など、とんでもない稀少本もチラリと登場してきます。

ちょっと、フィルム止めて!と思った瞬間がありました。マンモスの標本付きの探検記やら、18世紀後半の化石の魚類の研究書をコレクションするデイブ・バーグマンの書架に、メルヴィルの「白鯨」がチラリと見えたような気がするのですが、もしかして限定特装版なのか、ゆっくり観たかったですね。

この古書の世界も、ご多聞にもれず男性が大半を占めていたのですが、女性のコレクターの中の一人、キャロライン・シンメルは、重要とされている女性作家の膨大なコレクションを持っています。また、1925年にNYに開店した「アーゴシー書店」を営む三姉妹は、NYの書店の変遷を語っていきます。この書店も登場しますが、ぜひ訪れてみたい雰囲気がありました。

映画の進行役とも言える作家、映画評論家のフラン・レボウイッツ(写真左)の辛口評論も面白く、ラストエンドロールの後、「私ね、D・ボウイが必ず返すからと言って借りていった本を、結局返さなかったわ。」とサラリと言い切りますので、ここまで席をお立ちにならないように。

映画のHPには、多くの方がコメントを寄せていますが、書店「title」の辻山店主や、先日当ブログで紹介した「BOOKNERD」の早坂大輔オーナーが文章を寄せています。私のイチオシ「夢見る帝国図書館」(古書1550円)を書いた中島京子が「ニューヨークに旅行して古本屋めぐりをしている幸福感を味わえる、本への愛に満ちた映画!」と紹介しますが、その通りです。

蛇足ながら、フラン・レボウイッツはマーティン・スコセッシの新作ドキュメンタリ「都市を歩くように フラン・レボウイッツの視点」でも辛口のユーモアと皮肉で大人気だとか。これも観てみたいものです。