90分1カット。つまり映画が始まって、エンドマークが出るまでカメラは回り続け、画面が切れない。「ボイリングポイント/沸騰」(京都アップリンクにて上映中)は、クリスマス前の金曜日、最も忙しい日の人気高級レストランのとんでもない一夜を描いた映画です。ロンドンに実在するレストランで撮影をしました。

ブレディみかこさんが、この映画についてこんなことを語っています。

「この映画を見た翌日、英国でレストランに行った。『夕べ、あの映画を見たんです。』とウェイターに言うと、『あれはけっこう現実ですよ』とにやりと笑っていた。それぐらい英国では誰もが見た作品だ。あなたもきっとこれまでと同じ感覚ではレストランに座っていられなくなる。」

オーナーシェフのアンディは、妻子との別居騒動で疲労困憊。そんな時に限って、店へ衛生管理検査が入り、評価点を下げてしまう。それでも頑張って開店するのだが、予約過多のためスタッフはオーバーワークで、仲間同士でも一触即発状態。さらに、さらに、と怒涛のごとくトラブルが押し寄せてきます。レストランを動き回って怒鳴り散らしたり、なだめたりする姿を、カメラは延々と追いかけていきます。見ている方も、スピーディな展開にワクワクドキドキしながら、この店は今夜を乗り切れるのだろうか?と心配になります。

キャスターのピーターバラカンさんは「このレストランの一夜に我々の社会が抱える様々な問題が集約されています。」と語っていますが、イギリス社会の、例えば移民問題や差別問題などが顔を出します。レストランの裏側だけでなく、イギリス社会の隠れていた姿まで暴かれていきます。レストランの調理場だけが舞台なのに、もう破滅的に面白い!のです。

こういう展開の映画では、ラストでみんなが一致協力、なんとかピンチを切り抜け朝焼けの街を帰路につくみたいな作品になりがちなのですが、そうはなりません。で、ラスト。これは辛い!「アンディ!」の声とともに画面がフェイドアウト、さて、何が起こったのか?社会派エンタメ作品として超おすすめです。

☆7月27日(水)〜31日(日)「ワンコイン500円古本フェア」開催します。