3連休最後の月曜日(祝日でも当店は月曜定休です)、姫路市立美術館で開催中の「リアルのゆくえ」(11月5日まで)という美術展に行ってきました。

明治以降、西洋の写実技法に多くの画家たちが学び、数々の作品を発表してきました。日本洋画の先駆者、高橋由一の「鮭」が入口を飾り、明治から大正、戦争を経て現代まで、写実表現の変遷を堪能できる多種多様な絵画を集めた企画展です。

明治9年生まれの寺松国太郎の「サロメ」が、実にエロいことに感激です。むっちりした腰回り、ふくよかな乳房の女性が、その胸元にサロメの首を抱きしめているという構図で、美術的にどうのこうのというより、こら、おっさん何考えてるんや、このスケベ野郎と言いたくなる作家の妄想力に打ち砕かれました。

そんな下劣な私の性根を浄化させたのが、明治23年生まれの高島野十郎の「蝋燭」でした。蝋燭の炎を描いただけの作品なのですが、じっと見ていると、ジリジリという音まで聞こえてきて、その炎が揺らめいてくるのを感じます。炎が内包している精神性、あるいは宗教性までもが画面から立ち上ってきます。彼より数年後に生まれた中原實は、シュルレアリズム等の新しい表現に触れたことが画風に影響を与えているような「昼の星雨」が展示されていました。ポップでモダンなセンス溢れる作品で、硬質でヒンヤリした感覚が私好みです。

そして、こんな場所でお目にかかるなんて!と喜んだのは、長谷川 潾二郎の「猫」です。赤い絨毯の上で、暖かそうな顔つきで寝ている猫を描いた作品です。リアルなんだけど、どこか幻想的で不思議な世界は、同時に出品されていた「静物」、「代々木風景」といった作品にも見受けられます。

最も心に残ったのは、大正7年生まれの河野通紀の「淋しい水」でした。黒い背景に、机の上に載った鍋に入った水を描いたものですが、徹底的に精緻に描き込まれた作品からは、画家の内面が浮かび上がり、それが私たちの心に入り込み、様々な感情が湧いて来る作品です。

展示の規模、内容、そして適度な混み具合などすべてが満足のゆく美術展でした、暑い中、姫路まで行ったかいがありました。

 

 

 

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吉田篤弘「京都で考えた」(ミシマ社1620円)入荷しました。初回サイン入りです。