三重県津市発「Kalas33号」(620円)は、毎回内容が濃くて、読み応えがあります。本好きに先ず読んでほしいのは、”ルリエール”と呼ばれる造本作家、鈴木敬子さんへのインタビューです。ルリエールとは、工芸製本と訳されるフランス語で、本の装飾を手掛ける職人のことです。

ヨーロッパでは、書籍が未綴じ状態で販売されていた時代があり、本を買った人が製本屋に持ち込んで、自分好みの装幀を施すという文化が発達しました。今でも、古書店を覗けば、そんな未綴じ本があり、それを製本する職人がいます。鈴木さんは、本場フランスへ出向き、個展を巡り、職人との交流を深めて、ご自分の技術を磨き、今では世界各地の個展に出品されています。何点か彼女の作品が撮影されていますが、「どの本にも作品と称するだけの精巧な美しさが宿っている」とkalas編集者の西屋さんは書かれています。

この号では「装う」という括りで、鈴木さん以外にも、納棺師のご夫婦、トラディショナルなバー「アンバール」のマスター等が登場します。

カラスブックスはこの小冊子を発行する傍ら、古本業も始められました。連載「まちの古本棚」も今回で三回め。店頭を飾る本が何点か紹介されていて、見逃せません。

横浜の日本酒酒場を紹介し続ける「はま太郎」を出版している星羊社が、青森市を紹介する「めご太郎」(1200円)を出しました。「あずましい(心地良い)カウンターで地酒を飲んだり、名物・ソース焼きそば店をハシゴしたり青森市内に遊郭跡地を巡ったり」と観光より一歩先の旅を目指した青森紹介本です。

後半に「本のある暮らし 本と生きる人たち」という特集で、年6回のペースで刊行している地域情報紙「青森の暮らし」の版元、グラフ青森の下池社長へのインタビュー、県内の出版社の紹介、そして2015年にオープンしたばかりの古書店「古書らせん」店主、三浦順平さんへの開店までの経緯をきいた「古本屋になっていく」などが掲載されています。オーナーは地味な本屋だと明言されていますが、いいお客様に恵まれ、またブックイベントにも参加しながら店を営んでおられるご様子です。青森に行かれたら、是非寄ってみて下さい。(写真はその店内です)

 

●レティシア書房のお知らせ●

 年始年末 12月29日(金)〜1月4日(木)休業いたします。