本日は、敗戦間近に出た古い雑誌を先ず紹介します。昭和20年1月、及び3月、翌21年1月、2月3月合併の文藝春秋です。

敗戦の前年の20年3月号「本土戦場下への決意」の最後は、「一人百人殺の決意は一億国民の合言葉でなければならない」で終わっています。今だからそんなアホなと言えるのですが、まだ、本土決戦やるつもりだったんですね。メデイアが戦争に加担していたことが明らかになる文章です。さらに、現地に派遣されていた報道員が戦争とは忍耐だ!「忍耐の顔はいつも明るい」などという、これまた今にして思えば理解不能な文章を寄せています。しかし、その一方で上林暁が森鴎外の「安井夫人」についての論評「醜男考」を書いたり、第二十回芥川賞受賞の清水基吉作「雁立」が掲載されていたりと、文藝誌としての面も保っています。

ところが、敗戦が決まり、アメリカの統治下に入った21年の新年号には「タイムやニューズウィークノヤウナアメリカでも尖端を行く週刊雑誌が一般に発売されるやうになった」ことから「アメリカ新語集」なるエッセイが載り、2月3月合併号では、宮本百合子が「逆立ちの公・私」という論評で、「戦争は常に残酷なものである」と表現しています。戦争を挟んだ時代の雑誌を開くことで、当時の社会が見えてきます。(価格は800円〜1200円)

戦争が終わった夏の日を思いだす意味で、何点か戦争を考える本が出ています。敗戦から独立、その後の世界情勢までを子どもたちにわかりやすく解説した「少年少女おはなし日本歴史14巻ー占領下の日本」(岩崎書店1500円)。朝鮮戦争にもページを割いて、金日成の生い立ちが詳しく描かれています。

第一次世界大戦から今日に至る世界各地の反戦詩を集めた「世界反戦詩集」(太平出版社1000円)は、33カ国108人にも及ぶ詩人の160編を収録した画期的な一冊です。

子どもが被写体の写真集って、はっきり言って嫌いなんですが、何度でも見ても飽きない写真集、菌部澄の「こどもの領分」(淡交社1000円)は、昭和20年代後半から40年代初頭の子どものいる風景を収めた作品集です。貧しかった時代から、高度経済成長時代へと差し掛かる時代、遊びに夢中の彼らの表情が伝わってきます。昭和30年。高松市の桟橋から出航する船を見送る母と子どもをシルエットで捉えた作品には、涙してしまいます。

 


★8月9日(水)〜20日(日)「レティシア書房 
夏の古本市」開催。個性的な28店のよりすぐりの古本が大集合です!

 

暑い日が続きますが、ぜひお立ちよりください。

 

8月21日(月)〜25日(金)は、夏期休業いたします。よろしくお願いします。