ミシマ社から出た網代幸介「手紙がきたな きしししし」(新刊/1980円)は、子供が読んでも、大人が読んでも、ヒヤヒヤ、ワクワク、そしてハハハッと声を出してしまいそうな絵本です。

古い謎の洋館。そこに手紙を届ける郵便配達のおじさんは、なんか嫌だなぁ〜と思いながら、館内に入っていきます。「きししし」という不気味な音、この洋館に住むお化けたちがぞろぞろと出てきます。手紙がきたことに喜ぶお化けたちは盛り上がり、ついに手紙は最上階に住む主人のところに届くのですが……..。

奥行きと重厚感のある絵は、ファンタジーに説得力を持たせ、おどろおどろしさと、可愛らしさと、はちゃめちゃ感が絶妙にブレンドされています。夢から醒めたようなラストの展開も洒落ています。

雑誌「美術手帖」に、「網代幸介は1980年生まれ。古代文明やヨーロッパ中世に描かれた遺物や神話、寓話などから影響を受け、想像上の人や動物を描いた絵画を中心に、独自の物語を題材とした立体作品やアニメーションなどを制作。作品のなかに経年劣化による物の存在感や朽ち果てていくはかなさを投影し、幻想とリアリティのあいだを表現している。東京を拠点に活動し、これまで国内外で作品を発表。アートワークの提供や装画、演劇のヴィジュアルなども手がけている。」と横顔が紹介されていました。

トホホな表情の郵便配達人と、ドラキュラ伯爵が住んでいそうな、朽ち果てる一歩手前の洋館。次から次へと登場する妖怪たちは、手紙がきた!と舞台で踊りまくり、それにやんややんやと拍手を送る観客のお化けたち。手紙が飛び交い、郵便配達人まで、舞台に引っ張りあげられてしまいます。

子供の時、ちょっと怖いけど、スクリーンに見入っていた暗い映画館の雰囲気を思い出します。

三条京阪近くのギャラリーnowakiさんで、現在この原画を中心にした作品展が始まっています。私も観にいきましたが、やはり原画の迫力は違いますよ!! ぜひ!(7月5日まで)