東都新聞記者吉岡(シム・ウンギョン)は、日本人の父と韓国人の母も持ち、アメリカで育ち、日本の新聞社で働いています。ある日彼女に、大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届きます。その真相を探るべく調査を始めます。

もう一人の主人公は、内閣情報調査室に外務省から出向で勤務する官僚・杉原(松坂桃李)です。国民のために仕事をしたいという思いとは裏腹に、現政権に不都合な人物に関して、デマや作られた情報をネットに流すというのが、今の仕事です。窓のない部屋でスーツ姿の官僚たちが、パソコンに向かって偽の情報を流している姿は不気味です。
自分の職務に疑問を持っていた杉原は、尊敬する昔の上司・神崎から久々に食事に誘われます。しかしその数日後、神崎はビルの屋上から身を投げてしまいます。原因を調べてゆくうちに、神崎が関係していた大学新設計画に秘められた闇を知り、同じ闇を追っていた吉岡と交わったために、彼はとんでもない決断を迫られていきます。
映画は、この二人を軸にして、この国を覆い尽くそうとしている権力の暴走を描いていきます。内閣情報調査室の杉原の上司は、政権の長期安定を目指し、それに反対する勢力を潰してゆくことが国のための仕事だと言い切ります。しかし、マスコミを含めた情報操作で、私たちは真実から目隠しをされているのだということが、今だからこそよくわかります。
最終的に杉原は、真実の公表か、保身かで究極の選択を迫られます。これ、問題の大きさは別にして、組織の中で働いた人なら苦悶する杉原の表情に納得すると思います。
ここで重要なのは、ヒロインを演じたシム・ウンギョンの、どこまでも透き通った視線です。あなたたちは、このままでいいのかという問いかけが、我々に迫ってきます。国家に対して抗うには、個人はあまりにも非力です。でも、彼女の視線は、それでもそのままでいいのですか!と訴えてきます。
このような政治的なテーマの映画を、一般の人が楽しめる映画として上映しようと考えて、制作したスタッフに敬服します。とにかく、まず面白い。そして心の奥にズドンと突きつけられるものがあります。

 

トーク&ライブのお知らせ  

7月13日(土)18時30分より 『澤口たまみ(語り)石澤由男(ベース)ライブ』

今年1月、当店で行われた「宮沢賢治愛のうた」(澤口たまみ著)出版記念イベントのお二人のトーク&ライブが再びやってきます。澤口たまみがさんが岩手のイントネーションで賢治作品を朗読。ベーシスト石澤由男が伴奏を添えます。 朗読作品は、岩手の自然を見つめ、野原や林からおはなしを貰ってきたという「鹿おどりのはじまり」他を予定。

●18時受付開始  18時30分より (2000円)ご予約ください。