当店の300円均一コーナーに、様々なスタイルの読書案内や、本にまつわる本を新たに入れました。

紀田順一郎の「四季芳書ー読書人の日常」(実業之日本社)は、なんと700ページの大著です。「20世紀末の本の文化を語りつくす」と帯に明記されている通り、本とは何か、出版とは何かを極めて本格的に論じてあります。発行されたのは平成4年、定価3500円。こういうアカデミックな書物がまだ求められていたんですね。きちんと出版文化のことをおさらいしておこうと思われたら、どうぞ。通読は大変ですよ!

いいなぁ、この本と思ったのは「本なんて!」(キノブックス)です。著名な作家達による読書論を集めたものです。巻頭を飾るのは須賀敦子「塩一トンの読書」。

新旧の作家が60数名名を連ねています。文学者もいれば、漫画家の萩尾望都、鈴木清順、園子温のような映画監督まで広い範囲に及んでいます。海外文学の編集者で作家の常盤新平は、1920年代、30年代に出た本が揃っているNYにある古本屋「ブック・フレンズ・カフェ」のカフェでの出来事を語っていました。ある日、流しの楽団がやって来てオールドファッションなワルツを演奏します。するとカフェにいた中年の男女がワルツを踊り始めます。まるで映画のワンカットみたいな光景。常盤はこの文章に「古本屋」というタイトルを付けています。本や、書店の関する素敵なエッセイ集としてお読みください。

赤瀬川原平、荒井良二、中野翠、金子國義、福岡伸一等が20数名が集まって、本棚についてのウンチク、思い出等を語っているのが「私の本棚」(新潮社)です。珍しいと思ったのは、絵本作家の酒井駒子が文章を寄せていることです。幼少の頃、母に連れられて図書館に行った時の「本を選ぶ母親の、鬼気迫るような様子が忘れられません。おんぶ紐で弟を背負いながら一心不乱に本を見つめている母親と、無機質で圧倒感のある本棚に私はすっかり気圧されてしまいました。」という思い出です。それぞれの人の本棚への思いが語られています。「本棚にまつわるちょっといい話」という、帯の宣伝文句通り。さて、自分の本棚はどうなってるのかな?と見上げたくなります。

最後に、もう一冊ご紹介。西牟田靖「本で床は抜けるのか」(本の雑誌社)です。これは、気がつけば部屋中、本だらけの方には必読の一冊です。井上ひさしの奥様が、「パネル状の四角い建材をはめ込んで作った床が、ある日、本の重みで『ぱんっ』と落ちた」と証言されているように、本の重さで床は抜けるのです。さて、どうするか。まとめて処分した人、蔵書を電子書籍化した人、私説図書館を作った人、大きな書庫を作った人等々、さまざまなエピソードを交えながら、この危機を脱するための指南となる一冊です。

どれも、お値段は300円。気楽に読んでみてください。

レティシア書房恒例「夏の古本市」は、8月8日(水)〜19日(日)開催です。