安西水丸が亡くなった後、彼の著書が異様に値上がりして、なかなか入手が難しくなっていますが、ちょっと珍しい本を2冊入荷しました。

一冊めの「mysteric resutaurant」(架空社/古書2200円)は、正確に言えば、安西一人の本ではありません。多くのデザイナー、画家が集まって作った本の中に安西も参加しているという本です。

アルフベットのAからZまで、ひとり一文字づつ担当して、その文字から始まる食べ物を描いています。全作品とも、文字の下には、自分が描いた作品を捕捉するような俳句や詩が添えられています。

トップバッター「A」の安西は、「Apple」をチョイスして、「青りんご 浅き眠りを 眠りおり」という俳句とともに、青いリンゴを描いています。

他に、宇野亜喜良、スズキコージ、大橋歩、たむらしげる、田代卓、矢吹申彦などが参加しています。(Wの矢吹がgood!)

もう一冊は、「東京美女1」(モッツ出版/古書3100円)。こちらには、実は安西のイラストは一点もありません。写真家の小沢 忠恭が撮った、原田美枝子、森高千里、八代亜紀、沢口靖子、いしだあゆみなど、女性のポートレイト写真に安西が文章を書いているのです。

撮影している場所が東京の各地で、その風景と女優と安西のコラボ作品です。一番好きなのは、いしだあゆみ。勝鬨橋に佇む彼女を捉えた作品に、安西はこんな文章を添えています。

「いしだあゆみの立っている勝鬨橋は、昭和六年に架設に入り、昭和十五年六月に完成している。今は開いていないが、この橋は跳開橋で、時間がくると開き高いマストがそこを通れるようになっていた。三島由紀夫の『鏡子の家』はこの勝鬨橋を女性連れの三人の主人公が眺めるシーンからはじまっている。」安西の自筆の文字がステキです。

撮影されたのは平成10年。その時代の雰囲気がよく出ています。沢口靖子も若くて、可愛くて、下町によく似合っています。