トリュフは、高価で貴重な食材として知られています。北イタリアピエモンテ州の森奥深くに、人の手によって栽培されたこともなく、自然に育っている<白いトリュフ>があるのだそうです。そして、その貴重なトリュフがどこに生えているのかを知っているのは、数人の老人と彼らの愛犬だけです。多くのバイヤーやら料理関係者が押し寄せ、札ビラをきってその場所や探し方を求めてくるのですが、老人たちは頑として教えません。

そんな古老と愛犬たちの日常を描いたドキュメンタリー映画「白いトリュフの宿る森」」(京都シネマにて上映中)は、まるで古い西洋絵画を見ているような気分にさせてくれる素敵な映画でした。

犬を扱った映画の中で、個人的にベスト3に入ると思います。

「イヌはヒトを信じ、人もイヌを信じる。上も下もなく特別な相棒になれたとき、白いトリュフを手にする。この上なく尊くて、この上なく芳香な映画」これは動物写真家岩合光昭さんの映画へのコメントです。

主従の関係ではなく、ここに生きる生活者同士の関係。犬のハーネスにカメラを付けて、一目散にトリュフのある場所目指して突っ走るシーンの迫力は、ぜひ映画館で体験してほしいものでした。枯葉を蹴る音、荒々しい息遣い、必死に土を掘る前足の動き。初めて見る映像でした。

連れ合いを亡くしたのか、生涯独身を通しているのか、一人暮らしの老人たちは孤独です。その側で主人を見守る愛犬。使い古された家具、食器、そして服。まるでフェルメールの絵のような美しさです。

「神の贈り物であるトリュフ。人間と犬はこれほど一つになれるのだ。共に食べ、暮らし、神化したトリュフを求めて山を歩く。巡礼者のような犬と人間の営み。人間と森の幸福に耳を澄ませろ。この映画は、観る者に小さな声でそれを教えてくれている。」こちらは、料理研究家の土井善晴の言葉です。

絶対に大切なその場所を教えない彼らに、愛犬を毒殺して困らそうとする危険も迫ってきます。けれど、毎日彼らは飄々とした風情で深い森へと入っていきます。世界は全く違うのですが、宮沢賢治の「なめとこ山の熊」を思い出しました。