本日はCDのご紹介。滋賀県在住のカウンターテナーの中嶋俊晴さんの「私の好きな日々」(2750円)です。

カウンターテナーとは、クラシック音楽で男性がファルセットボイスで、女声パートに相当する音域を歌う人のことです。中嶋さんは、カウンターテナーとして活躍されている現役のシンガーです。今回のアルバムはクラシックを離れて、作詞・谷川俊太郎、作曲・武満徹のコンビを中心に、谷川賢作の曲など。清少納言作詞?上田知華作曲のナンバーもあります。「枕草子」の現代語訳に曲をつけたものです。

「心のままに歌いたいと選んだ作品たちは、結果的に僕自身の心を癒し、励ましてくれました。これまで当たり前のようにあった日常がどれだけ有り難く、尊いものであったか…….。そのことを僕に教えてくれた心温まる作品たちを、多くの方と共有できたら嬉しく思います。」

と中嶋さんは、CDの宣伝ポップに書かれています。どこまで澄み切った歌声と、その声にそっと寄り添うようなピアノとギターの美しい音色が見事にマッチして、リスナーを優しい眠りに誘ってくれます。春の宵、彼の音楽を聴きながら、いつか戻って来てくれる平凡な日々を夢見たいものです。

そして、本アルバムのラストを飾るのは、私の大好きな「満月の夕」です。日本のロックバンド、ソウルフラワーユニオンが神戸の震災の時に歌っていた曲で、多くのミュージシャンがカバーしています。後半、沖縄音楽のメロディが入ってくるのですが、そこを中嶋さんは無理に沖縄風にすることなく、鎮魂の歌として歌っています。何度聴いても、心に染みる名曲です。