街を歩けば、桜が今を盛りに咲き誇っています。そして、小さな本屋にも幅2〜3㎜の細長い紙をクルクル巻いて作った桜や、色とりどりの花が満開です!

「ペーパークイリング」は、英国発祥と言われる紙工芸で、中世の昔、聖書を製本した際にできた細長い紙の切れ端を、鳥の羽(クイール)で巻いてパーツを作り、修道院で宗教画や宗教道具に装飾したのが始まりと言われています。欧米を中心に世界中でアート、ホビーとして楽しまれていますが、日本でも広がってきているようです。

山中さおりさんは、開店以来ずっとレティシア書房で個展を開いているペーパークイリング作家です。11回目となる「私的クイリング植物図鑑」と題した今回の展覧会は、約12年模索を続けてきた彼女の一つの到達点になったような気がします。

花や果物や小さな動物をつくることから始め、個展を重ねる度に新しい作品に挑戦してこられました。アートマルシェなどでグッズを販売したり、教室で教えたりするだけではなく、新作を発表し続けることで、技術や表現の力を確実にアップしてきました。2020年、ペーパークイリングの特徴である美しい色を排して白一色で大きな作品を並べた時も、その試みに感動したものです。とても几帳面な性格がペーパークイリングの製作にとても合っていたのですが、いまひとつ殻を破れない、と悩まれていたこともありました。そして、昨年から一日一個の作品を作り上げることを自らに課して、200にも及ぶ植物を作ってきました。その手しごとを続ける中で湧き上がってきたのが「植物図鑑」でした。

ペーパークイリングの植物の横に、その植物にまつわる文章を添えた図鑑のような形にたどり着いたのは、彼女のたゆまぬ追求心の結果です。読書家で詩や文章を書くことが得意だったことと、技術力のアップで得た表現が結実しました。例えばフキノトウの横には、花の解説や花言葉などと共に「父に連れられて行った冬の田んぼで初めて見ました。あまり目にしない形の花に『こんなものがあるなんて!』と子供心に自然の造形美に対して深い感銘を受けました」というような思い出なども書かれています。

山中さおり進化中!ぜひレティシア書房へお花見にお越しくださいませ。(女房)

✴️山中さおり個展「私的クイリング植物図鑑」は4月6日(水)〜17日(日)月火定休

13:00〜19:00