岩波書店が、1985年に発売を開始した全8巻「講座日本映画」の、第1巻「日本映画の誕生」、第2巻「無声映画の完成」、第3巻「トーキーの時代」(思いの外出品/岩波書店各800円)。今村昌平、佐藤忠男、新藤兼人、鶴見俊輔、山田洋次を編集委員に迎えたこのシリーズは、日本映画の歴史を研究するのには、最適のシリーズです。特にこの三巻は、日本映画の始まりの頃をテーマにしていて、見たこともない作品や、当時の映画ポスター、役者の写真などが数多く使われていたり、興味深い内容になっています。

「日本の映画事業が、その出発の早々から、やくざと交渉を持たなければならなかったということは、日本映画のあり方に大きく影響していることである」という第1巻に収録されている佐藤忠男の「日本映画の成立した土台」という論考など面白いです。(本シリーズは現在絶版)

映画本の次にご紹介するのは、写真についての本です。小久保彰著「アメリカの現代写真」(空き瓶 Books出品/筑摩書房2000円)は、現代写真の元祖ロバート・フランク、ウィリアム・クラインに始まり、60年代、70年代、多様に変化し続けてきたアメリカ写真界から、70年代後半のニューウェーブ派の活躍を経て、80年代の姿までをパースペクティブに見つめた一冊です。ロック、ジャズのレコードを集めているうちに、そこに使われた写真家の作品に惹かれてアメリカの現代写真に興味を持った私には、刺激的な一冊でした。個人的には、今も強烈な印象を残すのは、黎明期に活躍したウィリアム・クレインでしょう。彼の「ニューヨーク」は、まるで映画のワンカットを見ているみたいです。

 

 

 

3冊目は、佐々涼子の「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている」(とほん出品/早川書房500円)です。これは、感動しました!2011年3月、宮城県石巻市の日本製紙石巻工場は津波に呑み込まれ、機能停止し、出版社への紙に供給が止まってしまう。その危機の中、半年後には復活するという工場長の宣言のもと、とんでもない闘いの日々が始まります。食べ物も十分ない、電気、水道、ガスの供給もままならない状態での手探りでの作業、さらには本社との葛藤と、もうデッドエンド直前の状態です。紙の本を待っている読者のためという目的のためにだけ悪戦苦闘した現場の人間の挫折と希望を描いたノンフィクションです。本に関わる人、本を読む人には、ぜひ読んでほしい一冊です。

★「夏の古本市」は18日(日)まで開催しています。(12日(月)は定休日。)

その後19日(月)〜23日(金)まで休業いたします