本日ご紹介するのは、お買い得コミックです。伊図透「銃座のウルナ」(エンターブレイン全8巻2300円/出品・ヴィオラブックス)です。主人公は、太陽の光が届かないような風雪の島リズルで狙撃手として戦場に立ち向かうウルナという女性です。魑魅魍魎正体不明の敵と戦う彼女の原動力はどこから来るのだろうか。宮崎駿の漫画版の主人公ナウシカを思い出してしまいます。蛮族による繰り返される残虐な行為にひるむことなく、撃退するウルナに待ち受ける過酷な運命。スケールの大きな物語、躍動する画面に釘付けになるコミックです。美しい故郷を捨てて、戦線に参加するウルナの愛国心って何?という物語の奥にあるテーマも見逃せません。

日本文学愛好者に人気の高い、小山清の傑作「落穂拾ひ」のオリジナル初版が出ています(筑摩書房 昭和28年発行5000円/出品・本と雑貨「福」)。小山は明治44年生まれの小説家で、太宰治の門人でした。昭和28年発表の本作で、私小説作家としての地位を確立しました。「小山君の小説は、どれを読んでも心暖まるものばかりだ。」と語ったのは亀井勝一郎でしたが、貧しい階級の生活を愛情深く描いた短編を送り出しました。本書にも七つの短編が収録されています。

「僕はいま武蔵野の片隅に住んでいる。僕の一日なんておよそ所在ないものである。本を読んだり散歩をしたりしているうちに、ひが暮れてしまふ。」だから、どうなんだ!と初めて「落穂拾ひ」を読んだ時、全然面白くなくて投げ出したものですが、数年前読み返した時、この作家が見つめる庶民への眼差しに心地よさを感じました。

歴史書を一点ご紹介、と言ってもこれは、キッチンの歴史です。ビー・ウィルソンの「キッチンの歴史」(河出書房新社2000円/出品・榊翠簾堂)です。サブタイトルに「料理道具が変えた人類の食文化」とあるように、古代ギリシャや中世の料理道具の変遷を辿りながら、現代的な最新の料理道具まで紹介していきます。歴史的事実の羅列に終始することなく、時にはユーモアを交えた文章で読者を食文化についての考察へと導いてゆきます。長い料理道具の歴史を論じた最後に登場するのが、著者の母親が作ってくれたオムレツの話です

「台所は素敵なことが起こる場所だと初めて私に教えてくれたのは母なのだから。」というのが最後の一文です。

 

 

★女性店主による『冬の古本市』2/16(日)まで。12:00〜20:00  (最終日は18:00)

神戸・大阪・岐阜・東京・御殿場・神奈川・京都などから女性店主の選書が集まっています。ぜひお立ち寄りください.

勝手ながら2/17(月)〜2/20(木)まで連休させていただきます。