「11の書店に聞く、お店のはじめ方・つづけ方」とサブタイトルの付いた田中佳祐著、武田信弥構成による「街灯りとしての本屋」(雷鳥社/古書1200円)は、書店紹介の本に載っている有名店はあまりなく、どの店も新鮮でした。

「『「街灯りとしての本屋」』は、本屋の歴史を語るものでもなく、未来の姿を描くものでもありません。小さな個人書店が増えているいまの時代に生成しつつある、本屋に魅せられた人々の物語を紹介するものです。」

という趣旨に沿って、様々な形態の書店と店主が紹介されています。仲良しの近所の家にお邪魔するような感じの絵本屋さん、南阿蘇鉄道の駅の待合室にある週末のみ開店する書店、子育てをしながら、シェアアトリエで絵本を専門に販売する書店等々、個性的なお店ばかり。店主の写真も魅力的です。

保護猫が店内を闊歩するCat’sMelow Bookstoreも登場します。店主の安村さんが書かれた「夢の猫本屋ができるまで」はこのブログでも紹介しました。

書店を経営しながら、本の制作から流通、販売まで一人でこなしているH.A.Bookstoreを営む松井佑輔さんは、日頃から素敵なミニプレスを出されています。出版だけでなく、面白そうなものを見つけては、取引先に紹介して流通させる業務もこなしています。ブログで紹介した「パリのガイドブックで東京の町を闊歩する1」もここが卸元です。

「自分の住む街に本屋がなかったら、その人は一生本を買わないかもしれない。様々な本が並ぶ棚から、たった一冊の本と出会い、自分のお金で買うという体験を知らないままかもしれない。本屋に限らず、本棚があって本を売っている店が通学路にあれば、小学校六年間で一回くらい入るじゃないかな。そういう出会い、色々な本が一覧で見れて、それを買えるという状況がなくなったら、この世の本は死ぬと思っているんです。」松井さんの考える本屋の存在の意義です。ここに登場する店主たちの本への想いは様々です。しかし、本を死なせないために、それぞれ工夫しながら本屋を営んでいるのは間違いありません。

TAWARAMACHI BOOK STOREという新刊書店を経営する落合博店長は、小さくてもいいから、街の駄菓子屋みたいに個人のやっている本屋が街のあちこちにあったほうが街として面白いと語られていますが、その意見には賛成です。幸せなことに、レティシア書房の近辺には個性的な書店が数件あります。そんな書店を回遊したり、疲れたらカフェで一休みできるこの界隈は、素敵な街だと思います。