97年に国内版が出た時にかなり方々で取り上げられて、人気の高かった美しい絵本が出ています。フレデリック・クレマンの「アリスの不思議なお店」(紀伊国屋書店2000円/出品・明楽堂)です。フレデリック・クレマンが、自分の娘の誕生日のためにつくったプレゼントを書籍化したとの事ですが、素晴らしい発想とセンスです。オブジェ、イラスト、コラージュ、が渾然一体となって読者を不思議な世界へと誘ってくれます。眺めているだけで嬉しくなってしまうような本です。外箱も洒落ています。

戦前から活躍し映画評論家の大御所、飯島正の「試写会の椅子」(時事通信社・上下2巻セット/出品・半月舎2000円)は、貴重な書物です。上巻「旺んなる青春1895-1952」、下巻「様々な出発1953-1972」とサブタイトルが入っています。「ぼくは1902年の生まれである。映画は1895年の生まれである。その差はわずかに7年である。」と書かれている通り、映画創世記から映画館に通っていた人です。植草甚一が「フランス映画はもちろんのこと、イタリア、スペイン、メキシコ、ハンガリーあたりの文学のおもしろさを原書や英訳で読む機会を与えてくれた。この本にはそういう思い出がいっぱいで」と著者との交流を語っています。映画青年には必読。

丸山太郎のことは、私も今回出品された「松本そだち」(秋櫻舎3000円/出品・甘夏書房)を手に取るまで知りませんでした。

柳宗悦の民芸運動に影響され、自らその運動に身を投じた人物です。昭和11年に駒場の日本民芸館を訪ね、雑器の美しさに触れたことがきっかけに民芸運動に開眼します。以来、柳宗悦を師と仰ぎ、松本の民芸運動の中心的存在としてすぐれた民芸品を蒐集。昭和37年に松本民芸館を開きました。本書は、「吾が家の歳時記」と「ちきりや閑話」の二つに分かれていて、前者では、著者の育った松本の町暮らしが静謐な文章で描かれています。後者は、見識を積んだ美意識で様々のことを語っています。文章が優しい。著者の品性が出ているのでしょう。

「松本民芸館は、私の生命をかけて作った館である。ただ入館料をもらうからということで、簡単にすまされない私の意地がある。私の見る眼と、観者の見る眼と合致した時の喜びは最高といってもよい。」と、自らが建てた民芸館について語っています。本の後半には、著者の初期木版画作品がたっぷり掲載されています。

 

 

 

★女性店主による『冬の古本市』は2/5(水)〜2/16(日)です。月曜日定休。12:00〜20:00

最終日は18:00まで。神戸・大阪・岐阜・東京・御殿場・神奈川・京都などから女性店主の選書が集まっています。ぜひお立ち寄りください

勝手ながら2/17(月)〜2/20(木)まで連休させていただきます。