と言っても、もちろん当店ではありません。

京都駅伊勢丹デパートの「えき美術館」で、7月10日まで開催です。少しならまだ、店内に割引券ご用意しておりますので、ご利用下さい。

数ヶ月まえ、安西水丸の本を集めて、このブログでご紹介しましたが、今回新たに数冊入荷しました。

安西が初めて女性誌に連載した短篇をまとめた「空を見る」(PHP/絶版2200円)は、あとがきにあるように「若い女性たちの人生の隙間風のような愛を拾って書いています」。ちょいセンチメンタルで、アンニュイで、村上春樹的スパイスやらもブレンドした短篇集です。もちろん、安西のイラストも各短篇に付いています。「片方だけのペニー」に登場するこの女性(右写真)が、最も印象的で本短篇集の主人公的な存在です。

初の長編小説「70パーセントの青空」(角川書店/絶版・初版2300円)も入荷しました。話は、1964年開催の東京オリンピックからスタートします。著者が美術系大学を卒業したのが65年。学生から社会人になり、めまぐるしく動く社会の中で、速度を上げて去ってゆく20代の日々の、自伝的青春小説ですね。

「どこか知らない国に、自分の若い日の時間が持ちたいって」と、主人公はニューヨークへと旅立ちます。ラストが秀逸で、ここで本のタイトルの「70パーセント」の意味が説明されます。彼がアメリカへ旅立った10年後、私もアメリカへ行きましたが、私には「70パーセント」どころか、「50パーセント」以下でした。貴方にとって、20代後半の日々、頭上の青空は何パーセントだったんでしょうか?

70年初め、安西がニューヨークでの生活を終え帰途につく時、憧れの雑誌「太陽」で仕事をしてみたいと思っていました。それから、20年後、希望がかなって「太陽」に短編小説の連載を始めました。それが、「十五歳のボート」(平凡社/絶版・初版2200円)です。少年から、少し上にステップアップする男の子のナイーブさと、快活さと、ペシミスティックな感性を丸ごと詰め込んだ作品集です。サリンジャーの小説に登場しそうな男の子ですね。個人的には「とうもろこし畑を走る」がお薦めです。水平線の彼方にちらっと登場する鯨が象徴するものを考えてしまいました。イラストも満載です。

美術展で作品を堪能された後は、彼の文章もお楽しみください。