九条大宮にオープンした「つるかめ書房」へ行ってきました。古い町家の外観はそのままに、内部を巧みにアレンジして、日本料理を出すレストラン、日本茶カフェ、バーを併設しています。レジが一箇所なので、好きな本を持って、カフェでお茶を飲み、まとめてお会計ができるようになっています。

場所は、九条大宮を下がってすぐのところに見えてくるのですが、看板がありません。条例で、こういう町家に商業的な看板は設置できないのだそうです。(写真左)さて、引き戸をガラガラと開けて、中庭を見ながらどんどん奥に行くと、その先に立派な書庫があります。全ての本が丁寧に、美しく並べられています。ちくま文庫、講談社文芸文庫がずらり、しかも安い!

壁面の書架を見てゆくと、星野道夫、石川直樹、石田千、吉田篤弘、庄野潤三などなど当店と似たラインナップ。趣のある古い書庫に、スッキリと並べられた本の数々。文学、エッセイ、暮らし、アートなどが明確な意志に基づいてセレクトされた棚の前で本を眺めていると、時折、吹いてくる風が舞い込み、リラックスしていつまでも居てしまいます。CDと本を何冊かセレクトして、昼食もいただくことにしました。お昼は2500円の和風ランチのコースのみ。音楽の鳴っていない空間、使い込まれた家具に囲まれての食事は、外の賑わいから離れて落ち着いたひと時でした。

ところで、今週末25日(土)26日(日)の二日間、この書庫の二階で古本市が開催されます。当店も参加します。同時開催で陶器市もされるそうなので、ぜひのぞいてみてください。

フリーペーパー入荷ご案内

●海外文学ファン必需の「BOOKMARK」の最新14号が入荷しました。巻頭エッセイはあさのあつこ。特集は「against」、「ノー」と言うことです。

●「ハンケイ500m」49号は、烏丸六条が特集です。烏丸七条と五条という幹線道路の真ん中にある小さな通りですが、実は私の通っていた小学校がこの近くでした。懐かしい…..。

●「SELFBUILD BOOKLIST」これ、「セルフビルドにまつわる連続トーク3『本から広がるセルフビルドの世界』」と題して、誠光社の堀部篤史さんが講師をした時に、製作されたブックレットです。彼が選んだセルフビルドに纏わる本がセレクトされ、解説も書いています。

 

 

★イベントのお知らせ

6月5日(水)より「世界ひとめぐり旅路録」展をされる小幡明さんが、14日(金)19時半より、FMひらかたパーソナリティー久保有美さんと一緒に「小幡明の旅の話アレコレ」と題したトークショーを当店にて開催します。(参加費1000円/要予約)

 

おいおい、これ無料か?商売の邪魔するの?? と、言いたくなる程立派な雑誌が創刊されました

発行元は長崎県文化観光国際観光振興課。お役所発行のミニプレスで、タイトルは「SとN」。「S」は佐賀県、「N」は長崎県を表しています。創刊号の特集は「トコトコ列車で会いにいく」。佐賀県有田から長崎県佐世保まで走る松浦鉄道に乗って、沿線を散策する特集です。この2両編成の列車、きっと鉄ちゃんには人気があるんでしょうね。

この路線は日本最西端の「たびら平戸口駅」も擁しています。ここの女性駅長さんのインタビューはじめ、沿線で、様々な商売や仕事をされている方を取材しています。定期船の船長をされている、強面のおっちゃんが、大のボブ・ディランのファン。ひょっとして、この船ではディランの曲が流れている?なんて興味も湧いてきます。甘党のアナタなら、北佐世保駅にある「毎日饅頭店」は見逃せません。看板商品のほこほこの「甘酒饅頭」はぜひ食べてみたい。お値段もご近所価格で、安い!

高知発のミニプレス「とさぶし」18号も入荷しました。森林率日本一の高知で、山に生きる人達を特集してあります。地元の人達の山の楽しみ方や、高知、徳島に棲息するツキノワグマのことなど興味深い記事を読むことができます。四国八十八カ所霊場のひとつ東明院善楽寺山主、島田希保さんも登場します。高知県札所で唯一の女性住職は、年に二度、大祭と花祭りに美しい声でご詠歌を歌い、多くの人がお参りに来られるそうです。

同じく、四国徳島発の「あおあお」も新しい号が入荷しました。特集は「藍がある」。かつて天然藍染料”すくも”の産地として栄えた徳島で、すくもを使って、作品を生み出す藍染作家たちが暮らしています。特集もさることながら、裏表紙にど〜んと載っている「フィッシュカツ」が食べたくて仕方ありませんでした。それにしても、どこへ行っても美味しそうなものが多くて、それだけのために旅にでたくなります。

さて、こういった地方の文化発信のミニプレスばかりだけでなく、本好きには大人気の「BOOKMARK」の最新7号も入荷中です。「眠れない夜へ、ようこそ」というテーマで、ゾッとするホラーや、怪奇話満載の小説が紹介されています。

最近映画化もされた「高慢と偏見とゾンビ」などは読んでみたい一冊です。ジェイン・オースティンの傑作「高慢と偏見」にゾンビを持ち込んだというウルトラC級の小説。「8割はジェイン・オースティンの原文をそのまま持ってきて、隙あらば血みどろのゾンビの世界をもぐり込ませ」るという離れ業を敢行し、さぞかし天国のオースティンも真青というお話です。作者はジェイン・オースティン&セス・グレアム=スミスの二人になっています。

どの本も数量に限りがありますので、お早めにどうぞ。

 

 

 

 

当店には、様々なDMを置くスペースがあります。その中にはフリーペーパーも結構あって、中には、え?これタダ!?と思われるものも少なく有ありません。

以前にもご紹介した、岐阜県高山市の飛騨産業(株)が出している「飛騨」は、最新16号が入ってきましたが、残り僅かになりました。

京都からは、「想いのしおり」が、がんばっていて、11号まで出ています。こちらは、「京都の伝統産業に携わる職人さんの思いを発信し、紡いでゆく」ことを目的に、月1回の職人さんへのインタビュー記事が中心に発行です。今回取り上げられているのは、漆の上塗師三代目西村圭功さん。主に茶道具の仕事をされているのですが、最近では、一般家庭用食器のブランドを立ち上げられています。10号のインタビューは、老舗のカバン、袋物メーカー「一澤三郎帆布」の製作部長、北川信一さんでしたが、元々料理人として働いていたという変わり種です。様々な分野で活躍する人々の働き方を知る、という意味でこの小冊子は貴重です。5号からのバックナンバーは揃っています。

最近、高知県の牧野植物園の発行する「まきの手帖」が入りました。牧野富太郎の業績を顕彰するために、1958年に開業した植物園が発行する小冊子です。牧野の「植物一日一題」、「植物記」(どちらもちくま学芸文庫950円)は、当店でも人気がありますが、この小冊子で、彼の描いた素描を楽しむことができます。彼の著作「牧野式植物図」の下絵として描かれたものや、フィールドワーク先で書いた記録が載っています。ところで、この冊子の表紙で、絵の上に並んでいる鉛筆は、牧野博士がスケッチに使用していたものなのでしょうか? 気になります。

毎回、ユニークなアプローチで、本好きの好奇心を盛り上げている「BOOKMARK」も、最新6号がきました。今回の特集は「明日が語る今日の世界」です。タイトルから分かる通り、未来を描いた作品を集めてあります。カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」、映画化されたアンディ・ウィアー「火星の人」、やはり映画化されたティムール・ブェルメシュの「帰ってきたヒトラー」等々、個性的な作品が並びます。

スペシャルゲストとして星野智幸が登場して、SF小説は政治を描いていると言い切っています。つまり、どんな突拍子もない世界を描いても、何らかの事情で、個人が公の権力に振り回されるのがパターンになっていて、「今、私たちが生きている現実を、誇張したりグロテスクにしたりして反映させている。だから、どんなに突飛な世界に見えても、リアルな感じがするのだ。」と。

いずれもパワーのある面白い小冊子です。私もこんなもの製作しているという方おられましたら、お持ちいただくか、或はお送りいただければ、また店頭に設置しますよ。そういえば、「たまひろい」という横浜ベイスターズのフリーペーパーを何回か持って来てくれた彼女は、シーズンオフかな?