数年前、くぼやまさとるさんの「ニセ蟲図鑑」(1800円)という本が持ち込まれました。全ページ精密な虫の絵で、「フグアブ科」」「エビスコガネ科」「カメダマシ科」と、それぞれ科目別に整理されています。「ニセ蟲」のタイトルにひっかりながらも、美しい水彩画に誘われてページを繰ると、さらに、各々の虫に詳しい解説が付いていました。

「雨上がりの夕方に、虹とともに現れ、虹とともに姿を消す」というのはニジオビウカビテントウ。

そう、この本に描かれている虫は、「惑星キムネジネ」という架空の星に暮らしている想像上の虫の図鑑で、当然その名前も、解説も著者の作り話。全100ページ!その詳細な楽しい解説と、透明感のある美しい虫たちの姿は見応えがあります。

「オトアツメ科」の虫たちは卵の孵化や蛹の羽化が音によって促進されるとかで、「タマヒゲオトスキ」は、沿岸部に生息して夕凪の音を集めて聴くし、「アカヒゲオトアツメ」は焚き火のパチパチ音が受精を促進する。想像がどんどん膨らんでいく感じでしょ。「チリヂリス」だの、「ヒゲカゲロウ」だの、聞いたことがあるような無いような虫がいっぱい、カラフル模様の背中を見せて並んでいます。

くぼやまさんのポストカードは店にも置いていましたが、いつか原画を見たいと思っていました。不思議の星に生息するニセ虫たちは、思っていたよりも繊細で、かわいい奴らでした。政治家の嘘にはうんざりですが、こんなキュートな嘘なら騙されても笑えます。

今回は、原画(3300円〜52000円)を始め、ブローチ(2000円)、陶器(2500円)、手ぬぐい(1800円)などのグッズも販売しております。(女房)

★くぼやまさとる水彩画展「星の虫ワールド」は7/8(水)〜19(日)13:00〜19:00 月・火定休

 

 

くぼやまさとる著の「星の虫図鑑」(ギャラリーまじっくらんど企画1944円)が入荷しました。数百種にもわたる虫が、美しい色彩で描かれています。「センネンタマムシ科」の項目を開ける。繊細な色調のタマムシが12種描かれています。綺麗だなぁ〜と見とれて解説を読んでみます。

「幼虫は、非常に堅い枯木や何千年もの樹齢の木の中で10年から100年ものときを過ごす。幼虫は10〜1000年に一度、羽化する。」

ん?「100年もの時を過ごす」、「1000年に一度、羽化する。」、なんかおかしい?だいたい「センネンタマムシ」なんて科目があるの?と他のページも捲ってみる。どのページも詳細に観察して描かれた虫達の美しい姿を見ることができるのですが、腹部がふぐの如くふくらみ、浮力を得る「フグアブ科」を見るに至って、これ全部架空のものだ!!と気づきました。

後書きに著者曰く

「空想昆虫の図鑑を作りたいと思い立ってから2年がたち、やっと本の形にすることができました」

やっぱりね。これ地上に存在しない虫達だったんです。くぼやまさんは東京出身の画家で、数年前に、もともと好きだった昆虫をアレンジしたニセ虫を描き始めたら止まらなくなり、伊豆の山奥のアトリエでどんどん書き始め、ついに出版するに至りました。

虫の本なんてと毛嫌いされる貴方、先ずはページを開いてみましょう。健気なフォルム、美しい色彩、今にもチョコチョコと歩き出しそうな可愛らしさが、ぎっしりと詰まっています。しかも、各虫にはすべて名前と簡単な解説まで付いています(もちろん、これも空想です)それにしても、「動物の糞に集まる、大地の掃除屋 エビスコガネ科」なんて、いかにもいそうな虫たちです。

嘘も細部までとことん突き詰めると、あり得ないはずのものが、いるよね、こんな虫と思えてくるという一冊ですね。もし、宮沢賢治が生きていたら、面白いと喜んだことでしょう。

本の冒頭に、銀河系に地球そっくりの惑星キムネジメがあって、多くの昆虫が生きていると書かれていますので、ここを読めば、架空なんだとわかりますが、ぱっと、ページを捲って見せたら、きっと今ここに生きている虫と勘違いされます。これからのプレゼントシーズンに、最適な一冊としてお薦めします。

今回、本と一緒にポストカードも入荷しました。(200円)

南伊豆町の森の中のギャラリー「まじっくらんど」では、彼の作品が展示されているそうです。伊豆下田方面にご旅行の際には、寄られてはいかがですか。

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