「京都文芸洛草」、「おかもちろう」等ユニークな雑誌、書籍を発行する「しろうべえ書房」さんが、関西TVの朝の番組「よ〜いドン」の中の人気コーナー、「となりの人間国宝」に昨日出演されたそうです。

関西人なら、このコーナーは誰でもご存知ですよね。タレント&歌手の円 広志 が、ぶらっとお店を訪問して、そこのオーナーとしゃべるというものです。そして、認定書「となりの人間国宝さん」シールを貼ってもらえます。

でも、出版社って初めて?しかも、インディ−ズ系なんて凄いですね。この出版社とは「京都文芸洛草」創刊以来からのお付き合いです。雑誌部門では、この本以外に「おかもちろう」、「mochiko」を発行。単行本も「鴨川左岸」「愛と家事」等、コンスタントに、ひとひねりした書籍を刊行しています。会社は奥様と二人で経営されています。

当店では、どの本も9割の売りという抜群の成績です。昨日、社長と奥様と小さなお子さん(二代目?)でTV出演報告と一緒に、新刊をお持ちくださりました。

それは歌集+歌論の二冊セット、三宅勇介著「亀霊」(2700円)です。この歌集は作りが贅沢です。20数種類の紙を使用して、美しい製本をしています。各々紙の質感、デザイン性、微妙な色合い等が楽しめます。触って良し、見て良しという感じです。

さて、肝心の歌集ですが、これが面白い。日常のある瞬間をストップモーションにしたような作品、例えば

「トイレット・ペーパーの芯カラカラと回りたるを止め静寂を統ぶ」、

「見逃しの三振したる打者は皆必ず睨む虚空持ちたり」、

等、その瞬間の映像がすっくと脳裏に立上がってきます。

その一方、ちょっとシニカルに私たちの行動を見つめた作品も目立ちます。

「このカレー普通に旨しと言ふ奴の普通につきて熟考をす」

「自動ドアまだ開く前にぶつかりて春の嵐に押されたふりをす」

など、クスッと笑えそうな作品ですね。歌集なんてとお思いの方、ちょっと高いですが、素晴らしい製本を楽しむつもりで如何でしょうか。

蛇足ですが、この作家は愛犬家?なのでしょうか。犬がらみの作品をチラホラ見かけます。

「耳立てて風の文法解読しヨークシャー・テリア首傾げたり」

 

京都発の文芸誌「洛草」(版元品切れ)で、注目を浴びた「しろうべえ書房」から、幻想京都案内誌「モチコ」が創刊されました。いやぁ〜、これは凄い京都本です。多分、大手出版社が出しているその手のワンパターン京都本は、太刀打ちできません。

「聖地巡礼」という連載特集の第一回は、「千本通」です。

「千本通は平安京を貫くメインストリート・朱雀大路の跡である」というお勉強からスタートして、先斗町や祗園と華を競った時代を経て、高度成長時代、多くの男たちがエロスを求めて集まって来た最も華やかだった頃、その後の輝きの消え去った今日の千本までが描かれています。

さらにしろうべえさん(出版社社長のお父様)によるディープな「と或る夜の千ブラに於いて」というコミックあり、今でもピンク映画専門の映画館として営業ししている「千本日活」ドキュメント、さらに丸太町角にあるスッポン料理割烹「八八屋」や、同じく丸太町東にある今にも崩れそうな古い家の骨董屋の話に至るまで、今や京都育ちでも知っている人が少ない場所ばかり。

私は毎週卓球場へ通う途中、「千本日活」の前を通過します。正統的ピンク映画のポスターを横目で見ながら、どんな人が来ているのか、ちょいと覗いてみたい気分になります。昭和36年新作映画を上映する映画館としてスタートした劇場が、時代の変化で、今は3本立て500円のポルノ映画館になっている。こういう映画館も、日本映画史の中できちんと捉えていくべきだと思っています。記事に曰く

「関西有数の<ハッテン場ー同性愛者の出合いの場>として人気らしい『座ったとたんに四方からオッサンがすり寄ってきた』などという声をきく。興味本位で近づかないほうが無難だろう」

丸ごと「千本通」だけの本ではありません。巻頭特集は「桂」です。「桂という言葉が、実は月を意味することだった」という興味深い話から、最後の京都市電「北野線」(京都駅前から北野天満宮)の廃線跡をブラブラ歩く旅とか、太秦の地で50数年カフェ「喫茶アプリコ」をされていたご夫婦へのインタビュー、若き日、詩人の中原中也が下宿していた大将軍椿寺の側を流れている紙屋川を巡る「川のほとりで」等々、どの記事も面白いです。

大阪じゃなく、京都のたこやき焼き屋さんめぐりのレポートも前代未聞です。

お値段は864円。多分、観光に来られた方が読んでも、ここで紹介されている辺りをブラブラしたくなるでしょうね。でも、京都生まれ、京都育ちのアナタに、ぜひ読んでもらいたい京都本です。次回の特集は、「壬生」とのこと。楽しみです。

 

★予告・・・・「洛草」2号が近日発売されることになりました。

 

 

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”地位系コミック雑誌”という「おかもちろう4号』(540円)を出版した、しろうべえ書房から「京都文芸洛草」(648円)の創刊号が、先日入荷して、その翌日開店一番に売れました。あっ?関係者かなぁ〜というゆるいノリで見ていたら、な、な、なんと5冊売切れ?! 村上春樹ばりの売れ方はなに?とあわてて中身を確認。

巻頭特集は「太秦ハリウッド」と題して、大映映画の元助監督の辻元光明氏が、日本映画華やかなりし頃を語る対談。市川昆監督の現場のこと、彼の映画に出演していた歌舞伎役者の中村鴈治郎のことなどが語られます。大映黄金時代の話は、ワクワクします。

その後には、芥川賞作家の藤野可織の映画エッセイあり、「出版業界の衝撃的実話 編集は屍を越える」なんて記事があったりとバラエティに富んだ構成で、全ページ白黒、ほぼ写真無し!という無謀な作りです。個人的には、田原五郎さんの、エッセイのような、私小説のような「季節の終りに」が面白かったです。76年に司法試験に落ちてからの、延々続く独白みたなもので、「ワインリバー」「シアンクレール」と、あの時代に青春を過ごした人ならば、タイムスリップしそうな話です。

あわてて追加で入荷しましたので、パラパラと読んでみては?因みに当店だけでなく、扱っている書店のどこも好調な売れ行きらしいです。でも何故なんだ??

最近、独立系出版社からの営業が増えています。ありがたいことです。

エランド・プレスもそんな一社です。今回は「Erand Press Postcard&Book」シリーズの坂口恭平と惣田紗希の二種類が入荷しました。作家、歌手、建築家としてマルチな活動を続ける坂口のほのぼのとした脱力系作品と、イラストレーターとしてCDジャケや、柴崎友香『虹色と幸運』(ちくま文庫)のカバーイラスト等、様々な媒体で表現活動を続ける惣田紗希の個性溢れる作品をポストカードにしたものです。惣田紗希さんには当書房で作品展を、とお願いしているところです。(どちらも1512円)

9月中旬からは、造本作家駒沢克己氏の作品を販売する、one stroke社の素敵なビジュアルブックの展示会も始まります(9月12日〜10月12日)。こちらも、いずれギャラリーでの作品展を、と交渉中です。

 

★10月23日(金)19時30分

北海道釧路ヒッコリーウインドオーナー&ネイチャーガイドの安藤誠さんのネイチャートーク&スライドショー「安藤塾」 決定。要予約