本好きのための雑誌「ぽかん」の最新5号(972円)が入ってきました。文学が好きで、本を読み、素敵な文章を大切にしている人なら、これはぜひ買って下さい。

「ぽかん」は3冊で構成されています。本誌「ぽかん」と小冊子「のんしゃらん通信」そして100冊の本を紹介した、広げるとポスターになる「ぼくの100」です。

本誌に掲載されている文章は、どれも味わい深く、日本語がゆっくりと染み込んできます。服部滋さんが書かれた戦時中の特攻兵器「回天」搭乗員和田稔が、敵艦に体当たりすることなく、艦内で窒息死して浜辺に打ち上げられた悲惨な話は深い悲しみに包まれています。亡き兄を偲んで、歌人の妹がこんな歌を詠んでいます。

「浮上し得ぬ回天をめぐる海底の沈黙兄は死にゆく」

そうかと思えば、昔の記憶が段々とおぼろげになってゆく様をユーモア溢れる文章で描いた佐久間文子さんの「とけていく記憶」。あるいは無為に過ぎ去っていった大学時代のちょっと変わった友人との交流を、まるで極上の短編小説の趣きで振返った保田大介「友だちと文庫本にまつわる話」など、どんどんと読んでいきたくなるものが詰まっています。

ところで、あの早世したジェイムス・ディーンがこんな事を言ってたんですね

「永遠に生きるつもりで夢を見、今日死ぬつもりで生きよ」

この意味、外村彰さんの「多喜さん漫筆」をお読みいただければわかります。

もう一点、200円ながら、作った人達の本への愛情溢れる「本と本屋とわたしの話」の8号も入りました。

「古本屋は、人生の道草にうってつけの場所だ。そして、その道草は、ぜいたくだ」

いい言葉ですね。

「ほんのこぼれ話 棒線は友だち〜傍線は友だち」は、方々に線が引かれた武田百合子の「犬が星見た」についてのエッセイですが、微笑ましくなってきますよ。筆者は赤線を引いた方に対抗して、青線をどんどん引いていきます。そして、最後にこう呟かれます。

「赤い傍線のひと、生きていますか。今もお元気ですか」と。

毎回その内容の濃さで、本好きの方々に高く評価されている「ぽかん」の最新4号(972円)が入荷しました。正方形の本誌と、「のんしゃらん通信」、そして100冊の本が紹介されている「ぼくの百」と、今回も豪華です。

本誌の山田稔さんのエッセイで、相変わらず名人の文章を読む楽しみを堪能しました。また、大阪にある出版社「編集工房ノア」創設者、涸沢純平氏が出版社立ち上げた頃の話も興味深く読ませてもらいました。私はこの出版社のおかげで、天野忠、山田稔、杉山一平各氏の本を読む事ができました。

「山田さんといえば、二人で天野忠さんの北園町九十三番地の家に行った帰り、川端通りの赤垣屋で仕上げをした」

なんて文章に出会うと、この住所や店を知っている者には、とても身近に感じられました。

岡山の蟲文庫の田中さんは、岡山出身の作家木山捷平について書かれています。亡くなってしまったこの作家への手紙という形で、彼女のオマージュが語られていますが、いい文章です。

「古本屋というところは、人と本を結ぶ場所です。著者と読み手、手放す人と求める人、前の世代と次の世代、そうした本を介しての人と人とのつながりが確かに持てる場であると思います。」

と書かれていますが、その通りです。

そして必ずチェックしているのが「ぼくの百」です。紹介されている本の文章読みながら、店の棚作りに利用させてもらっています。

まだまだ紹介したい記事が沢山ありますが、せひ店頭で見て下さい。本と言葉を深く愛する人達の気持ち一杯のミニプレスです。(バックナンバーもございます)

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