夏休みに子供に読ませたい本とか、よくありますね。というわけで大人にも読んで頂きたい絵本2冊のご紹介です。

みやこしあきこの「たいふうがくる」(BL出版/古書1200円)は、モノクロで描き込まれた、ある夏の日の物語です。

金曜日。明日は家族で海水浴に行くことを楽しみにしていた少年は、学校に行くと、先生から台風が来るからというので、下校の指示を出されます。家に帰ると、お父さんもお母さんも台風の準備に追われています。そしてやってくる台風。激しい雨と風。

絵本作家の杉田豊は「普通の絵本の構成では比較的読者に対する説明要素も含めて、少し高い視線で見た場面を描くことが多い。勿論四方にひろがる景色などパノラマ的に俯瞰した鳥瞰図のアングルなどもよく見られるが、『たいふうがくる』ではアングルが机の高さ位から床に近いローアングル、夢の中の船は逆に仰ぎ見るような、動き回るカメラ目線を駆使した変化を見せている。」と評価しています。

少年が、ベッドに飛び込むシーンのアングルは、床すれすれの地点から見上げています。動きのある画面構成で、台風の通過する不安な夜を過ごす少年の姿が描かれます。そして、台風が去った翌朝、カーテンを開いた少年の目の前に飛び込んでくるのが、眩しい青空です。いかにも、嵐の過ぎ去った日、カーテンを開けた途端に、目に飛び込む眩しさ。この空の色だけ、モノクロ画面の中で、清々しい青色がとても効果的に使われています。

もう一冊は、谷川俊太郎作、長野重一写真による「よるのびょういん」(福音館書店/古書950円)です。これは、深夜、お腹の痛みを訴えた少年が、救急車に乗せられて病院へと向い、緊急手術を受ける様を、谷川の文章と、長野の写真で追いかけた絵本なのですが、映画を見ているような迫力です。

おそらく、写真の少年とその両親は、役者です。執刀する先生や、看護婦、救急隊員、そして夜の病院で働く人々は、本物ではないでしょうか。これらのアンサンブルが見事に決まっていて、この絵本の構成通りにカメラを廻せば映画になります。写真を撮った長野は、市川崑の「東京オリンピック」に参加しています。極めて映画的です。それにかぶさってくる谷川の言葉も、写真を説明するのではなく、緊張感溢れる物語にしています。

「よるの びょういんは しずかだ。けれど そこには ねむらずに はたらくひとたちがいる。びょうしつを みまわる かんごふさん、ちかの ぼいらーしつで よどおし おきている ぼいらーまん」という谷川の文章に添えられた二枚の写真は、特に素晴らしいです。

 

★本日誠に勝手ながら、17時30分にて閉店させていただきます。

 

ただ今ギャラリーで開催中「災害で消えた小さな命」(複製画)展の主宰者うささんが、代表をつとめる劇団Sol.星の花による「Voice in the Wind その声がきこえますか」が、京都府民ホールアルティ(上京区烏丸一条下る)で上演中。お問い合わせは劇団Sol.星の花京都公演実行委員会まで。7月10日(火)〜12日(木)