美味しそうな大きな苺。これ、やぎ〜ぬさんの「彫紙アート」の作品です。
彫紙?紙を彫る、とは聞き慣れませんが、つまり、何枚か色違いの紙を重ねて、束ね、下絵に則してアートナイフを使い、文字通り彫りぬいて作り上げます。束ねられた紙の枚数が多い程、複雑な色彩の作品ができる「彫紙アート」は、林敬三氏が考案した日本生まれの技法だということです。2013年、その林氏に師事し、「彫紙アートやぎ〜ぬ工房」としてイベントやワークショップなどで活動しているやぎ〜ぬさんの関西で初めての個展を本日より開催いたします。
彼女の作品の特徴は「食べ物」がテーマになっていること。マットな紙質から、食べ物の瑞々しさがどこまで表現できるかが腕の見せ所です。彼女曰く『シズル感』(食べ物が美味しそうな感じ)にこだわって作っています。今回は、春に初めての京都での展覧会ということで、「苺」の作品をいくつか並べて頂きました。題して「いちご・いちえ」。
一見するとポスターのようで、フラットな絵に見えるのですが、近寄ると何枚も重ねられた紙の厚みで、奥行きを感じます。独特の立体感で、3Dならぬ2.5Dアート。「ある日のパンケーキ」(写真右)は、56枚の重ねた紙を彫ってあります。横から撮った写真(左)でその厚みがわかっていただけるでしょうか?時間と根気のいる作業に違いないのだけれど、「パンケーキ」や、「チョココルネ」、「たいやき」、「苺パフェ」などを作品にしていくところがとても面白いと思いました。ゴージャスな花や、見るからに重厚な動物作品ではなく、なんか飄々としていて、鼻歌まじりに軽やかにステップしているようにみえます。
やぎ〜ぬさんの作品を初めて見たのは、東京の古書店「甘夏書店」さん主催の「本と遊ぶ・ブックカバーとしおり展」でした。チョココルネ好きの私が、つい購入したのが彼女の厚みのあるブックカバーでした。そのときも確か、他にはジャムパンかなにか美味しそうなものが彫られていましたっけ。個展では、紙で作ったイヤリング・ピアス(1200円)かんざし(4800円)なども並んでいます。素材が紙なので軽いですよ。
紙と食べ物をこよなく愛するやぎ〜ぬさんの「彫紙アート」をぜひこの機会にご覧頂きたいと思います。ただいま京都御所は梅満開。お散歩のついでにお立ち寄り下さいませ。(女房)
★やぎ〜ぬ個展「紙を彫る?彫紙アート いちご・いちえ」展は2月21日(木)〜3月3日(日)
12時〜20時月曜日定休