先週、爺さん主演のスパイ映画「83歳のやさしいスパイ」をご紹介しましたが、今回は過激な婆さん4人が暴れまくる?映画をご紹介します。

シルヴァン・ショメ監督の長編アニメ映画「ベルヴイル・ランデブー」です。2003年のカンヌ映画祭に出品され、高い評価を得て、その後、世界各国の映画祭で数々の賞を受賞しました。

おばあちゃんと暮らす孤独な少年シャンピオンは、買ってもらった自転車に大喜び。そこで一念発起したしたおばあちゃんは、世界最高の自転車レース、ツール・ド・フランスに向けて孫の特訓を開始します。デフォルメされた練習シーンが楽しい!

その甲斐あって、なんと彼は出場を果たします。しかし、レース途中でマフィアに誘拐されてしまうのです。孫を奪還するため、愛犬ブルーノと共に追跡の途中、知り合った三つ子のミュージシャンの老婆が、助っ人となって参加。巨大都市ベルヴイルで、マフィアと立ち向かい、とんでもないカーチェイスを展開するという物語です。

今や、CGが主流となったアニメ映画ですが、監督は3D技術を駆使しつつも手描きにこだわり、不思議な雰囲気を持つベルヴイルの都市空間を生み出します。その中でアンバランスな体形で奇妙な動作をする人物が、観る者を驚かせ、存分に楽しませてくれます。

この映画、ほとんどサイレント映画のようで登場人物はほとんど喋りません。目の動き、動作ですべてを表現していきます。チャップリンなどのサイレント映画へのオマージュに満ちています。ラストの大追跡も、まさにサイレント時代の活劇の雰囲気です。

で、何が凄いって言って、おばあちゃんと3人のミュージシャンたち婆さんの行動力です。ミュージシャンたちが料理をつくるシーンでは、手榴弾を川に投げ込み、そこにいるカエルを殺して、シチューにしてしまいます。

また、彼女たちがステージで演奏するシーンが実に楽しいのです。ステージに楽器はなく、冷蔵庫をピアノ代わりに、新聞紙をクシャクシャにする音をドラム代わりに、掃除機をベース代わりにするのです。そこに加わるおばあちゃんは、自転車の車輪をヴィブラホン代わりに。こんなライブがあれば、見てみたい!

そしてラスト、ポスターにあるように、おばあちゃんとマフィアの対決です。もちろん、彼女は武器なんて持ってません。え?どうなるの?? 大丈夫!拍手喝采(実際劇場内で拍手が起きました)の結末が待っています。

「極めて個性的な長編アニメーションの傑作。そのあまりに突き放した人間の描き方に驚き呆れ、笑いながら超一流の表現を楽しんでいるうちに、黙々と行動するおばあちゃんのけなげさが、ワン公のトラウマが、シャンピオンの哀れさが、要するに人生のほろニガさが、側々と伝わってくる」とは高畑勲のコメントです。さすがにうまいこと言いますね。

元気の出る映画ですよ!

 

 

1963年1月1日は、手塚治虫のTVアニメ「鉄腕アトム」が放映を開始した年です。

白黒の30分のアニメでしたが、度肝を抜かれた方も多いのではないでしょうか。今でこそ、ハリウッド映画が盛んにロボット主人公の映画を製作していますが、その50年も前に、手塚はロボットの活躍する未来を描いていました。

同年10月には、横山光輝の「鉄人28号」もTV化されます。その後は、「スーパ−ジェッター」、「宇宙少年ソラン」と少年少女向けTVアニメの黄金時代の始まりです。65年には「ジャングル大帝」、68年「巨人の星」、70年「あしたのジョー」、72年「科学忍者隊ガッチャマン」そして74年「宇宙戦艦ヤマト」と、TVに釘付けでした。

「TVまんが主題歌のあゆみ」、「続.TVまんが主題歌のあゆみ」という各レコード4枚組に、全120曲歌詞を掲載したカラーブックレットを収めたボックスものが入りました。(日本コロンビア各5000円)

全曲オリジナル原盤から採録したので、あの当時の雰囲気一杯です。と同時に、凄いアレンジしているなぁ〜と驚かされました。「スーパージエッター」では、寺内タケシばりのエレキギターが暴れ回り、後半には口笛のサウンドが見事にアレンジされていたりして、今聞いても、いい音作りです。

パンフレットを悉に見ていると、この人がこんなところに!という驚きもありました。「鉄腕アトム」の作詞が谷川俊太郎だったことは有名ですが、65年に放映の始まった「宇宙少年ソラン」が、いずみたくと安井かずみだったことは知りませんでした。

「ソラン ソラン ソラン はりかな宇宙から ソランソランソラン にじをこえて やってきた むねにかがやく ひみつのペンダント」

なんて主題歌を小学生だった僕は、仲良しのケイコちゃんと歌っていた淡い記憶が甦ります。

この豪華なボックスセットの最後を飾るのは、斉藤惇夫原作の「冒険者たち」(岩波少年文庫220円)をベースにした「ガンバの冒険」です。残念ながら、私はこのアニメは見ていません。ただ、原作の男気溢れるねずみのガンバには、えらく感動しました。

もう一点、「鉄腕アトム」を再度コミック化した、浦沢直樹作の「プルートウ」全8巻(未開封特別付録付き4000円)も入荷しました。見事に手塚の世界観を引き継ぎながら、浦沢のアトムを作り出した長編です。